この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
日本の年金制度
(2022年 / 令和3年3月末現在)[1]国民年金(第1階)
第1号被保険者1,449万人
第2号被保険者4,513万人
第3号被保険者793万人
被用者年金(第2階)
厚生年金保険4,047万人
公務員等[2](466万人)
その他の任意年金
国民年金基金 / 確定拠出年金(401k)
/ 確定給付年金 / 厚生年金基金
厚生年金基金(こうせいねんきんききん、Welfare Pension Fund、Employees' Pension Fund)は、厚生年金保険法を根拠法とする、企業年金の一種の給付を行う基金とする組織の認可法人である。本項では、企業年金連合会についても記述する。
1966年(昭和41年)に経済界からの要望により創設されたが、2014年(平成26年)4月をもって原則廃止となった(後述)。日本の企業年金制度のひとつで、いわゆる「3階建て」の年金構造のうち、国民年金(1階部分)、厚生年金や共済年金(2階部分)に上乗せした給付(3階部分)である。
厚生年金保険料の一部を基金独自の掛金と合わせて運用する「代行部分(Entrusted substitutional benefits provision)[3][4][5][6]」が設けられ、基金は老齢厚生年金のうち、報酬比例部分の代行給付を行う。そして基金の加入員である被保険者の厚生年金保険料率は、所定の保険料率から免除保険料率(2.4?5.0%の範囲内で27段階)が控除される。これは、基金加入員期間については、政府は老齢厚生年金(報酬比例部分)のうちの再評価分(賃金・物価スライド分)しか支給しないため、その見返りとして基金加入員の保険料率は低く設定されるのである。
2020年(令和2年)5月1日現在、残存している基金は5基金、加入者13万人、事業所数5千事業所[7]。
2012年(平成24年)3月現在、すでに受給を開始している受給者は293万人。この2012年3月末において、積立不足額が1兆1000億円になったことが、厚生労働省の調査で判明した[8]。 基金は、加入員の老齢年金について給付を行い、もって加入員の生活の安定と福祉の向上を図ることを目的とする。厚生年金保険の適用事業所の事業主と、その適用事業所に使用される被保険者で構成される(厚生年金保険法第107条)。 一般に厚生年金保険に係る厚生労働大臣の権限事務の多くは日本年金機構が行っているが、厚生年金基金については地方厚生局長が行っている。 基金はその名称中に「厚生年金基金」という文字を用いなければならず、基金でない者は、何人も、厚生年金基金という名称を用いてはならない(名称の独占使用)。 設立事業所(基金が設立された事業所)に使用される厚生年金保険の被保険者は、同時に厚生年金基金の加入員ともなる。設立事業所の厚生年金保険の被保険者になると同時に基金の加入員となり、そうでなくなると同時に加入員でなくなる。この「被保険者」には、以下のケースは含まれない。 2ヶ所以上の基金の設立事業所に使用される被保険者は、該当者の選択する一の基金以外の加入員とはしない。この選択は10日以内にしなければならず、選択したときは直ちに年金機構に届け出なければならない。 基金は、年金・一時金の給付に関する事業に要する費用に充てるため、加入員の標準給与の額を標準とした掛金を徴収する。掛金は原則労使折半であるが、規約の定めにより事業主負担の割合を増加させることができる。また事業主は、加入員の分も含めてその負担する掛金を納付する義務を負う。この掛金は、規約に定め基金の同意を得ることで、上場株式(時価換算額)によって納付することができる。なお掛金は、全額が社会保険料控除の対象となる。 基金には、同数の選定議員(事業主が、事業主及び設立事業所に使用される者から選定した議員)と、互選議員(加入員の互選による議員)とにより構成される代議員会が置かれる。また、理事・監事は、選定議員・互選議員から同数が選挙され、理事長は選定議員たる理事の中から、全理事が選挙する。 基金が成立したときは、理事長が選任されるまでの間は、設立の認可申請をした適用事業所の事業主が理事長の職務を行う。基金と理事長との利益が相反する事項については、理事長は代表権を有しない。この場合においては、監事が基金を代表する。理事は、年金・一時金たる給付に充てるべき積立金の管理及び運用に関する基金の業務について、法令、法令に基づいて行われる処分、規約及び代議員会の議決を遵守し、基金のために忠実にその職務を遂行しなければならない。理事がその任務を怠ったときは、その理事は基金に対し連帯して損害賠償責任を負う。 厚生年金基金の役員および職員、すなわち基金に使用されその事務に従事する者は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなされる。 厚生年金基金は、厚生労働大臣の認可により設立される。認可の申請に当たっては、各適用事業所ごとに、使用される被保険者の2分の1以上の同意を得て規約を作ること、そして被保険者の3分の1以上で組織する労働組合があるときは、各適用事業所ごとに当該労働組合の同意を得ることが要件となる。申請は、設立しようとする基金の主たる事務所を設置しようとする地を管轄する地方厚生局長を経由して厚生労働大臣に対して行う。 設立主体により次の3通りがある。 基金の合併・分割・解散(厚生労働大臣の解散命令によるものを除く)に際しては、代議員会において、代議員の定数の4分の3以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。なお、基金が設立事業所を減少させる場合には労働組合の同意を得る必要はないが、減少に伴い他の設立事務所に係る掛金が増加する場合は、減少する事業所の事業主から規約に定める計算額を掛金として一括徴収することができ、規約に定めれば加入員も一部負担することができる。 基金が解散した場合の残余財産を分配する場合、解散日において当該基金が年金たる給付の支給に関する義務を負っていた者に全額移転することとされ、当該残余財産を事業主に引き渡してはならない。もっとも、実際には代行部分の不足額の穴埋めにも事欠く基金が多い。なお政府は、存続厚生年金基金が解散したときは、その解散した日において、当該存続基金が年金たる給付の支給に関する義務を負っている者に係る責任準備金相当額を当該存続基金から徴収する。 基金はその業務の一部を、信託会社(具体的には信託銀行)、信託業務を営む金融機関、生命保険会社、全国共済農業協同組合連合会(全共連/JA共済連[9])、企業年金連合会その他の法人に委託することが認められる[10] この場合、国民年金基金とは異なり、大臣の認可は不要である。また積立金の運用について金融商品取引業者との投資一任契約を締結することができるが、この場合は金融商品取引法に定める投資判断の全部を一任するものでなければならない。 金融商品取引法上、基金も特定投資家申請をすれば特定投資家になることができ、直近の貸借対照表上において純資産が100億円以上あるものとして金融庁長官に届出を行った基金は、適格機関投資家になれる。もっとも1990年代からの投資収益率は、民間や公的年金の平均を共に上回っているカルパースとは異なり、寧ろ、予定利率を上回る安定的な利率を長期間確保出来ていなく、結果、運用損失に伴って当初に被保険者に提示した年金の支給が不可能になっているケースが多い。 バブル期までは予定を上回る運用益を確保した基金は珍しくなかったが、その後は運用実績が振るわない基金が激増した。健全とされる基金は1割程度に過ぎず、特に総合型の基金で財務の悪化が目立ち、保有資産が最低責任準備金に満たないいわゆる「代行割れ」が社会問題になった。 厚生年金基金制度においては、代行部分が母体企業の決算上の負債に計上されるようになったこともあり、2002年(平成14年)4月の確定給付企業年金制度の創設時に合わせて代行部分の返上(いわゆる「代行返上」)が認められたことによって、単独型・連合型の厚生年金基金の多くが確定給付企業年金へ移行した。また、2004年(平成16年)の厚生年金法改正によって、厚生年金基金の財政運営が抜本的に改正され、代行部分に係る財政の中立化が実施された。
構成
船舶に使用される被保険者
事業主の同意のない高齢任意加入被保険者(保険料の全額負担義務を負うため)
第4種被保険者
船舶任意継続被保険者
設立・種別
単独型:会社が単独で基金を設立して運営。常時1000人以上の被保険者を使用する事業主が対象(例:「ウィキペディア株式会社厚生年金基金」)。
連合型:主力企業を中心に、関連会社(グループ会社)が集まり、共同で基金を設立して運営。グループ全体で常時1000人以上の被保険者を使用する事業主が対象(例:「ウィキペディア・ホールディングス厚生年金基金」)。
総合型:同業種であることなど、一定のルールの下に同一業界の会社が集まり、共同で基金を設立して運営。合算して常時5000人以上の被保険者を使用する事業主が対象(例:「中小電子機器製造業協会厚生年金基金」)。
運用
存続厚生年金基金
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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