人魚シリーズ
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人魚シリーズ
ジャンル
サスペンスホラーダーク・ファンタジー
漫画
作者高橋留美子
出版社小学館

その他の出版社
尖端出版(タイトルは『人魚之森』)

掲載誌週刊少年サンデー増刊
週刊少年サンデー
発表号1984年8-9月号 - 1994年7-8月号
巻数全2巻(るーみっくわーるど すぺしゃる)
全3巻(人魚シリーズ)
ラジオドラマ:ミュージカルファンタジー『人魚の森』
原作高橋留美子
放送局NHK-FM
番組FMシアター
発表期間1989年11月3日 - 1989年11月3日
収録時間75分
話数全1話
OVA:人魚の森
原作高橋留美子
監督水谷貴哉
シリーズ構成大久保昌一良
キャラクターデザイン一石小百合
アニメーション制作オービー企画
製作小学館、ビクター音楽産業
発売日1991年8月
収録時間55分
話数全1話
OVA:人魚の傷
原作高橋留美子
監督浅香守生
シリーズ構成浦畑達彦
キャラクターデザイン高橋久美子
アニメーション制作マッドハウス
製作小学館、ビクターエンタテインメント
発売日1993年9月
収録時間46分
話数全1話
小説
著者金春智子
イラスト高橋留美子
出版社小学館
レーベルスーパークエスト文庫
発行日1994年3月(人魚の森)
1995年3月(約束の明日)
巻数全2巻
アニメ:高橋留美子劇場 人魚の森
原作高橋留美子
監督奥脇雅晴
シリーズ構成宮下隼一
キャラクターデザイン佐藤正樹
アニメーション制作トムス・エンタテインメント
製作テレビ東京
トムス・エンタテインメント
放送局テレビ東京
放送期間2003年10月5日 - 2003年12月21日
話数全13話(11話(TV放送)+2話(TV未放送))
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画アニメ
ポータル漫画アニメ

『人魚シリーズ』(にんぎょしりーず)は、高橋留美子による日本の読み切り漫画シリーズの総称、およびこれを原作としたOVAテレビアニメ小説ラジオドラマ作品。「人魚の森」が第20回(1989年星雲賞コミック部門を受賞している[1]

なお、人魚シリーズという総称は2003年後半に発刊された単行本以後に用いられているものである。
概要

週刊少年サンデー増刊号』、『週刊少年サンデー』(小学館)に不定期掲載。単行本は小学館:るーみっくわーるど すぺしゃるより「人魚の森」「人魚の傷」の2巻、少年サンデーコミックススペシャルより「人魚の森」「人魚の傷」「夜叉の瞳」の3巻が刊行中。

肉を食べれば永遠の命が得られるという人魚。その肉を食べて不老不死となってしまった湧太と真魚の2人の旅を物語の主軸とし、“永遠に生き続けることの苦悩”“不老不死を求める人間の愚かさ”“命の意味”などがメインテーマとなっている。

この作品での人魚は日本古来の伝説に登場する醜悪な化け物として扱われている。ストーリーもバッドエンディングやしこりが残る終わり方が多く、ギャグ要素の強い作品の多い高橋作品の中では異色作として扱われる場合もあるが、このようなシリアスな作風は過去の短編作品にも存在し、『犬夜叉』にも受け継がれている。

1991年に『人魚の森』、1993年に『人魚の傷』として、それぞれビクター音楽産業よりOVAとして製作・発売された。

2003年テレビアニメ高橋留美子劇場」枠の後半(第2クール)において俗に高橋留美子劇場 第2シリーズとも呼ばれる高橋留美子劇場 人魚の森としてテレビアニメ化、全11話。
あらすじ

現代より約500年前。漁師の湧太は仲間と共に浜に流れ着いた人魚の肉を面白半分に食べてしまう。すると仲間は次々に死んでいき、湧太だけが生き残り、不老不死の体となってしまった。

不老不死の妙薬と呼ばれる人魚の肉。それは力が強すぎるために、普通の人間にとっては猛毒であり、死ぬか、“なりそこない”と呼ばれる化け物に変わる。それに耐え切り不老不死を得ることができる者は、数百年に一人。湧太がその一人の人間であった。そのために湧太は、人と交われぬ永遠の孤独をその身に背負うことになる。親しいものは皆死に絶え、永遠の時を生きなければならない。いつしか湧太は元の人間に戻ることを切望するようになる。

元の人間に戻るためには人魚に会うこと、「人魚に会えば何とかなる」と聞かされた湧太は人魚を探す旅を続けることになった。戦国江戸明治大正昭和。数多き時代を流れ生きる湧太だったが、ある日ついに人魚の里を見つけ出す。

湧太がそこで出会ったのは、囚われの身の少女・真魚であった。彼女は人魚の里の陰謀により人魚の肉を食べさせられて不老不死になった人間だった。

「元の人間に戻る方法は無い」と言い渡された湧太は、助け出した真魚と共に旅に出る。その永遠の旅の中、彼らは「人魚の伝説」に翻弄される人々の悲哀を見続ける。
登場人物

声の項は特記ない限りテレビアニメ版のキャストとし、それ以外のものは別途記載する。
主要人物
湧太(ゆうた)
- 山寺宏一(テレビアニメ版、OVA版) / 野口五郎(ラジオドラマ版)本作の主人公。500歳。非常に落ち着きがあり常に達観している。500年前は漁師をしていたが、仲間が見つけてきた人魚の肉を興味本位で食べたことにより不老不死の身体になる。人間に戻れる方法を人魚に教えてもらうため、人魚を探して漂泊の旅を続けていた。人魚の里でそのような方法は存在しないと聞かされてからは、そこで救出した真魚と2人で旅を続ける。
真魚(まな)
声 - 高山みなみ(テレビアニメ版、OVA版) / 島田歌穂(ラジオドラマ版)本作のヒロイン。舞台が現代(昭和50年代後期頃以降)の話に登場。自身が育った集落は瀬戸内地方にある[2]。世間知らずなお転婆娘で、勝気かつ男勝りな性格。その時々に拉致されたり囚われた先でも臆することなく食事をするなど非常に逞しい。赤子の時にさらわれ、人魚の里で足枷をはめられたまま15歳まで育てられ、鮎(人魚)の肉を食べさせられて不老不死となった。人魚は、人魚の肉を食べて不老不死になった人間の肉を食べると若返り、その食べた人間の顔になることができるため、彼女は美しく成長するまで育てられていた。湧太に助けられて以後は共に旅をしている。旅を始めた当初は寄せ場の飯炊き手伝いをさせられても茶を淹れ方も知らなかった。
人魚は笑わない
おばば
声 -
滝沢ロコ / 大方斐紗子(ラジオドラマ版)人魚の里の村長格であり、真魚を世話していた老婆。真魚に人魚の肉を食べさせ不老不死にすることには成功したが、人魚に食べさせて若返らせることは湧太により阻止された。正体は不老不死になった人間の一人。
鮎(あゆ)
声 - 本間ゆかり人魚の里の中で1番長く生きたとされる人魚。真魚が15歳になった際、不老不死にさせるための生贄として里の人魚たちに殺された。
鰍(かじか)
里の人魚の一人。里の人魚達はほとんどは老婆の顔立ちをしているが、何故か鰍と鮎を含めた4人の人魚だけが同じ若い女性の顔立ちをしている。なりそこないを殺す毒を持ち歩いており、湧太達がなりそこないに遭遇した際に仕留めたが負傷する。
闘魚の里
鱗(りん)
声 -
桑島法子 / 島田歌穂(ラジオドラマ版)戦国時代の海賊の頭領の娘。海賊と言っても通行料として「積み荷の一割」を徴収している。病気の父にかわり頭領をしていた時に湧太に出会う。病気の父に人魚を食べさせるために湧太と人魚を探していた。湧太に好意を寄せていたが、想いが叶うことはなかった。
砂(いさご)
声 - 折笠愛 / 三浦真弓(ラジオドラマ版)鱗たちとは敵対関係にある海賊「逆髪衆」の頭領の女房。元々は3年前に夫を逆髪衆の頭領に殺された人質だったが、現在は頭領に取り入り頭角を現す。湧太と鱗に人魚を探させるために鱗の父を刺し、逆上した鱗に殺害されるが生き返る。正体は陸の人魚であり、3年間胎内に宿している陸の人魚の血を引く前夫の子の滋養のために「海の人魚」の肉を必要としていた[3]。逆髪衆が人魚の肉を食べ壊滅した後、崖から身を投じ人魚の姿に戻って海に還った。
鱗の父(りんのちち)
声 - 有本欽隆海賊の頭領であるが病気になっている。嫡子の藤吉(演:豊嶋真千子)が幼いため鱗が代わりを務めている。欲をかくと碌なことにならないと「ほどほどにやる」ことを信条としている。
逆髪衆の頭(さかがみしゅうのかしら)
声 - 広瀬正志鱗たちとは敵対関係にある海賊「逆髪衆」の頭領。襲った船は皆殺しにし全てを奪ったり、部下を撲殺するなど相当残虐な性格。人魚の肉を食べ一時は適合したかのように思われたが、配下の者と同じくなりそこないになり最期を迎えた。
人魚の森
神無木登和(かんなぎ とわ)
声 -
島本須美 / 土井美加(OVA版)60年前に不治の病に冒されたが、双子の妹(佐和)が持ち出した秘伝の人魚の生き血を口にしたため、生き永らえる。その副作用で髪は白髪になり、右腕だけがなりそこないになってしまった。以後死亡したことにされ、実父が死去するまで座敷牢に幽閉されていた。姿は少女のままだが、肉体は衰弱している。右腕は若い女性の死体の腕を挿げ替えることができるが、数年で元のなりそこないに戻る。自分を不老不死の実験台にしておきながら女としての人生を歩んでいった妹を恨み復讐として妹を「人として死なせない」ようにする為に人魚の肉を欲していた。後に湧太達を利用して人魚の肉を手に入れることに成功し、佐和に食べさせようとするも、彼女が死んでしまったことで復讐は果たすことが出来ず、最後は失意の中湧太達に人魚に関わる物全てを燃やすよう頼み、その炎に身を投じて終わらせた。
神無木佐和(かんなぎ さわ)
声 - 京田尚子 / 此島愛子(OVA版)声(若い頃) - 池澤春菜 / 山崎和佳奈(OVA版)登和の双子の妹。永遠の美貌を欲し、登和に人魚の生き血を飲ませ実験台にした。登和の症状から人魚の生き血を飲むことを断念し、神無木家と生け捕りにした人魚の隠し場所「人魚塚」を相続する。結婚し息子がいたが、息子は第二次世界大戦太平洋戦争)で戦死、夫にも先立たれた。最後は登和に人魚の肉を食べるよう迫られるが心臓麻痺で死亡してしまい、図らずも人間としての生を全うした為に登和を落胆させた。
椎名(しいな)
声 - 依田英助 / 槐柳二(OVA版)声(若い頃) - 三戸耕三 / 田中和実(OVA版)神無木家の主治医。事故により一時的に死んでいた真魚を神無木家に運び、その腕を登和に移植しようとした。かつては登和の婚約者でもあり、軟禁状態の彼女を連れ出そうとしたこともあったが、佐和への復讐に固執する登和に拒否された。
夢の終わり
大眼(おおまなこ)
声 -
郷里大輔かつては漁師であったが、人魚の肉を食べてなりそこないになった。シリーズ内のなりそこないの中で唯一、理性を残し言葉を話すことが出来る。人魚の肉の副作用のせいで時々理性も失われて人間を襲うため、化け物として恐れられ、山で落人のような暮らしをしていた。一時的に死んでいた真魚を救い、同じ不老不死の彼女に好意を寄せる。最後は湧太によって命を断たれ、死の直前には本来の人間の心を取り戻した。
約束の明日
木暮
[4]苗(こぐれなえ)
声 - 天野由梨60年前に湧太と惹かれあった女性。英二郎と婚約しており、湧太と駆け落ちしようとしていたが、湧太が拒否した直後に行方不明となり死亡したことにされていた。実は英二郎に殺され、その遺体は人魚の灰が撒かれた谷に57年間も腐敗せずに埋められていた。苗が生前に隠していた人魚の灰を探しあてた英二郎により57年後に甦ったが、生きる屍に過ぎず、常に虚ろな状態で平気で人殺しをする残忍な性格に変わり果てていた。湧太への想いは残り、彼との約束を果たそうと谷へ向かう。人魚の灰の効きめが切れる直前に、湧太の前で正気に戻り、彼の腕の中で亡くなった。
英二郎(えいじろう)
声 - 大木民夫 / 60年前:松本保典苗の許婚だったが相手にされず、湧太との駆け落ちを妨害し苗を殺害した。人魚の灰で蘇らせようとしたが、苗が人魚の灰を隠していたため、財閥の娘と政略結婚し、隠されていそうな土地を買収して捜索していた。苗の思い故に性格を歪ませ、現在は部下に一般人の殺害を平然と命じる冷酷な性格となってしまった。杖には刀が仕込んである。
草吉(そうきち)
声 - 稲葉実 / 60年前:頓宮恭子少年時代に苗に仕えていた男。彼女が行方不明になっても生存を願っていた。60年ぶりに湧太と再会するも、苗の願いをかなえられなかった彼に若干のわだかまりを感じていたが、基本的には協力的。
人魚の傷
真人(まさと)
声 -
大本眞基子 / 原田優一(OVA版)湧太達が電車で出会った少年。その正体は人魚の肉を食べて不老不死になり800年間生きてきた人間で、シリーズ内では最年長。表は弱気な性格だが、裏では目的のためなら手段を選ばない冷酷な性格。子供の姿のまま成長できないために一人で生活できず、養ってもらえる大人の女性を探すために多くの人間に人魚の肉を食べさせ、なりそこないにした。初めは慕っていた雪枝を不老不死にしようと人魚の肉を食べさせるも彼女がなりそこないになったため、既に不老不死である真魚を狙い、湧太を殺害しようとする。有刺鉄線や斧、スタンガン、果ては第二次世界大戦で手に入れた拳銃まで用い、湧太を一時死に追い込むほど苦しめた。最期は車を運転して逃げようするも、大型トラックと衝突した後(OVA版では大型トラックと衝突した後、落下した車もろ共爆破)に生死不明となる[5]
美沙(みさ)
声 - 佐久間レイ / 高島雅羅(OVA版)東京大空襲後に真人によって不老不死にされた女性。人魚の力が弱まってきている。初めは真人を亡くした子供のように思い共に暮らしていたが、次第に彼を気味悪がって去り、その後は資産家と結婚したが夫はクルーザーの事故で亡くなり、その事故が記事に載ったのを見たのか真人がやって来る。その後は再び親子として生活していた。しかし不死能力が落ちた自分の代わりを探すという真人から、新たな犠牲者を減らす為に真人の持つ人魚の肉を葬ろうと様々な手を尽くす。それに固執するあまり湧太に襲い掛かったこともあり、湧太からは人魚の肉を狙う敵と誤解される。最期は真人によってなりそこないになってしまった雪枝によって致命傷を負わされ死亡し、遺体は真人に燃やされた。
雪枝(ゆきえ)
声 - 本多知恵子 / 井上喜久子(OVA版)美沙の家政婦。明るく優しくて好かれやすいタイプ。結婚が決まり仕事を辞めようとしていたが、美沙の代わりにしようとした真人によって人魚の肉を食べさせられなりそこないとなり、湧太に攻撃され死亡する[6]
舎利姫
なつめ
声 -
杉山佳寿子江戸時代初期に湧太が出会った少女で、見世物小屋で傷を負ってもたちまち治る芸をしていた。実は白骨の状態から法師に左法(邪法)である人魚の肝を使った反魂の秘術を施されて甦った少女であり、常に生き物から生肝を摂取しないと生きられない身体であった。生前の記憶がなく、おとうを本当に実の父親なのか疑っていた。
おとう
声 - 北村弘一 / 若い頃:菅原淳一なつめの父親で、人間。法師の使った反魂の術を見覚え、それを利用し様々な死者を蘇らせ商いを行っていた。しかし彼の反魂の術は不完全なものであり、復活させられた者は皆、突然骨に還る。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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