代理母
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代理母出産の法的ステータス: .mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  「商業的」(金銭授受)と「利他的」(無償)の両方が合法   法的規制なし   「利他的」(無償)のみが合法   二親等以内の親族間でなら合法   一律禁止(あらゆる代理母利用が違法)   不明

代理母出産(だいりははしゅっさん、だいりぼしゅっさん、英:surrogate)とは、主に子宮卵巣を先天的もしくは後天的に疾患のために失くした女性が代理母女性(surrogate mother)に妊娠・出産してもらう生殖医療である[1][2] 。代理出産(だいりしゅっさん)ともいう[2]。出産時だけでなく、懐胎(妊娠)時も含めて表現したい場合は、代理懐胎(だいりかいたい)と表すこともある[注 1]。代理母には、 妊娠・分娩が引き起こす一般的な健康への負担がもたらされるし、体外受精型代理出産での場合には、他者の卵を用いたことによる医学的リスクが上昇する危険性を孕む。 加えて体外受精型代理出産で生まれる子には、遺伝情報の変化(エピジェネティック変異)によって健康に影響も出る。手段として当初は婚姻夫婦間の医療として想定されていたが、昨今はLGBTの男体ゲイカップルなど、生物学的に自然には子をなさず産む主体ではない者が子供を欲しがり、女性を代理母として利用する事例も出現し社会問題となっている[3]。ゲイ兄弟の親族女性が利他的に代理母をしたケースが存在するものの[3]、同性結婚導入国でさえも「金銭を用いた代理母使用」が違法化されている場合は、事実上「血縁のある子女」を持つことが不可能である[3][4]
2種の代理出産

代理母出産には大別すると以下の2種類がある。

Gestational Surrogacy(妊娠代理出産):依頼者女性とは遺伝的につながらない卵子を用いた
受精卵を用い、それを代理母の子宮に入れて行われた出産。この手法は「ホストマザー」とも呼ばれる[5]

Traditional Surrogacy(伝統的代理出産):依頼者女性(妻)の卵子に依頼者男性(夫)の精子で人工授精を行った受精卵を代理母の子宮に移し、妊娠・出産させる手法。そのため、代理母の子宮から生まれてくる子は、依頼者夫婦双方とも血縁関係にある手法である。この手法は「サロゲートマザー」と呼ばれる[5]

代理出産の5パターン

Surrogacy(代理出産)には基本的2種5パターンである。

依頼者女性の妊孕性が不妊状態となっているが、卵子自体は健康的な場合における、依頼者夫婦の精子と卵子を人工受精させた受精卵を代理母の子宮に入れた妊娠・出産
[2]。このパターンの場合は産まれた子供が夫婦双方と血縁関係である。(伝統的代理出産)

依頼者女性が健康的な卵子又は卵子自体を持たない場合における、第三者から提供された卵子と夫の精子体外受精させ、その受精卵を代理母の子宮に入れた妊娠・出産。このパターンの場合は産まれた子供が夫とは血縁関係ではある(妊娠代理出産)

夫が健康的な精子又は精子自体が無く、妻も子宮自体や健康的な生殖細胞(卵子)が無い場合における、第三者から提供された精子と妻の卵子を体外受精させ、その受精卵を代理母の子宮に入れた妊娠・出産。このパターンの場合は産まれた子供が双方の血縁関係ではない(妊娠代理出産)

依頼者側にも健康的子宮と卵子はあるが、女性が自身のキャリアのために妊娠委託し、夫婦の精子と卵子を体外受精させ、その受精卵を代理母の子宮に入れた妊娠・出産。ハリウッドなど富裕層の女性が用いる。このパターンの場合は産まれた子供が双方と血縁関係である[6]

男のゲイカップルなど双方子宮の無い性的少数者カップルが、経済的勾配を利用し金銭を用いた非親族女性[4]、又は謝礼金などの金銭を用いずに親族女性(母・姉・妹など)の子宮に「自身の精子」を代理母に移すケースもある[3][4]。ゲイカップルが金銭で女性を用いた代理出産が合法な国には、アメリカの一部の州、メキシコ、カナダと限られた選択肢となっている[7]。日本でも親族女性が、少数ながらゲイである兄弟のためにした実例もある[3]


子宮影響不妊夫婦における代理出産

不妊夫婦にとっては子供が欲しいとの思いが切実であることが少なくなく、アメリカより費用が安く代理出産ができるインドで、多数の先進国の不妊夫婦が代理母出産を行っている[8]。貧困層の多いインドでは代理出産用の施設まで作られ、代理母が相部屋で暮らしている[8]。インドにおける代理出産の市場規模は2015年に60億ドルに上ると推計されている[8]。インド政府は、商業的な代理母出産を合法化する法案を2010年に国会に提出したが、外国人については本国政府の「代理母出産を認める」「依頼人の実子として入国を認める」という証明書を要求している[8]。妊産婦の死に直結するリスクも看過できず、インド国内でも臓器の売買に近い「人体搾取」だという批判があり、更にLGBTやゲイが生殖医療や代理母出産を利用することはインドの法律で固く禁じられている[8]。このほかにはウクライナではビジネス化している[9]

上記のように、代理母出産が実施されている原因として不妊、強い需要が存在していることが理由として挙げられる。日本において子宮障害や疾患などのため不妊となっている女性は、20万人はいると見積もられている[10]。子宮が不妊原因で卵子は健康的である場合は、彼女らは代理母出産を用いれば、夫婦双方の子を授かることが出来る。代理に頼らず養子や里親制度で「子供」を持つのことが出来るのだからそうすべき、という主張もあるが、遺伝的つながりを求める夫婦の要求を満たすことはできない。不妊治療経験者のうち、養子制度を考えたことがない者が62%をしめ、不妊治療経験者の66%が子との遺伝的つながりを求めている、という調査がある[11]
双方が子宮の無い性的少数者カップル(ゲイ)の代理出産詳細は「LGBTの子育て(英語版)」および「LGBTの生殖(英語版)」を参照


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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