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令和元年東日本台風
(台風第19号・ハギビス・Hagibis)
カテゴリー5の スーパー・タイフーン (SSHWS)
台風第19号
発生期間2019年10月6日3:00
- 2019年10月13日12:00
寿命7日9時間
最低気圧
915 hPa (日気象庁解析)890 hPa (米海軍解析)
最大風速
(日気象庁解析)55 m/s (105 kt)
最大風速
(米海軍解析)160 kt
被害総額1兆8800億円
平均速度27.0 km/時
648 km/日
移動距離4785 km
上陸地点静岡県伊豆半島
死傷者数死者105名、行方不明者3名、負傷者375名
被害地域 日本
プロジェクト : 気象と気候/災害
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令和元年東日本台風(れいわがんねんひがしにほんたいふう、令和元年台風第19号、アジア名:ハギビス/Hagibis、命名:フィリピン、意味:すばやい)は、2019年(令和元年)10月6日3時にマリアナ諸島の東海上で発生し、12日に日本に上陸した台風である[1]。静岡県、関東、甲信、新潟県、東北地方などで記録的な大雨となり、甚大な被害をもたらした。またこの台風は、昭和54年台風第20号以来、40年ぶりに死者100人を超える台風となった。
日本政府はこの台風の被害に対し、激甚災害[2][3][注釈 1]、特定非常災害(台風としては初)[4]、大規模災害復興法の非常災害(2例目)[5] の適用を行った[6]。また、災害救助法適用自治体は14都県の390市区町村であり、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)を超えて過去最大の適用となった[2][7]。被災者向け避難所が最後に閉鎖されたのは発生翌年の2020年3月23日、福島県伊達市においてである[8]。 10月1日頃にマーシャル諸島近海で形成が始まった低圧部が、5日3時に熱帯低気圧に発達。合同台風警報センター(JTWC)は同日11時30分(UTC 2時30分)に熱帯低気圧形成警報(TCFA)を発し、18時(UTC 9時)に熱帯低気圧番号20Wを付番した。20Wは翌6日3時に南鳥島近海の北緯15度5分、東経158度10分で台風となり[9][10]、アジア名ハギビス(Hagibis)と命名された。 台風は平年よりも高い海水温の領域を通過しながら急速に発達し、7日18時には、同時刻までの24時間での気圧低下77hPaを記録。発生からわずか39時間で中心気圧915hPaとなり、猛烈な勢力[注釈 2]に発達した[12][13]。勢力を維持したまま小笠原諸島に接近し、10日21時に非常に強い勢力へ[14]、12日18時に強い勢力になる[15]。同日19時前に大型で強い勢力で静岡県伊豆半島に上陸した[16][17]。上陸直前の中心気圧は955hPa、最大風速は40m/s[16] で、その後は関東地方と福島県を縦断し、13日12時に三陸沖東部の北緯41度、東経147度で温帯低気圧に変わった[18]。なお、この台風から変わった温帯低気圧は10月14日前後にベーリング海付近で急速に発達し、中心気圧は952hPaに達した[19][20]。その後も衰弱しながらベーリング海を進み続けたが、23日15時に東経域からやってきた別の低気圧に吸収され、消滅した。 また、台風19号が猛烈な勢力を維持した期間は7日21時から10日21時までの72時間となり、第1位の昭和53年台風第26号
台風の動き
台風19号の特徴としては、発生後まもなく猛烈な勢力に発達し、その後北上しても大きくは勢力が弱まらず、本州に接近するまで非常に強い勢力を保ったままであったことが挙げられる。その要因として、発生後初期には海面水温30℃以上(平年比+1℃以上)の海域を進み、日本のすぐ南の海面水温も27℃以上と平年より1℃から2℃高く、エネルギー源となる水蒸気を多く取り込んだこと、また乾燥した空気などの台風の勢力を弱める要因も小さかったことが挙げられる[16]。
例年は10月になると台風は偏西風の影響で日本の南で東に進路を変え遠ざかる場合が多い。一方、台風19号が発生した時期には平年より偏西風が北に偏り、太平洋高気圧も広く張り出していたため、台風はゆっくりとその縁をまわるように北上し、東日本に上陸する経路となった[16][23][24]。
連続での猛烈な勢力の期間が長い台風順位台風国際名年猛烈な勢力であった期間
1昭和53年台風第26号
この台風は当初、台風番号の基準に基づき令和元年台風第19号と呼ばれていたが、2018年(平成30年)に日本の気象庁が定めた「台風の名称を定める基準[25]」において浸水家屋数が条件に相当する見込みとなったため、1977年(昭和52年)9月の沖永良部台風以来、42年1か月ぶりに命名される見通しとなり[26]、2020年(令和2年)2月19日、気象庁はこの台風について「令和元年東日本台風」と命名した(同年発生した令和元年房総半島台風〈台風15号〉と同時に命名)[27]。
気象庁命名台風気象庁命名名称国際名年
洞爺丸台風昭和29年台風第15号Marie1954年
狩野川台風昭和33年台風第22号Ida1958年
宮古島台風昭和34年台風第14号Sarah1959年
伊勢湾台風昭和34年台風第15号Vera
第2室戸台風昭和36年台風第18号Nancy1961年
第2宮古島台風昭和41年台風第18号Cora1966年
第3宮古島台風昭和43年台風第16号Della1968年
沖永良部台風昭和52年台風第9号Babe1977年
令和元年房総半島台風令和元年台風第15号Faxai2019年
令和元年東日本台風
この台風が日本に接近しつつあった10月11日、気象庁は記者会見を開き、「台風19号は非常に強い勢力を保ったまま、12日に東海地方または関東地方に上陸する見込みで、静岡県伊豆地方を中心に甚大な被害をもたらし1,200人以上の死者・行方不明者を出した、1958年の狩野川台風に匹敵する記録的な大雨となる恐れもある。」と発表し、警戒を呼びかけた[28][29][30][31][32][33][34][35][36][37]。会見した梶原靖司予報課長は、この狩野川台風を例示した理由について、「台風19号で予想される現象あるいは災害の程度が著しいということから例に挙げた」と説明し、「狩野川台風が取った進路や勢力あるいは北上の速度なども、台風19号と類似している点がある。あるいは台風の大きさなども含めて。」とし、「そういった類似性も高いため、説明に用いる判断をしたところです。」と語ったという[30]。
この台風も、狩野川台風と類似した進路を辿って12日に伊豆半島に上陸したが、61年前に狩野川台風により甚大な被害を受けた静岡県伊豆の国市では、「狩野川台風級」との警告により住民の迅速な避難につながって、犠牲者もゼロとなった[38]。また、狩野川台風後に整備された狩野川放水路が開放されたことで放水路は効果を発揮し、狩野川は氾濫に至ることはなく、本流での河川堤防の決壊や氾濫被害が食い止められた[31]。