代数函数
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数学において、代数関数(だいすうかんすう、: algebraic function)は(多項式関数係数)多項式方程式の根として定義できる関数である。大抵の場合、代数関数は代数演算(英語版)(和、差、積、商、分数冪)のみでできる有限項の式に表すことができ、例えば f ( x ) = 1 / x , f ( x ) = x , f ( x ) = 1 + x 3 x 3 / 7 − 7 x 1 / 3 {\displaystyle f(x)=1/x,\;f(x)={\sqrt {x}},\;f(x)={\frac {\sqrt {1+x^{3}}}{x^{3/7}-{\sqrt {7}}\,x^{1/3}}}}

などが典型的である。しかし、(エヴァリスト・ガロワニールス・アーベルによって証明されたように)そのような有限表式に書けない代数関数もある。例えば、 f ( x ) 5 + f ( x ) 4 + x = 0 {\displaystyle f(x)^{5}+f(x)^{4}+x=0}

によって定義される関数がそのような例である。

代数関数を定義する多項式方程式の係数多項式として、有理数体 Q 上の多項式を考え、「Q 上代数的な関数」について述べることがかなり多い。そのような代数的関数を有理点において評価した値は代数的数を与える。

代数的でない関数は超越関数と呼ばれる。例えば、指数関数 exp ⁡ x {\displaystyle \exp x} 、正接関数 tan ⁡ x {\displaystyle \tan x} 、対数関数 log ⁡ x {\displaystyle \log x} 、ガンマ関数 Γ ( x ) {\displaystyle \Gamma (x)} などが該当する。超越関数の合成が代数関数になることがある。例えば、 cos ⁡ ( arcsin ⁡ x ) = 1 − x 2 {\displaystyle \cos(\arcsin x)={\sqrt {1-x^{2}}}} である。
定義
一変数代数関数

正確に言えば、一変数 x の次数 n の代数関数とは、ある多項式方程式 a n ( x ) y n + a n − 1 ( x ) y n − 1 + ⋯ + a 0 ( x ) = 0 {\displaystyle a_{n}(x)y^{n}+a_{n-1}(x)y^{n-1}+\dotsb +a_{0}(x)=0}

を満たす関数 y = f(x) である、ただし係数 ai(x) は係数が適当な集合 S に属する x の多項式関数である。

n 次方程式は n 個の根を持つから、多項式方程式は陰伏的に、ただ 1 つの関数ではなく、n 個の関数(これらは分枝あるいは枝と呼ばれる)を定義する。例えば単位円の方程式 y 2 + x 2 = 1 {\displaystyle y^{2}+x^{2}=1\,} を考えよう。これは全体に渡る符号の違いのみを除けば y を決定するから、したがって 2 つの枝を持つ: y = ± 1 − x 2 . {\displaystyle y=\pm {\sqrt {1-x^{2}}}.\,}
多変数代数関数

m 変数の代数関数は m + 1 変数の適当な多項式方程式 p ( y , x 1 , x 2 , … , x m ) = 0 {\displaystyle p(y,x_{1},x_{2},\dots ,x_{m})=0}

の解となる関数 y として同様に定義される。通常 p は既約多項式と仮定される。すると代数関数の存在は陰関数定理によって保証される。

形式的には、 K 上の m 変数の代数関数は、有理関数体 K(x1,...,xm) の代数閉包の元である。
一変数の代数関数
導入と概観

代数関数のインフォーマルな定義は代数関数の性質について多くの手掛かりを与えてくれる。直感的な理解を得るために、代数関数を、通常の代数的演算(英語版)、すなわち和、積、商、n 乗根を取ることによって書くことのできる関数と見ることは、助けになるであろう。もちろん、これは簡略化し過ぎである。というのも、還元不能の場合 (casus irreducibilis)(英語版) によって(そしてより一般にガロワ理論の基本定理によって)、代数関数は冪根によって書けるとは限らないからである。

まず、任意の多項式関数 y = p ( x ) {\displaystyle y=p(x)} が代数関数であることに注意する。これは単純に方程式 y − p ( x ) = 0 {\displaystyle y-p(x)=0}

の解 y として書けることによる。より一般に、任意の有理関数 y = p ( x ) q ( x ) {\displaystyle y={\frac {p(x)}{q(x)}}} は方程式 q ( x ) y − p ( x ) = 0 {\displaystyle q(x)y-p(x)=0}

の解として代数関数になる。さらに、任意の多項式の n 乗根 y = p ( x ) n {\displaystyle y={\sqrt[{n}]{p(x)}}} は方程式 y n − p ( x ) = 0 {\displaystyle y^{n}-p(x)=0}

を解く代数関数である。驚くべきことに、代数関数の逆関数は代数関数である。各値の x に対して y が方程式 a n ( x ) y n + ⋯ + a 0 ( x ) = 0 {\displaystyle a_{n}(x)y^{n}+\cdots +a_{0}(x)=0}


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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