この項目では、生物における一連の化学反応について説明しています。日本の建築運動については「メタボリズム」を、古いものから新しいものへ次々と入れ替わることについては「新陳代謝」をご覧ください。
生命を維持するために細胞内で起こる代謝という化学反応を図示した。エネルギー代謝の過程で中心的な役割を果たす中間体であるアデノシン三リン酸 (ATP) の分子構造。.mw-parser-output .sidebar{width:auto;float:right;clear:right;margin:0.5em 0 1em 1em;background:#f8f9fa;border:1px solid #aaa;padding:0.2em;text-align:center;line-height:1.4em;font-size:88%;border-collapse:collapse;display:table}body.skin-minerva .mw-parser-output .sidebar{display:table!important;float:right!important;margin:0.5em 0 1em 1em!important}.mw-parser-output .sidebar-subgroup{width:100%;margin:0;border-spacing:0}.mw-parser-output .sidebar-left{float:left;clear:left;margin:0.5em 1em 1em 0}.mw-parser-output .sidebar-none{float:none;clear:both;margin:0.5em 1em 1em 0}.mw-parser-output .sidebar-outer-title{padding:0 0.4em 0.2em;font-size:125%;line-height:1.2em;font-weight:bold}.mw-parser-output .sidebar-top-image{padding:0.4em}.mw-parser-output .sidebar-top-caption,.mw-parser-output .sidebar-pretitle-with-top-image,.mw-parser-output .sidebar-caption{padding:0.2em 0.4em 0;line-height:1.2em}.mw-parser-output .sidebar-pretitle{padding:0.4em 0.4em 0;line-height:1.2em}.mw-parser-output .sidebar-title,.mw-parser-output .sidebar-title-with-pretitle{padding:0.2em 0.8em;font-size:145%;line-height:1.2em}.mw-parser-output .sidebar-title-with-pretitle{padding:0 0.4em}.mw-parser-output .sidebar-image{padding:0.2em 0.4em 0.4em}.mw-parser-output .sidebar-heading{padding:0.1em 0.4em}.mw-parser-output .sidebar-content{padding:0 0.5em 0.4em}.mw-parser-output .sidebar-content-with-subgroup{padding:0.1em 0.4em 0.2em}.mw-parser-output .sidebar-above,.mw-parser-output .sidebar-below{padding:0.3em 0.8em;font-weight:bold}.mw-parser-output .sidebar-collapse .sidebar-above,.mw-parser-output .sidebar-collapse .sidebar-below{border-top:1px solid #aaa;border-bottom:1px solid #aaa}.mw-parser-output .sidebar-navbar{text-align:right;font-size:75%;padding:0 0.4em 0.4em}.mw-parser-output .sidebar-list-title{padding:0 0.4em;text-align:left;font-weight:bold;line-height:1.6em;font-size:105%}.mw-parser-output .sidebar-list-title-c{padding:0 0.4em;text-align:center;margin:0 3.3em}@media(max-width:720px){body.mediawiki .mw-parser-output .sidebar{width:100%!important;clear:both;float:none!important;margin-left:0!important;margin-right:0!important}}
生化学
生命の化学
索引
代謝(たいしゃ、英: metabolism)とは、生物の生存と機能に不可欠な一連の化学反応である。代謝の主な機能は大きく3つあり、食物を細胞プロセスを実行するためのエネルギーに変換すること、食物をタンパク質、脂質、核酸および一部の炭水化物の合成に必要な構成成分に変換すること、そして代謝廃棄物(英語版)を排出することである。酵素が触媒するこれらの反応によって生物は成長し、繁殖し、構造を維持し、環境に対応することができる。また、代謝という言葉は、消化、細胞内外・細胞間の物質輸送など、生体内で起こるすべての化学反応の全体を指すこともある。この文脈において、上記のような細胞内で起こる一連の反応を中間代謝(英: intermediary metabolism)と呼ぶ。
代謝反応は、化合物の分解を伴う異化作用(例:細胞呼吸によるグルコースからピルビン酸への変換)と、化合物(タンパク質、糖質、脂質、核酸など)の合成を伴う同化作用(生合成ともいう)に大別される。一般に、異化作用はエネルギーを放出し、同化作用はエネルギーを消費する。
代謝経路は、ある化学物質が別の化学物質に変換される一連の化学反応で、それぞれの段階は特定の酵素によって促進される。酵素は、エネルギーを必要とし、自然には起こらない望ましい反応を、エネルギーを放出する自発的な反応(英語版)と結びつける(英語版)ことで、生物が推進することを可能にするため、極めて重要な役割を担っている。酵素は触媒として働き、反応速度を速めるとともに、細胞の環境の変化や他の細胞からのシグナルに応答するなど、代謝反応を調節することができる。
どの物質が栄養になり、どの物質が毒になるかは、その生物に固有の代謝系によって決まる。たとえば、ある種の原核生物は硫化水素を栄養とすることができるが、このガスは動物にとっては有毒なものである[1]。生物の基礎代謝率は、こうしたすべての化学反応によって消費されるエネルギー量の尺度である。
さまざまな生物種において、基本的な代謝経路が驚くほど類似していることは、代謝の顕著な特徴である[2]。たとえば、クエン酸回路の中間体としてよく知られている一連のカルボン酸は、知られているすべての生物に存在し、単細胞の大腸菌(Escherichia coli)からゾウのような巨大な多細胞生物にいたるまで見い出されている[3]。このような代謝経路の類似性は、生命の歴史(英語版)の中で早くから出現し、その有効性によって持続しているためと考えられる[4][5]。II型糖尿病、メタボリックシンドローム、がんなどの特定の疾患では、正常な代謝が乱されている[6]。がん細胞の代謝も正常細胞の代謝とは異なっており、この違いを利用して、がんに対する治療介入の標的を特定できる可能性がある[7]。
主な生化学物質詳細は「生体物質」、「細胞」、および「生化学」を参照脂質であるトリアシルグリセロール分子の構造を示す。トリグリセリドとも呼ばれ、グリセロール分子と3つの脂肪酸分子が結合した構造をしている。人体におけるさまざまな代謝経路を包括的に表現した代謝ネットワーク図。ヒトの代謝を維持するために起こるさまざまな化学反応の相互関係と相互作用を描いている。
動物、植物、微生物の構成要素は、主にアミノ酸、炭水化物、核酸、脂質(しばしば脂肪と呼ばれる)という4種類の基本的な分子から作られている。これらの分子は生命維持に不可欠であるため、代謝反応は、細胞や組織を形成するためにそれらを合成するか、消化によって分解してエネルギーとして利用することに集中している。また、これらの生化学物質が結合して、デオキシリボ核酸(DNA)やタンパク質など、生命維持に不可欠な高分子を形成する[8]。
分子の種類モノマー型の名称ポリマー型の名称ポリマー型の例
アミノ酸アミノ酸タンパク質(ポリペプチドでできている)繊維状タンパク質、球状タンパク質
炭水化物単糖多糖デンプン、グリコーゲン、セルロース
核酸ヌクレオチドポリヌクレオチドデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)
アミノ酸とタンパク質詳細は「タンパク質」を参照
タンパク質は、アミノ酸が直鎖状に配列し、ペプチド結合で結合したものである。多くのタンパク質は、代謝における化学反応の触媒となる酵素である。また、細胞の形状を維持する足場となる細胞骨格を形成するなど、構造的あるいは機械的な機能を持つタンパク質もある[9]。タンパク質は、細胞シグナル伝達、免疫応答、細胞接着、膜を介した能動輸送、および細胞周期の調節など、さまざまな重要な役割を担っている[10]。また、アミノ酸は、細胞のエネルギー代謝にも寄与しており、特にグルコースなどの主要なエネルギー源が不足したときや、細胞が代謝ストレスを受けたときに[11]、クエン酸回路(トリカルボン酸回路)[12]に炭素源を供給する役割もある。
脂質詳細は「脂質」を参照
脂質は、生化学物質の中でもっとも多様な一群である。その主な用途は、細胞膜のような内外の生体膜の一部として構造を作りだすほか、その化学エネルギーを利用することもできる[10]。多くの場合、非極性の長い炭化水素鎖と、小さな酸素を含む極性領域を持つ脂肪酸の重合体である[要出典]。一般的に脂質は、疎水性または両親媒性の生体分子と定義され、エタノール、ベンゼン、クロロホルムなどの有機溶媒に可溶である[13]。脂質は、脂肪酸とグリセロールを含む大きな化合物群で、グリセロール分子が3つの脂肪酸にエステル結合したものはトリアシルグリセリドと呼ばれる[14]。この基本構造にはいくつかの変種があり、スフィンゴミエリンはスフィンゴシンなどの骨格鎖が、リン脂質にはリン酸などの親水性基が存在する。また、ステロールなどのステロイド類も脂質の主要な分類の一つである[15]。
炭水化物単糖であるグルコースは、直鎖状と環状という2種類の形態で存在することができる。どちらの形態のグルコースも代謝において重要な役割を担っている。詳細は「炭水化物」を参照
炭水化物(糖類とも呼ぶ)は、複数のヒドロキシ基(水酸基)が結合したアルデヒドまたはケトンからなる生体分子で、直鎖状または環状の形態を取ることがある。炭水化物はもっとも豊富に存在する生体分子であり、エネルギーの貯蔵や輸送や(デンプンやグリコーゲン)、構造部品としてなど(植物のセルロースや動物のキチン)、さまざまな役割を担っている[10]。炭水化物の基本的な構成単位は単糖と呼ばれ、ガラクトース、フルクトース、そしてもっとも重要なグルコースなどがある。単糖は互いに結合して多糖と呼ばれるより大きな炭水化物分子を形成することができ、その結合様式はほぼ無限に存在する[16]。
ヌクレオチド詳細は「ヌクレオチド」を参照
デオキシリボ核酸(DNA)とリボ核酸(RNA)は共に核酸の一種で、いずれもヌクレオチドの重合体である。各ヌクレオチドは、糖基(リボースまたはデオキシリボース)に窒素塩基とリン酸基が結合したものである。核酸は、遺伝情報の保存や利用、および転写やタンパク質の生合成などの過程を通した解釈に大きな役割を果たしている[10]。