人形
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この項目では、人間の形をかたどったものについて説明しています。その他の用法については「人形 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
雛人形五月人形(さつきにんぎょう)

人形(にんぎょう、ひとがた)は人間の姿を似せて作られた物をさす。

人形の作成は、古くは先史時代から始まり、いずれの時代でも作られ、人間の文化活動の本質的なものであるといえる。

現代の人形の主な用途は、祭礼などの宗教行事や伝統行事文楽などの人形劇で使われる他、玩具土産物芸術作品など、多分野である。
人形の使用目的
玩具としての用途の人形

古来、人形は子供の遊び道具として与えられ、使用された。日本各地に現在も存在する「郷土人形」は幼い子供の玩具として非常に大切にされた。日本では主に木製や土製の素材に胡粉などで着彩をした人形が多いが、工芸品として精巧に作られた物もあり、戦後からは美術品として扱われる郷土人形もある。江戸時代に普及した女児向けの人形に「姉様人形」がある。和紙千代紙(ちよがみ)で造られた素朴だが優雅な人形は、裕福な武家商家子女に大切にされた。代表的な遊び方としては、人形を擬人化して日常生活を再現する「飯事あそび」や、時代がかなり後の近代からは布製の「文化人形」で遊ぶことが普及した。人形の衣服を交換し組み合わせなどを楽しむ「着せ替えあそび」などは、戦後に日本全国で広まった。

西洋では、ルネサンス期イタリアを起源に、フランス貴族社会で発展、19世紀半ばから20世紀初頭までヨーロッパの一般庶民に普及した、いわゆる「フランス人形」が代表的である。

現代での「着せ替えあそび」は、合成樹脂製の着せ替え人形で遊ぶ。後述のマネキンと類似し衣服を着せたり、脱衣の状態にできる場合が多い。複数の付属品の衣装があり、それはほぼ現実の人間の衣服に似せている。着脱には背面に付けられたマジックテープスナップを使う。日本では、1960年代頃から生活の西洋化とともに普及し、製品にはシルバニアファミリーリカちゃん人形バービー人形などがある。高度経済成長と相まって、庶民のファッションの隆盛とともに人形の衣服も華やかさを増していった。

女児が母親の立場として育児を前提とする赤ちゃんに擬似した人形(授乳のための「ミルク飲み人形」やおむつ替えのための人形など)もある。
観賞人形マトリョーシカ

アンティーク・ドール日本人形のような伝統的な美術工芸品としての価値の高いものや、マトリョーシカやこけしのように造形に特色のある工芸品の人形などは、ガラスケースなどに入れてインテリアとして飾ることもある。

日本では、雛祭り端午の節句のような伝統的な行事に特別につくられた美術価値の高い、人形を飾ることがならわしである。
祭礼・呪術用途の人形祭礼山車に飾られる人形(とちぎ秋まつり大祓(おおはらえ)の人形(ひとがた)

古代では、人形は他人に呪いをかけるための呪詛の道具や、人間の身代わりに厄災を引き受けてくれる対象物として使われた。前者の例としては藁人形(わらにんぎょう)やブードゥー教の泥人形、後者の例では和紙の流し雛などが挙げられる。後者のうち、現代でも神道大祓等で用いられる和紙のものは、通常同じ字で「ひとがた」と呼び分けたり、「形代」(かたしろ)と称したりする。他にも、山車人形のように神などをかたどった人形が象徴として飾られる祭もある。
縁起かつぎとしての人形

幸福や商売繁盛などを導くために、七福神福助人形ビリケンなどを飾る風習がある。また、結婚式の結納品として、夫婦円満や長寿を願うために(邪気を払う)と熊手(福をかき集める)[1]を持った老夫婦の高砂人形(たかさごにんぎょう)(お前百(=掃く)まで、わしゃ九十九まで(=熊手)、共に白髪(しらが)の生えるまで)などもある。
商業用途の人形

洋服呉服などの衣料品を販売する場で、商品を着用させて顧客に着用イメージを伝達する効果を目的にした人形が存在する。これらの衣料品販売店などで使用されるマネキン人形は衣服の展示や紹介を目的とし、美術のデッサンで使用されるデッサン人形などは人間のモデル代わりに用いることで手元でフォルムの確認ができることや、動作のないという利点がある。

また、特定の店舗(多くはチェーン店)のシンボルやメーカーの販促として人形が置かれることもある。不二家の「ペコちゃん」、佐藤製薬の「サトちゃん」、ケンタッキーフライドチキンの「カーネル・サンダース」、くいだおれの「くいだおれ太郎」、ジャパンの「さわやか親父」、すしざんまいの社長の等身大人形など。
かかし人形

農産物生産の現場(田んぼや畑等)で、作物を荒らすスズメツバメカラスを追い払うためかかし人形が使われる。数体規模で立てられている場合が多い。近年はマネキンの流用であったり衣服に工夫が凝らされるなど、艶やかに多様化していて、コンテストを行っている自治体もある。
交通関連の人形横断旗入れ(裾)を兼ねた交通安全人形(奈良県)

工事現場では、交通誘導を促す電気仕掛けの人形があり、ライトを明滅させるだけでなく、腕を半円状に動かすものもある。

交通安全キャンペーン

歩行者飛び出し注意を促す目的として、児童やアニメ作品の人気キャラクターを模した人形が使われている事がよくある。道路横断時の横断旗入れを兼ねていることもある。

車の速度注意を促す目的として、警察官を模した人形が使われる事がよくある。


教育・訓練用途の人形

解剖学などで用いられる人体模型や、人命救助人工呼吸AED)や消防の救助隊のための同様の体重の人間を搬送するための訓練用の人形にも使われている。
博物用途の人形博物館における新羅の冠を説明する為の人形

主に博物館における説明用に、当時の服装を着せたマネキンの役割を果たす人形があり、当時の人々の暮らしがどの様な物か再現する為の人形を使用する事がある。その殆どが等身大である。
考古学における人形

考古学における出土遺物としての人形には、祭祀用途の土偶や木製人形(ひとがた)、副葬品としての兵馬俑埴輪等があげられる。


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