伊唐大橋
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伊唐大橋

長島から見た伊唐大橋と伊唐島
基本情報
日本
所在地鹿児島県出水郡長島町鷹巣
交差物件八代海
用途道路橋
設計者日本農業土木総合研究所[1]
施工者鹿島・小牧・桑木JV[1]
着工1990年(平成2年)12月[1]
竣工1996年(平成8年)3月[1]
開通1996年(平成8年)8月2日[2]
座標.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯32度13分6.38秒 東経130度11分9.42秒 / 北緯32.2184389度 東経130.1859500度 / 32.2184389; 130.1859500
構造諸元
形式5径間連続プレストレストコンクリート斜張橋(主橋梁部)、単径間プレストレストコンクリート桁橋(両取り付け部)[3]
材料プレストレスト・コンクリート
全長675 m[3]
幅11.0 m[3]
高さ81.1 m[4]
桁下高18 m[3]
最大支間長260 m[3]
地図
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関連項目
橋の一覧 - 各国の橋 - 橋の形式
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伊唐大橋(いからおおはし)は、鹿児島県出水郡長島町にある、長島伊唐島を結ぶ全長675メートルのである。形式は、主橋梁部が5径間連続プレストレストコンクリート斜張橋、両側の取り付け部が単径間プレストレストコンクリート桁橋である[3]。中央支間の260メートルは、開通時点でコンクリート橋として日本最長であった[5]

伊唐大橋が開通した2年後の1998年平成10年)4月1日に鹿児島県の離島振興対策地域の指定が伊唐島について解除された[6]
背景「伊唐島」も参照

伊唐島は、長島本島の属島で、人口は1995年(平成7年)国勢調査時点で334人、面積3.05平方キロメートル、周囲18.3キロメートルとなっている。最高地点の仁太原(にたばる)の標高96.9メートルを中心に、なだらかな丘陵地帯を形成し、平坦地は乏しい。就業者の多くは農業または漁業に従事している。架橋前は、長島の宮ノ浦港と伊唐島港を結ぶ約2キロメートル、20分の航路があり、架橋と同日の廃止直前時点では1日2便の客船および1日5便のカーフェリーが運航していた[7]

本島の長島は1974年(昭和49年)に開通した黒之瀬戸大橋により離島を脱却しており、その頃から地元では伊唐島への架橋構想が水面下で持ち上がるようになっていた。1979年(昭和54年)3月24日に伊唐島から当時属していた自治体東町に対して架橋の陳情が行われ、同年7月に島民たちが伊唐島開発推進委員会を結成して架橋運動が開始された。1984年(昭和59年)には東町長が会長となる伊唐島農業開発促進期成同盟が結成されて、農業振興に不可欠として農道架橋が提案されるようになった。同年6月の町議会で推進の議決がなされ、町の予算で基礎調査が開始された。鹿児島県が1983年(昭和58年)1月に策定した第4次離島振興計画においても、伊唐島の農用地開発整備を推進しながら本島と結ぶ交通体系を検討すると謳われ、農業振興を名目として九州農政局および農林水産省に対して陳情が行われるようになった[8]

ちょうどこの頃、九州農政局がそれまで実施してきた大型事業が終了することになり、それに代わる次期の大型事業を検討しようとしている時期であった。事業枠に空きがあったという偶然に加えて、東町長の飯尾裕幸が陳情に農林水産省を訪れた際、構造改善局次長が陸軍士官学校時代の後輩であったことから、伊唐島架橋の調査費に理解を得ることができたという偶然もあった[9]。この結果、伊唐地区の農業振興事業の一環として農業基盤整備事業とともに橋の建設が推進される方向となり[10]、期成同盟発足から10か月で国の調査費が認められ、1985年(昭和60年)10月から県営伊唐島農地開発事業の国直轄調査が、1986年(昭和61年)6月から伊唐島農道橋海底ボーリング調査が開始された。そして1987年(昭和62年)2月に農地開発事業の起工式が、1989年(平成元年)1月に農免農道伊唐地区の起工式が行われ、1990年(平成2年)12月に橋の下部工が着手されることになった[9]。こうして、農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業(農免農道)伊唐島地区という事業名で架橋が開始された[11]。橋の当初の仮称は伊唐島大橋であった[3]
設計上が野島ルート、中が摩手浦ルート、下が崩崎ルート

設計にあたり前提条件として、道路規格は3種4級(2等橋)、設計速度は40 km/h、計画交通量は1日500台から1500台、設計荷重はTL-14、設計水平震度は0.13、設計基準風速は44.0メートル毎秒、航路限界は満潮面から高さ18メートル、幅200メートルとした[12]

橋のルートは3案を検討した。伊唐島の南端付近琵琶の首から長島の崩崎(くえんさき)へ渡る崩崎ルート(約930メートル)、伊唐島の西側から対岸の長島に渡る摩手浦ルート(約750メートル)、伊唐島の北端付近から野島へ渡り(約750メートル)、さらに諸浦島へと渡る(約450メートル)野島ルートである[13]。諸浦島は既に乳之瀬橋で長島と結ばれていた[14]。経済性・地域性・景観性について比較検討した結果、摩手浦ルートが選択された[11]

架橋地点付近は、中生代白亜紀の御所浦層群や姫浦層群、新生代古第三紀の赤崎層群等を基盤とし、その上に鮮新世更新世に噴出した火山岩が分布している。地盤の固有周期Tcは0.2秒以下で、耐震設計上の地盤種別はもっともよい一種地盤である[15]

上部工は経済性、施工性、景観性について検討を行い、架橋地点が雲仙天草国立公園内であることから、環境庁とも景観性について十分な協議を行った。農道橋であり、将来は町か土地改良区が管理することになることから、将来の維持管理費ができるだけ安くなるような観点からの検討も行った。検討したのはコンクリート橋の斜張橋桁橋、鋼橋のトラス橋と斜張橋で、プレストレスト・コンクリート (PC) 斜張橋が選択された[16]

下部工については、地質、海象、構造特性、施工性、経済性、施工海域の環境などを検討した。多柱式基礎、合成基礎、矢板式基礎、鋼製ウェル、設置ケーソン、ニューマチックケーソンについて比較検討した。また養殖場が近くにあるため汚濁防止に留意した。この結果、主橋部の橋脚は多柱式杭基礎、取付部の橋脚には直接基礎を採用した[16]。主塔の基礎は直径2,800ミリメートルのものを長さ41.5メートルから58.5メートル、主塔1本あたり16本とし、これ以外の海上部橋脚基礎は直径2,000ミリメートルのものを長さ30メートルから33メートル、橋脚1基あたり4本とした[17]

橋の支間割については、3径間PC斜張橋と5径間PC斜張橋を比較した。3径間では側径間が長くなると、側径間に活荷重が載った場合の張力変化が大きくなり橋全体の変化も大きくなる。一方側径間を小さくすると主径間が長くなって主桁の必要断面剛性が大きくなって不経済となる。そこで5径間にすることで側径間を2径間ずつにし、主桁の変形や斜材張力の変動を抑制する方針とした。これにより主橋部の径間は44+120+260+120+44メートルとなり、これに取付部に単純PC箱桁橋43.5メートルを両側に取り付け、橋長を675メートルとした[16]


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