付随性
[Wikipedia|▼Menu]

付随性(ふずいせい、スーパーヴィーニエンス、: supervenience)は、哲学、その中でも特に心の哲学で使われる用語で、異なるレベルの特性の間に定義される強い依存関係のこと。厳密な定義は次のような形で与えられる。『おこりうるどの二つの状況を考えても「特性2に関して異なりながら特性1は同一だ」ということがない』ならば、
特性2は特性1に付随している。

一般的な用法として、特性2として心的な性質(命題的態度やクオリアなど)を、そして特性1として脳の物理的な状態(ニューロンの状態、神経伝達物質の濃度など)を考え、心的な性質の物理的な状態に対する付随性を議論する事が多い。すなわち「心的な性質は脳の物理的な状態に完全に依存して生起している」という事を言いたいときに、「心的な性質は脳の物理状態に付随している、(またはスーパーヴィーンしている)」などという風に使う。これはすなわち『おこりうるどの二つの状況を考えても、心的な性質に関して異なりながら、脳の物理状態が同一だ、ということはない』という意味である。

近年の神経科学の急速な発達により、「心的」とされる性質のほとんどが、ニューロンの興奮や、シナプスの状態といった脳の物理状態に付随するものだ、と一般に考えられるようになった。しかし心的な性質の全てについて脳の物理的な状態への付随性が成立しているのかについてはまだよくわかっていない。特に現在、心の哲学の分野ではクオリアの付随性についての議論が非常に盛んで、哲学的ゾンビや逆転クオリアといった、付随性が成り立っていないような状況について考える思考実験が、様々な論文に頻繁に登場する。
関連項目

必然性

同一性

還元主義

タイプとトークンの区別

参考文献

デイヴィッド・チャーマーズ著、林一訳『意識する心』「第二章 付随性と説明づけ」57-123ページ、白揚社、2001年。ISBN 4-8269-0106-2

外部リンク

日本語

太田雅子 「付随性と説明の十分性について」 科学哲学 Vol.32, No.1(1999) pp.45-54

中村隆文 「ヒューム主義的スーパーヴィーニエンスの問題は解消されるべきか?」 科学基礎論研究 Vol.35, No.2 (2008) pp.47-55

英語



Supervenience (英語) - スタンフォード哲学百科事典「付随性」の項目。



Supervenience and Determination (英語) - インターネット哲学百科事典「付随性と決定」の項目。

(文献リスト)Supervenience (英語) - PhilPapers 「付随性」の文献一覧。










心の哲学のトピックス
概念

- 意識志向性 - 現象的意識 - クオリア - アウェアネス - 意識の神経相関) - 心身問題 - 説明のギャップ - 意識のハード・プロブレム - 私はなぜ私なのか - 付随性 - タイプとトークンの区別 - 因果的閉包性 - 自由意志 - カルテジアン劇場 - 我思う、ゆえに我あり - カテゴリー錯誤 - 心のモジュール性 - 心の理論
一元論

物理主義唯物論 - 行動主義 - 同一説 - 機能主義 - 計算主義)- 中立一元論 - 観念論独我論


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:13 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef