人体
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この項目では、文化的な面も含めて総合的に人の体について説明しています。

解剖学的知見については「人体解剖学」をご覧ください。

NHKスペシャルの大型企画番組については「驚異の小宇宙 人体」をご覧ください。

人間(人体)

人体(じんたい、: human body)とは、人間を指す。
概要

「人体」という表現は医学解剖学生理学生物学工学美術などの分野で広く用いられている。日常表現では、あえて人のそれと特定する必要もないので「からだ」「カラダ」などと呼ばれることのほうが多い。また「身体」と呼ばれることもあり、ほぼ同等の意味であることもあるが、多少用法が異なっていることもある。

人体の外観はおおまかに見ると、胴体、両、両に分けることが可能であり、それらを「五体」[注 1]と呼んでいる。生まれたばかり(新生児)の時点では平均身長は49cmほど(だが個人差が大きくて平均より10cm以上大きい状態や平均の半分しかない状態で生まれてくる子もいる)[1]、これが成人となると平均身長は1.6m程度。統計的に見れば人体の大きさは人種によって異なっている。人体のかたちは体型と呼ばれており、これは栄養の取り方やダイエットなどの後天的な要素によってひとりひとり異なっている。人体に脂肪が過剰についている状態は肥満と呼ばれている。また体型は男女の性の別によっても違いが見られ、男性に比べて女性のほうが統計的に見て体脂肪率が高いことが多い。各部位の長さやサイズの全身に対する比率をプロポーションという。身長に対する脚の長さの比率、腕の長さの比率なども地域・人種によって傾向が異なっている(比較してみると、「アフリカ人」や「黒人」と呼ばれている人々は脚や腕がすらりと長い傾向がある)。

肌(皮膚)の色も、人種によって傾向が異なっている[2]
自然科学的説明
機能

人体には生物としての必要な機能である「境界維持」、「免疫」「自己修復」(いわゆる自己治癒力)、「消化」「代謝」「排泄」、「生殖」、さらに「運動」「応答性」「成長」の機能も複合的に持つ。たとえば普段は体温の維持によって基本的な代謝量の維持をはかり、ウイルスが侵入し大量に増殖した時(いわゆる「風邪」をひいた時)などには数度程度 あえて体温を上昇させることによって免疫力の増進なども行っている。

人体は、(外部からの物質としては)空気(特に酸素)、、各種栄養素を必要としている。たとえば、タンパク質に関しては(成人で)1日あたり約70g を必要としており、それを各種酵素によってアミノ酸に分解し、人体内の各所で必要なタイプのタンパク質に再合成している[3]。各種ビタミンも必要である。(栄養素の適切な量等については「栄養」も参照のこと)

他にも24時間周期の(太陽光)も必要だとされている。

(人体の周囲の条件としては)適切な気温、適切な大気圧も必要である。
階層構造

人体を要素に分解しながら見てゆくことも可能である。以下のような階層構造も見出すことができる。

個体レベル、は日常生活で見ているレベルである。

器官系レベル (=システム。日本語ではシステムを「系」と呼ぶ)循環器系消化器系神経系呼吸器系免疫系内分泌器系など。これらのシステムによって前述の機能を実現している。

器官レベル (心臓子宮等々、次節に列挙。は細かく分類すると200種余りある。)
器官については後述の#器官に列挙されている。

組織レベル

細胞レベルで見れば60兆個の細胞で構成される。幹細胞造血幹細胞血球神経幹細胞神経細胞ナチュラルキラー細胞 等々。1個の受精卵が46回細胞分裂を繰り返すと60兆個の細胞数に達する。2013年に、モデルとして30歳、身長172センチ、体重70キロの場合、細胞数は37兆2000億個と推定された[4]

分子レベルで見ればほとんどが(体重の70%とされる)。次いでタンパク質アミノ酸ホルモンコレステロールビタミンなど。また、デオキシリボ核酸(DNA)も細胞ひとつひとつに格納されている。

原子レベルで見れば重量比で酸素(62.6%)、炭素(19.5%)、水素(9.3%)、窒素(5.2%)、カルシウムリンの比率が高い。

各レベル間では創発現象が起きおり、マクロからミクロレベルまで、縦方向・横方向に相互作用がある。その全体像は極めて複雑であることなどから「宇宙」に喩えられることもある[5]
人体の部分の役割、各臓器の役割

近代西洋医学においては「何の役にも立っていない」などと説明されてきた臓器がいくつもあるが、そういった臓器が、後の時代になって、実は非常に大切な役目を果たしていた、と判明するようなことはよくあることである[6]。例えば、昭和時代まで医学部では、松果体は体に影響があるものは特に何も作っていない、と教えていたという[6]。ところが平成以降に、松果体は重要な物質であるメラトニンを作っていることが判明した[6]

また、胸骨の裏側にある胸腺などもそうである。これも昭和時代までは、「子供のときにだけ役目を果たして、大人になると無用のもの」などと、医学部では教えていたが[6]、現在では、免疫機構で重要な役目をするT細胞[注 2]というリンパ球が胸腺の中で成熟していることが判っている。

本来、人体には、「いらないもの」などは無いのではないか、ただその作用が現在の科学のレベルでは検出できない、というだけのことではないか、と米山公啓は言う[6]。「(ある臓器は)何の役にも立っていない」というような説明は根本的な誤謬を含んでいる可能性があるので、それを信じ込むのは危険である。
美術人体のデッサン

人体はデッサン絵画彫刻等、美術の重要なテーマのひとつである。

美術を専門的に教える学校(美術大学 等)では、カリキュラムの中に人体デッサンが含まれていることが一般的である。学生が互いに美術モデル役となって描いたり、プロの美術モデルを雇って描くなどの方法がある。「美術解剖学」などと呼ばれる分野もあり、美術を専門とする人のために書籍が出版されている。それによって人の骨格や筋肉がどのようになっているか学び、皮膚の下にどんな構造が隠れているのか意識しながら描くと、より立体的に、よりリアルに描くことができるようになる。

彫刻家などではもっぱら人体像ばかりを作っている人もかなりの割合いる。画家でも、もっぱら人体ばかり描いている人もいる。なお人体に美を見出してそれを追求している作家もいれば、反対に醜さにも着目して作品を作る作家もいる。

鑑賞者の立場に立てば、日常生活では他人のからだをじろじろと見つめるわけにはいかないが、美術作品になっていればじっくりと眺めてそのを観賞することができる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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