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人工臓器 (じんこうぞうき、Artificial Organs)は、患者が極力通常の生活に復帰できるよう、臓器の機能的代替物として人体にインプラントないしは接続される医療機器である。代替される機能に制限はないが、致命的なものであることが多い。
固定された電源、フィルター、化学的な処理装置などと接続されていないことが人工臓器の特徴であるとの考え方もあり、定期的な充電や、消耗品の交換を必要とする機器も人工臓器に分類すべきでないとの意見もある。この立場によれば、例えば人工透析装置は腎臓の機能的代替物であり人体に接続される医療機器であるが、人工臓器ではないということになる。
日本人工臓器学会では「病んだ臓器の代行を目的として開発されたもの」[1] としており、透析装置は人工臓器に含まれるとの立場をとっている。 心臓、肺、肝臓、腎臓などの機能が損なわれると種々の病気になり、重い場合には生命の危機に晒される。人工臓器は、このように病んだ臓器の代行を目的として開発されたもので、様々な治療を通じて機能補助に用いられている。 損傷した器官を補綴する器具のうち、四肢に関する物の歴史は極めて古く、最古の義肢についての記録は紀元前12世紀に成立したリグ・ヴェーダである[2]。古代エジプト人は義肢についての先駆者であり、紀元前10世紀頃の新王国時代の遺体から木製の爪先が見つかっている[3]。もう一つの古い記録はヘロドトスの書き残した、紀元前5世紀頃の予言者ヘゲシストラトスである。スパルタの捕虜であった彼は、逃げ出すため自ら脚を切断したのち、木製の義足を用いたとされている[4]。一方、現在のような体内埋込み型の医療機器は比較的新しく、第二次世界大戦後のことである。埋込み型の器具は異物反応のため実現困難であると考えられていたが、イギリスの医師ハロルド・リドリーが飛行士の治療からスピットファイア戦闘機の風防が異物反応を起こさないことを見出し、1949年に眼内レンズを開発した。これが埋込み型医療機器の端緒である。 1950年代に血管や人工関節などの埋込み型器具が、合成樹脂や金属を用いて作り出された。しかし、異物反応によって人工臓器の機能が損なわれたり、凝固反応によって血栓が出来たりするなど、長期にわたる使用には問題があった。その後、材料工学の進展に伴い生体適合性に優れた材料が生まれた。
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