仙台空港民営化(せんだいくうこうみんえいか)とは、国土交通省と宮城県によって推進され、仙台国際空港株式会社が運営を行う仙台空港の民営化(コンセッション方式)に関する取り組みである。
経緯
民営化構想の想起津波襲来により水没した空港敷地
(2011年3月11日)冠水した滑走路(2011年3月13日)
2011年12月、宮城県は東日本大震災からの完全復旧と空港の収益向上への打開策として、仙台空港を民営化する方針を打ち出した[1]。第三セクターが運営する空港ターミナルビル(仙台空港ビル[注 1])・貨物ターミナル(仙台エアカーゴターミナル)・空港連絡鉄道(仙台空港鉄道)の3事業と、国土交通省が行う滑走路等の維持管理や着陸料の収受等の事業を一元化し、これらの管理・運営を民間企業に委託することで、仙台空港の活性化を狙った[2]。 2012年2月8日、宮城県は官民による民営化検討会を初開催[3]。同年9月3日、3回目の検討会において、日本初となる「民間運営による地方中核空港」を目指すことを表明。あわせて、「民営化30年後の利用者数を600万人/年、貨物取扱量を5万t/年まで増加させる」とする数値目標を提示した[4]。2013年3月29日、官民共通の指針とする「仙台空港及び空港周辺地域の将来像」を決定[5]。 同年5月31日、新たな官民会議として「仙台空港600万人・5万トン実現サポーター会議」を新設[6]。3月に決定した指針の具体化を目指すとともに、情報発信・機運醸成を図るため、これまでの民営化検討会を置き換える形で設置されたもの。同年7月16日の第1回会議にて、国土交通省より仙台空港を民営化適用第1号として進める意向が示された[7]。 なお、この時点で関西国際空港を運営する新関空会社が仙台空港の運営受託に意欲を示していたが[8]、村井知事は完全民営が望ましい[注 2] として、これを牽制している[9]。 国土交通省による実施スケジュール当初案 2013年11月13日、国土交通省は仙台空港民営化に向けた基本スキーム案を公表[10]。以後のスケジュールとして、2014年4月に実施方針を決定し、同年7月に募集要項を発表。同年8月の1次審査、2015年1月の2次審査を経て、同年3月に運営事業者を決定。同年9月に空港ターミナルビルや貨物ターミナルを先行して委託し、2016年3月に滑走路等の維持管理や着陸料の収受等を含めて完全委託する。事業委託期間は30年間で、最大で30年間延長できることが示された。 応募資格は、国内外で商業施設や公共施設、旅客運送などいずれかの運営経験がある企業・団体に限られる。仙台空港鉄道は委託事業には含まれない方針で、運営事業者が鉄道事業の運営についても希望した場合に限り、国の承認を得た上で認められる見通しとなった[11]。 2013年11月から12月にかけて国土交通省が行った市場調査では、事業参画に関心を示す10グループ71社から基本スキーム案に関する提案を受けた[12]。 2014年4月25日、国土交通省は仙台空港民営化の実施方針を公表[13][14]。 以降のスケジュールとして、2014年6月に募集要項の公表を行い、同年12月に1次審査を実施。2015年2月から5月頃にかけて、競争的対話(国交省とグループとの意見交換)を行い、同年5月に2次審査を実施。同年8月に運営事業者を決定。2016年1月より空港ターミナルビル等を先行して委託し、同年3月に完全委託することとした。事業委託期間は30年間とし、最大で30年間の延長ができるが、不可抗力等による影響を考慮し、最長運営期間は65年間となった。この他、委託事業者は宮城県が筆頭株主となっている現在の空港ビル施設事業者(仙台空港ビル・仙台エアカーゴターミナルの2社)の株式を取得する義務があること、仙台空港鉄道の運営も可能であることも明記された[15]。さらに、運営事業者が空港ビル施設事業者の株式を取得するにあたり、筆頭株主である宮城県が、2014年12月の1次審査前までに応募事業者を3者以上選定し、後に行われる審査に反映させるとする追加手順も示された[16]。
地方初の民営化空港を目指して
民営化スキーム案の公表
13年11月確定方針
14年4月
2014年07月募集要項公表2014年06月
2014年08月1次審査2014年12月
2015年01月2次審査2015年05月
2015年03月運営者決定2015年08月
2016年03月民営化移行2016年03月
民営化実施方針の公表
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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