仕掛人梅安
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仕掛人・藤枝梅安
小説
著者
池波正太郎
出版社講談社
掲載誌小説現代
刊行期間1972年 - 1990年
巻数全7巻
話数全20篇
その他作者の死去により未完
漫画:仕掛人 藤枝梅安
原作・原案など池波正太郎
作画さいとう・たかを
出版社リイド社
掲載誌増刊コミック乱
コミック乱ツインズ
レーベルSPコミックス
発表期間2001年 - 2014年(未完)
巻数既刊35巻
漫画:仕掛人 藤枝梅安
原作・原案など池波正太郎
作画武村勇治
出版社リイド社
掲載誌コミック乱ツインズ
レーベルSPコミックス
発表号2016年6月号 - 2021年12月号
巻数全10巻
漫画:仕掛人 めし噺 ?藤枝梅安歳食記?
原作・原案など池波正太郎
作画武村勇治
出版社リイド社
掲載誌コミック乱ツインズ
発表号2022年4月号 - 2023年3月号
巻数全1巻
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ポータル文学

『仕掛人・藤枝梅安』(しかけにん ふじえだばいあん)は、池波正太郎の娯楽時代小説シリーズ。鍼医者・藤枝梅安の、暗殺稼業「仕掛人」としての活躍を描く。『小説現代』で1972年昭和47年)から1990年平成2年)の間に発表した全20篇の連作時代小説であり、『鬼平犯科帳』『剣客商売』と並ぶ著者の代表作である。テレビドラマ化や漫画化もされており、必殺シリーズの翻案元としても知られる。

連載中に池波が他界したことによる未完の『梅安冬時雨』が、結果として最終巻となった。
概要

1972年(昭和47年)『小説現代』3月号に掲載された『おんなごろし』から、1990年(平成2年)『小説現代』4月号で作者の死去によって中断するまで連載された連作娯楽時代小説シリーズである。

「仕掛人」と呼ばれる江戸時代の暗殺者の活躍を描くものであるが、この「仕掛人」を主題に据えた作品自体は1971年(昭和46年)に『小説新潮』11月号で発表された短編『殺しの掟』が初出である。後述する『必殺仕掛人』との並行もあって、『殺しの掟』を下敷きに江戸は品川台町に居を構える鍼医者・藤枝梅安を主人公として連載を始めたのが本作である。
内容

江戸は品川台町で評判の診療所を開き、貴賎の別なく治療を施す鍼医者の藤枝梅安は、裏稼業として金で殺しを請け負う仕掛人でもあった。梅安は蔓(依頼者より殺しを請け負い仲介する者のこと)より殺しの依頼を受けると、表稼業の道具でもある鍼を武器に、何の痕跡もなく標的を暗殺していく。
登場人物詳細は「仕掛人・藤枝梅安の登場人物」を参照
藤枝梅安
主人公。腕の良い鍼医者で、凄腕の仕掛人。
彦次郎
梅安の親友兼相棒。腕の立つ楊枝職人で仕掛人。
小杉十五郎
若い剣客。ある一件で梅安や彦次郎と知己の仲となる。
仕掛人の設定

本作では仲介者を経て金の受け渡しをする殺人請負のシステムを「仕掛け」と呼び、それを実行する殺し屋を「仕掛人」と呼ぶ。

依頼は必ず蔓と呼ばれる仲介者を経由しなければならないなど、基本的に以下の順番を経る。
起こりと呼ばれる依頼人が蔓に代金と標的、事情を話し、殺しを依頼する

蔓はその話の内容から仕事として成り立つかを見極める

蔓は難易度や状況など、依頼に合った仕掛人に対して依頼を持ちこむ

依頼を受けた仕掛人は前金(半金)を受け取る

標的を暗殺する

蔓は仕掛人に後金(半金)を払う

頼み料は難易度や事情によっても異なるが、梅安の場合では最高で300両、最低で20両。概ねは50両から150両の間で推移していた。この内、半分を蔓が取り、残り半分が仕掛人の報酬となる。ただし、この半分もさらに前金と後金の半分にされ、依頼の達成によって全額が払われる仕組みとなっている[注 1]。また、仕事を請けて前金を受け取った場合、原則として降りることはできず、死んでもやりとげねばならない。

また、仕掛けの定法として仕掛けに必要なこと以上の情報は仕掛人に伝えないというものがあり、基本的に仕掛人はその依頼の背景や頼み人も知らず[注 2]、ただ教えられた標的を殺害するだけである。このため、その依頼が妥当かどうかは蔓の信用の高さや、仕掛人と蔓の信頼関係の厚さにより、作中でもしばしばテーマになる。作中に登場して梅安に依頼する蔓は、梅安が理不尽な殺しを嫌うことを前提としており、そのような殺しの依頼はしないか、そもそも引き受けない[注 3]。このため、蔓が騙して理不尽な殺しをさせようとしたり、調査に手抜かりがあって危うく誤った人物を殺害しそうになるなど、両者の関係を破壊するようなことが発覚した場合、蔓が処断されることもある(『梅安晦日蕎麦』など)。
用語

本作では『鬼平犯科帳』の盗人用語のように、作者の池波による造語が登場する。
仕掛け・仕掛人(しかけ・しかけにん)
暗殺の隠語。本作では仲介者を経て金の受け渡しをする殺人請負を仕掛けと呼び、これを行う暗殺者を仕掛人と呼ぶ。『おんなごろし』では「仕掛屋」と呼ぶ場合もあると説明されている(作中、使用例無し)。
蔓(つる)
頼み人(起こり)から殺しの依頼を引き受け、仕掛人との仲介を行う者。その内容だけに香具師の元締や暗黒街の顔役など、大物が務めていることが多く、単に「元締」とも呼ばれることも多い。蔓は頼み金の半金を受け取り、起こりが適切なものであることを保証し、場合によっては仕掛けの準備なども行い、仕掛人をサポートする。
起こり(おこり)
仕掛けを依頼する人。依頼人の素性や依頼理由は様々である。
時代設定と他の池波作品との関係

本作の時代設定は江戸幕府第11代将軍・徳川家斉の治世下である1799年(寛政11年)から始まり、最終作となる『梅安冬時雨』では1806年(文化3年)となっている。

他の作品と比較すると、田沼時代がメインとなる『剣客商売』(安永6年〈1777年〉から天明4年〈1784年〉)や、長谷川平蔵が火付盗賊改役であった期間である『鬼平犯科帳』(天明7年〈1787年〉から寛政期〈1789年から1801年〉)のやや後の時代となっている。

共通する人物として秋山小兵衛の親友・牛堀九万之助や金子孫十郎がおり、小杉十五郎は、牛堀九万之助の弟子で、牛掘亡き後の後継者争いに巻き込まれることとなる。『鬼平犯科帳』などで盗人用語として良く知られる作者の造語は本作でもよく用いられ、反対に「仕掛人」や「蔓」といった本作特有の造語も、他作品でしばしば用いられている。『剣客商売』で秋山小兵衛が「仕掛人」について否定的なコメントをするなど、仕掛人自体の存在もおぼろげながら知られている設定になっている。また、両作品と比較すると実在の人物や実在のできごとが引き合いに出されることは少ない。
仕掛人・藤枝梅安シリーズ


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