人を動かす
How to Win Friends and Influence People
著者デール・カーネギー
訳者加藤直士
山口博
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『人を動かす』(ひとをうごかす、原題 : How to Win Friends and Influence People、“友を得、他人に影響を与える方法”)は、デール・カーネギーの著書。1936年発売。日本語版の発売も1937年(昭和12年10月30日・創元社刊)。 『道は開ける』と共に、デール・カーネギーの代表的な著書。自己啓発書の元祖と称されることも多い。日本国内で430万部、世界で1500万部以上を売り上げている。発売から80年以上売れ続けている超ロングセラーである。 日本での評価も非常に高く、経営者が勧めたり、新人研修に用いられたりすることも多い。経営者やマネージャー、チームリーダーなど人を動かす立場ならば「はじめに読んでおきたい1冊」と言われる名著であり、人生の節目などで数年おきに読み返すことで新たな発見があるとも評される。 ビジネス現場においてだけでなく、家族・恋愛・交遊関係など老若男女問わず、あらゆるシチュエーションにおいて本書に挙げられているメソッドは有効であり、人生を豊かに過ごすための「人との付き合い方」を学ぶことができる。著者の経験に基づいて、多くの例を挙げて説明されているため、読みやすく理解しやすいものとなっている。 1888年に米国ミズーリ州の農家に生まれたデール・カーネギーは、教師を志して入学した州立学芸大学を卒業後、中古車のセールスマンや、一時は俳優を目指し挫折するなど、雑多な職業を転々としていた。 そんな彼の最初の転機となったのは、1912年に副業で始めた「話し方講座の講師」に採用されたことである。もともと教師志望で、学生時代に弁論大会で活躍した能力が組み合わさり、YMCAの夜間学校での授業が好評を博して受講者も増え、仕事を軌道に乗せていった。 この授業を通じて、受講生に必要なのは話術だけでなく「対人関係の技術」だと判明したものの、適当な教材がなく、カーネギーは自前で用意する。最初は一片のカード、続いてリーフレット、そして小冊子へと分量を増していく。哲学書から心理学書、偉人の伝記まで大量に読破し、授業のための素材を収集して研究を続けていき、しまいには各界の名士や実業家にインタビューをしたり、図書館で文献調査をするスタッフまで雇うなどしてエピソードを蓄積していった。 そして1936年、48歳になったカーネギーが、自前の教材と講義の速記録に改良を加え出版したのが『人を動かす』である。話し方講座を始めて25年、「対人関係の教材づくり」を始めて15年の歳月を経てまとめられた、歴史的な書籍である。発売直後に大ベストセラーの社会現象になり、一時のブームに終わることなく、1955年のカーネギー没後も変わらず現在まで読み継がれている[1]。
概要
執筆までの経緯
エピソード
ミハイル・ゴルバチョフ
ミハイル・ゴルバチョフの伝記によれば、当時の米国大統領ロナルド・レーガンから勧められて読んだとされている。以後、首脳との会談で、質問から話を膨らませる手法が明らかに増えたとされる。
ウォーレン・バフェット
株式投資家のウォーレン・バフェットは、20歳のときに人前で話をする訓練のために、後に本作の原型となる「デール・カーネギーの演説コース」を受講している。そこで学んだ知識を使い、ネブラスカ大学夜間クラスで平均年齢が彼の2倍以上の受講生に"投資原理"を教えた。演説コースの卒業証書は、今日までオフィスに飾っているという。
評価
2000年には、ボストン公共図書館の「20世紀最も影響を与えた本ベスト100」に、『道は開ける』と共に挙げられた。
2011年には、Time誌の「最も影響力のある100冊の本」において、第19位にランクインした。
2013年には、アメリカ議会図書館による「アメリカ史において影響力のある本」において、第7位にランクインした。
2020年には、ニューヨーク公共図書館による「史上最も借りられた本」において、第8位にランクインした[2]。
1位?エズラ・ジャック・キーツ
2位?ドクター・スース『ハットしてキャット』(46万9650回)
3位?ジョージ・オーウェル『1984年』(44万1770回)
4位?モーリス・センダック『かいじゅうたちのいるところ』(43万6016回)
5位?ハーパー・リー『アラバマ物語』(42万2912回)
6位?E・B・ホワイト『シャーロットのおくりもの』(33万7948回)
7位?レイ・ブラッドベリ『華氏451度』(31万6404回)
8位?デール・カーネギー『人を動かす』(28万4524回)
9位?J・K・ローリング『ハリー・ポッターと賢者の石』(23万1022回)
10位?エリック・カール『はらぺこあおむし』(18万9550回)