介護老人保健施設
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介護老人保健施設(かいごろうじんほけんしせつ)とは、介護保険が適用される介護サービスで、在宅への復帰を目標に心身の機能回復、活動の向上を行う施設

また療養型介護老人保健施設(りょうようがたかいごろうじんほけんしせつ)とは、介護保険が適用される介護サービスで、病気や障害で自宅での生活が困難または在宅への復帰が困難な高齢者の日常生活の介護をする施設。通称、療養型老健または療養型老人保健施設。

これら施設入所者の95%は認知症を持っており、さらに44.6%は寝たきり状態である[1]。平均在所日数は311.3日であった(2013年)[1]

日本の介護保険サービス給付(2015年)[2]居宅型
3,889億円
(49.5%)訪問通所
3,054億円
(38.9%)訪問介護/入浴816億円(10.4%)
訪問看護/リハ211億円(2.7%)
通所介護/リハ1,777億円(22.7%)
福祉用具貸与247億円(3.2%)
短期入所(ショートステイ)375億円(5.8%)
その他458億円(4.9%)
地域密着型
948億円
(12.1%)小規模多機能型居宅介護182億円(2.3%)
認知症グループホーム509億円(6.5%)
地域密着型介護老人福祉施設134億円(1.7%)
その他123億円(1.6%)
施設型
2,593億円
(34.9%)介護福祉施設(特養)1,363億円(17.4%)
介護老人保健施設(老健)1,017億円(12.9%)
介護療養施設227億円(2.9%)
居宅介護支援(ケアマネ)408億円(5.2%)
総額7,854億円
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定義

介護保険法第8条第28項[3]において介護老人保健施設は以下に定義される。要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者(その治療の必要の程度につき厚生労働省令で定めるものに限る。以下この項において単に「要介護者」という。)に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設として、第九十四条第一項の都道府県知事の許可を受けたものをいい、「介護保健施設サービス」とは、介護老人保健施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話

自宅で生活できる状態に回復することを目的に、心身の機能回復(リハビリ)訓練、食事・排泄・入浴・就寝・健康管理などの日常生活の介護、心身の機能維持、通院への付き添い、急性の病気・負傷時の病院への搬送・付き添い、介護保険が適用されるサービスに関する相談などを行ない、できる限り、自宅での生活に復帰できることを目標にする施設である。

介護老人保健施設は以下の類型が認められている。
サテライト型小規模介護老人保健施設
定員29名以下の施設。設置するには別途介護老人保健施設や介護医療院、病院、診療所を本体施設として有する必要がある。
医療機関併設型小規模介護老人保健施設
定員29名以下の施設。介護老人保健施設や介護医療院、病院、診療所に併設されている。
分館型介護老人保健施設
本体としての介護老人保健施設と一体的に運営することを条件に設置が認められる。
療養型介護老人保健施設
厚生労働省の介護政策により2019(平成31)年3月31日までに、廃止と事業形態の転換を目標にしている介護療養病床の、事業形態転換後のモデルとして新設された事業形態であり、心身の病気や障害により自宅で自力で生活することが困難であり、家族による在宅介護を受けることができない状況であり、在宅介護サービス事業者による介護が困難であり、在宅介護サービス事業者による介護よりも施設入所のほうが要介護者のクオリティ・オブ・ライフ (QOL) にとって望ましい場合、食事・排泄・入浴・就寝・健康管理などの日常生活の介護、心身の機能維持、痰の吸引、点滴による水分・栄養・医薬品の投与、胃瘻からの水分・栄養・医薬品の投与、急性の病気・負傷時の病院への搬送、終末期の看取り、介護保険が適用されるサービスに関する相談などを行なうことを目的とする施設であり、介護老人福祉施設と医療療養病床の中間の施設である。
サービスの種類・利用形態

入所。

宿泊するショートステイ。

昼間に送迎付きの通いでサービスを受けるデイケア。

入所期限

老健施設は、リハビリスタッフや看護師、医師等の配置基準が介護老人福祉施設より多く、介護老人福祉施設より介護報酬は高く設定されている。リハビリ等が介護老人福祉施設より充実し、できる限り在宅復帰を目標にしているため、入所期間は介護老人福祉施設と違い無期限ではなく、3か月毎に退所か入所継続の判定が行われるが、現状では介護老人福祉施設の入所待機所として利用している入所者も存在する。

療養型老健施設は、在宅への復帰は目標とせず、事業目的・サービスに看取りも含まれているので、介護老人福祉施設介護療養型医療施設、医療療養病床と同様に、入所期限は無期限であるが、病気や障害の進行や悪化により、心身の状況が、療養型介護老人保健施設でケアできる範囲を超えた場合は、退所し医療療養病床や終末期病床へ転院になる。

急性期の病気障害急性期病院に入院する場合退所となる。
財政規模

施設数 - 3931施設 (2013年)
[1]

定員数 - 35, 2182人、1施設あたり89.2人。(2013年)[1]

月間費用額 - 98,455百万円(2012年12月)。これは介護費総額の13.8%にあたる[4]

利用対象者

要介護1?5のいずれかの認定を受けている人。
居室

多床室 ? 一つの居室に複数のベッドを設置して複数の入所者で利用する。

従来型個室 ? 一つの居室にベッドを1台設置して一室を一人の入所者が利用する。以前は「個室」と表現していたが、ユニット型の出現により「従来型個室」と表現される。

ユニット型準個室 ? 一つの居室にベッドを1台設置して一室を一人の入所者が利用する。居室10室単位で共有スペースであるロビー、ダイニング、簡易キッチン、バス(複数)、トイレ(複数)を共有し、共同生活をする。介護職員はユニットごとに専任になる。ユニット型個室との差異は、従来型・非ユニット型の介護施設をユニット型に改装した場合に、多床室を分割して個室に改装した居室である。

ユニット型個室 ? 一つの居室にベッドを1台設置して一室を一人の入所者が利用する。居室10室単位で共有スペースであるロビー、ダイニング、簡易キッチン、バス(複数)、トイレ(複数)を共有し、共同生活をする。介護職員はユニットごとに専任になる。

施設要件

利用者100名当たりで最低限配置が求められる医療専門職者数

常勤の
医師1名、看護師9名、介護士(介護福祉士)25名、理学療法士作業療法士または言語聴覚士1名、介護支援専門員1名、支援相談員1名


用件に定められていない上記以外の専門職

訪問介護員管理栄養士社会福祉士など


設置する設備

居室(多床室の定員は原則として4人以下)、食堂調理場浴室、洗面所、便所、機能訓練室、医務室、ロビー、ホール、事務室

入所手続き

入所希望者本人または代理権者(配偶者や子など)は、個々の事業者に入所申込書を提出し、入所希望者である要介護者の、要介護度、心身の状況、現在の滞在場所・滞在期間、受けている医療や介護の状況、在宅の場合は家族介護者の状況などの、入所優先順位を決定する要素を数値化して、総合した数値により待機者の入所優先順位を設定する。国や都道府県や市区町村の統一申込制度は存在しない。

入所待機者は詳細な統計がないので不明であるが、介護老人福祉施設と比較すると少ないと推測され[5]、いつ入所できるか不明なので、入所申込者は、入所できる時期を早め、入所できる可能性を高めるために、入所希望地域やその周辺で複数の施設に重複申し込みをして待機する状況であり、国や都道府県や市区町村の統一申込制度は存在せず、入所希望者・待機者の死亡や他施設への入所や入院により、入所申込している介護老人保健施設への入所の必要性が消失していても、入所申込者が入所申込をしている介護老人保健施設に入所の必要性が消失した状況や申し込みの取り消しを連絡する義務はなく、連絡されずに名目上・書類上だけ申し込み済みで入所待機状態になっている事例も多数あると推定されるので、実質の待機者は名目よりも少ないと推定される[5]
利用者の負担額

利用者が支払う費用は、要介護度別と居室種類別の介護報酬の10%+食費+居室種類別の居住費である[6][7][8]

低所得者に対しては所得水準に応じて、食費と居住費に3段階の減免措置があり、減免分は基礎自治体である市区町村が負担する[6][7][8]


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