この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
退職事由に係るモデル退職証明書
会社都合退職(かいしゃつごうたいしょく)とは、労働契約解除の主たる原因が会社(使用者)にある、労働者にとって非自発的な退職をいう。 民法第626条
法的根拠
雇用の期間が5年を超え、又はその終期が不確定であるときは、当事者の一方は、5年を経過した後、いつでも契約の解除をすることができる。
前項の規定により契約の解除をしようとする者は、それが使用者であるときは3月前、労働者であるときは2週間前に、その予告をしなければならない。
民法第627条
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)民法第628条(やむを得ない事由による雇用の解除) かつて「解雇」が法律的に詳細定義されていない時代には使用者の都合による安易な契約解除(解雇もしくは不当解雇)も多く存在した。判例の蓄積や、近年の労働契約法の制定により、解雇の要件が明文化され、使用者が解雇を行うには相当な理由が必要となった。 また解雇には労働者の意思を挟み込む余地がないので、解雇された労働者が「不当解雇」と言うことで争い(主に訴訟や公的機関での紛争)が生じる可能性も充分にあり、使用者にとっても不安定な状況におかれてしまう。さらには使用者、労働者とも、膨大な時間と費用の浪費を余儀なくされる。そこで、それに替わる使用者起因による労働契約解除の効果として、法律的な位置付けはされていないが、退職勧奨や早期優遇退職などの「働きかけに応じる」という行為が使用者及び(退職を考えている)労働者の双方にとってメリットがあるということで急増している。それが労働者の退職時の手当て(退職金)や離職後の失業給付(基本手当など)において手厚い処遇をされ、使用者も解雇をすることによる労働者・労働組合からの軋轢(あつれき)を避けられ、また経済的なメリット(解雇を行うと、使用者は雇用保険法上の各種の助成金を受けられなくなる場合がある)もあり、この言葉が社会常識化した慣例用語とも言える。 厳密に言えば「解雇」も内容から「会社都合退職」に属し、紙一重なものではあるが、労働契約解除に至る原因や労働者の承諾(退職願・退職届など)もしくは申し出も「会社都合退職」には基本的に存在し、「解雇」が労働者の意思とは関係のない使用者による一方的な契約解除であり、かつ解雇が法令の改正で法的な保護(解雇予告及び解雇予告手当)、や規制対象(解雇は「合理的な理由が存在する」こと)となったことつまり、「退職願」を使用者がもらわない労働契約解除は「解雇」となる以外は存在しないことを考えると、「会社都合退職」は「解雇」とは違った現代社会には不可欠な新しい労働契約解除の存在ともいえ、これを無視することはできない。 会社都合退職は使用者からの要求であっても労働者からの申し出であっても、労働契約解除の要因が使用者にあることから責任も使用者にあるので、労働者には解雇以上の経済的優遇やその要因であることへの必要補償をすることが大切である。また会社都合退職はあくまでも「退職」であることから、労働者がこれを充分に納得していなければならない。これを怠った場合は、「解雇」もしくは「解雇」以上の不利益を労働者が被ることになるので、その性質上から労働基準法の違反で刑事告訴・強制捜査や民事上の不法行為(退職強要や使用者安全配慮義務違反)として損害賠償を提起される恐れが充分にある。
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
解雇から会社都合退職への変遷
解雇との違い
会社都合退職での注意点
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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