仙台牛
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仙台牛切り落としすき焼き用。個体識別番号情報によると、宮城県大崎市生まれ大崎市育ちの牛肉と、青森県十和田市生まれ宮城県登米市育ちの牛肉が混ざっている。

仙台牛(せんだいぎゅう)は、全国で唯一、肉質等級が最高の「5」に格付けされないと呼称が許されないブランド牛肉である[1][2]宮城県特別表示認証食品に認証されており、地域団体商標も取得済みである。
定義

仙台牛の定義は
(品種)
黒毛和種であり、

(生産技術)仙台牛生産肥育体系に基づいて、個体にあった適正な管理が行われ、

地理的表示)宮城県で肥育された

格付け日本食肉格付協会枝肉取引規格が「A-5」及び「B-5」である牛肉

である[3]

定義1(品種)では「黒毛和種」(和牛)としているが、仙台牛は肉質の良かった茂重波号から血統が派生している。

定義3(地理的表示)では肥育のみに言及しているが、全ての定義を満たして仙台牛となった肉牛の雌親は100%宮城県産であり、雄親も約90%が宮城県産である[4]

宮城県で肥育されたが仙台牛の定義に当てはまらない牛は、後述のように他の銘柄として流通している。

「宮城」ではなく「仙台」が銘柄の名称に採用されているのは、「仙台」の方が県外での訴求力が強いからである(→仙台参照)。
格付け


歩留等級
ABC



級5仙台牛
4
3
2
1

仙台牛と呼称されるには定義4(格付け)が重要である。仙台牛は、日本食肉格付協会の肉質等級において、最高の5等級を満たす場合のみ呼称が許される。また、「歩留等級C」、すなわち、肉牛の体格が小さいために取れる枝肉の量が少ない場合は、「肉質等級5」であっても仙台牛とは呼称できない。

結果、A-5およびB-5の牛肉のみ仙台牛との呼称を得られる。これは、2002年平成14年)8月19日以前の松阪牛と同じ基準である(松阪牛は2002年平成14年)に肉質等級の基準が削除された)[5]

かつて松阪牛や飛騨牛なども「肉質等級5」に限定していたが、2001年平成13年)にBSE問題産地偽装事件が発生すると、2003年平成15年)の牛肉トレーサビリティ法施行前に基準を緩和した。2005年平成17年)時点では「肉質等級5」限定の銘柄牛肉は全国に仙台牛(年間生産量が約3,000頭分)、信州牛(同約600頭分)、深谷牛(同約300頭分)の3銘柄しかないとされた[4]が、2010年平成22年)時点では信州牛も深谷牛も基準を緩和しており、「肉質等級5」限定の銘柄牛肉は仙台牛が全国で唯一となっている[1]
生産

仙台牛はその定義により格付けが低い枝肉での呼称は許されないため流通量を確保するのが困難である。定義の1?3を満たす飼養戸数は宮城県内に約800戸あるが、定義4(格付け)により仙台牛は約3000頭/年(2002年平成14年)度)の生産量となっている。

「仙台牛」と認証された頭数の、県内産黒毛和牛出荷頭数全体に占める割合(「仙台牛」率)は、2002年平成14年)度が25.0%、2003年平成15年)度が22.4%、2004年平成16年)度が23.8%となっている。

2007年平成19年)、『「仙台牛」率』53%の「茂洋(しげひろ)」を基幹種雄牛として県が認定した[6][7]2010年平成22年)3月3日には茂洋の凍結精液を用いた牛が初出荷され[8]、『「仙台牛」率』60%という実績を得た[9]。本格的に流通し始める2011年平成23年)からは、県全体の『「仙台牛」率』の向上が見込まれている[7]
流通

卸売における「仙台牛」の出荷先(2004年平成16年)度実績)は、東京食肉市場が全体の54%を占める1,934頭で最も多かった。次に多かったのは仙台食肉市場で全体の43%の1,526頭、その他に流通したのは3%で117頭であった。同年度の東京食肉市場における銘柄牛肉の取り扱い頭数は、「仙台牛」が最も多かった[4]

小売において「仙台牛・仙台黒毛和牛取扱店」(指定店)の登録をしているのは宮城県が29.5%で最も多く、関東地方が15.4%で次いでいるが、西日本にも分布を広げている[4]。すなわち、卸売りされる東京と仙台の市場から、小売段階では全国に流通していることが分かる。

2010年平成22年)時点では、仙台牛銘柄推進協議会が認定する「指定店」(小売店)は498店、同協議会が仙台牛をメニューに加えることを認定した「提供店」(飲食店)は166店となっている[10]

なお、牛肉トレーサビリティ法施行後に他の銘柄牛肉では格付けの低い枝肉まで呼称を許すようになったため、銘柄内の差別化のためA-5やA-4のように日本食肉格付協会の格付けを明記して広告や小売を行う例が見られるようになった。他の銘柄牛肉では仙台牛並みのA-5およびB-5はその銘柄内で充分に差別化されて付加価値を帯びるが、仙台牛はA-5およびB-5という最高の格付けのみに限定されるため、仙台牛という銘柄内で差別化するのが困難である。そのため、特に仙台牛の「提供店」(飲食店)の一部では、日本食肉格付協会の格付けに加えて、BMS(脂肪交雑)の数値を明記して差別化する例が見られるようになった。肉質等級5ではBMSがNo.12からNo.8まで5段階に分かれ、数値が大きい方が良いが、供給量が比較的多いNo.8の仙台牛と少ないNo.12の仙台牛との間には時には数倍の価格差が卸し段階で生まれている。
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この節の加筆が望まれています。


1921年大正10年) - 「宮城県種畜場」が宮城県刈田郡白石町に創設。

1931年昭和6年) - 同施設が、肉質の向上を目的に兵庫県から種牛を導入。

1949年(昭和24年) - 農林省宮城種畜牧場廃止に伴い、「総合種畜場」として移転・発足。

1973年(昭和48年) - 「宮城県畜産試験場」に改称。

1974年(昭和49年) - 「茂金波号(しげかねなみごう)」の血統を受け継ぐ「茂重波号(しげしげなみごう)」を兵庫県から導入。

1978年(昭和53年) - 仙台牛銘柄推進協議会が発足(所在地:宮城県遠田郡美里町北浦字生地22-1 全国農業協同組合連合会宮城県本部・畜産部畜産課)。

2006年平成18年)4月3日 - 「仙台牛」(センダイギュウ、センダイウシ)の商標を出願。

2007年(平成19年)

8月10日 - 「仙台牛」が商標登録。

2007年平成19年)度全国肉用牛広域後代検定事業において脂肪交雑・ロース芯面積全国第1位となった「茂洋」を基幹種雄牛として県が認定。


2010年(平成22年)

3月3日 - 「茂洋」が初出荷。

10月 - 海外では初めて香港中華人民共和国)に所在する2店を仙台牛の「提供店」として認定した[10]


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