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昭和初期の関西急電(52系)現代の新快速(223系2000番台)
京阪神快速(けいはんしんかいそく)は、かつての鉄道省・日本国有鉄道(国鉄)および現在の西日本旅客鉄道(JR西日本)が、京阪神地区の東海道本線・山陽本線・湖西線(北陸本線、赤穂線)で運行している快速・新快速、ならびにその前身にあたる急行電車(関西急電)[注 1]を指す通称である。
本稿では、これらすべてを歴史に重点を置いて記述する。
なお本項では、JR西日本による愛称路線名設定(1988年3月13日)以降の出来事については、北陸本線米原駅 - 長浜駅間と東海道本線米原駅 - 京都駅間については「琵琶湖線」、東海道本線京都駅 - 大阪駅間を「JR京都線」、東海道本線大阪駅 - 神戸駅間と山陽本線神戸駅 - 姫路駅間については「JR神戸線」と記述する。 京都・大阪・神戸の関西3大都市を結ぶ東海道・山陽本線は、1934年の吹田駅 - 須磨駅間の電化により、電化前に運転されていた京阪神間区間運転の快速列車及び普通列車を継承して、「急行電車」と「緩行電車」(京阪神緩行線)が運行されるようになった[注 2]。この急行電車は大阪駅 - 神戸駅間を結ぶ電車であったが、1937年10月の京都駅 - 吹田駅間の電化により、運転区間が京都駅まで延伸された[注 3][注 4]。 急行電車は太平洋戦争激化による戦時体制強化によって、1942年11月に一旦廃止されるが、戦後1949年4月に京都駅 - 大阪駅間で復活、6月には戦前同様神戸駅までの運転が再開された。1956年11月の米原駅 - 京都駅間の電化(東海道本線全線電化)までは京都駅 - 神戸駅間で運転されていたが、この米原駅までの電化と1958年の姫路駅までの電化によって運転区間が東西に拡大され、その後も電化区間の西進と客車普通列車の電車化によって運転区間が広がったことから、これまで担っていた京阪神緩行線との並走区間での速達列車としての役割に加え、中距離列車としての性格も帯びるようになった。この間の1957年9月には、「急行電車」の名称が運転区間の延長に伴って、既存の「急行列車」や「準急列車」との間で矛盾を生じたことから、名称を「快速電車」に変更した。その後現在に至るまで幾度か運転区間・運行形態の変更はあったが、基本的には、1964年の113系投入時点での運転区間(東端大垣駅 - 西端上郡駅・播州赤穂駅)の運行形態が踏襲され現在の快速の元となっていたが、大垣駅 - 米原駅の直通は2016年3月26日をもって廃止され現在に至っている。 1970年10月には、京阪神間におけるさらなる速達サービスによる需要喚起および流動創造を目的に、関西急電の再来ともいえる新快速が誕生した。 2016年3月26日現在、東海道・山陽本線系統の快速・新快速は、西は上郡駅・赤穂線播州赤穂駅まで、東は米原駅まで、北は北陸本線敦賀駅(福井県)まで運転されている。 「京阪神快速」の名称は、ほかの運行系統と記述を区別するときに用いられることがある[1]が、実際の旅客案内に用いられるものではない。 東海道・山陽本線の京阪神地区では、草津駅 - 西明石駅間が複々線となっている。このうち、草津駅 - 新長田駅間は方向別複々線とし、線路の外側を外側線(列車線)と呼び、内側は内側線(電車線)と呼ばれている。 草津駅 - 京都駅間では内外ともに最高速度130 km/hであるが、京都駅 - 西明石駅間は外側線が130 km/h、内側線が120 km/hになっている[2]。 兵庫駅 - 新長田駅間で内側線が下り外側線を南側へ乗り越え、兵庫駅 - 西明石駅間は線路別複々線となっている。電車線(南側)は快速・普通が使用し、列車線(北側)は原則的に特急列車や貨物列車と新快速が使用しているが、朝ラッシュ時には、舞子駅・垂水駅・須磨駅を通過する快速も運転されている[注 5]。 新快速は西明石駅 - 京都駅間では原則外側線・列車線を、草津駅 - 京都駅間では多くが内側線を走る。外側線・列車線と内側線・電車線の使い分けは歴史的にも変化し、現在は効率的な運行のためにかなり複雑なものとなっている。 快速は京都駅を越えて琵琶湖線へ直通し高槻駅(朝ラッシュ時は京都駅) - 野洲駅・米原駅間と明石駅 - 加古川駅・網干駅間で普通として運転されている[注 6]。大阪駅から東は野洲駅・米原駅・長浜駅・近江塩津駅まで、西は西明石駅・加古川駅・姫路駅・網干駅・上郡駅・播州赤穂駅まで。一部の快速は大阪駅を始発・終着駅としている。朝には北陸本線経由の近江塩津発着[注 7](平日は姫路発近江塩津行き1本、土休日は近江塩津発加古川行き1本)や安土発の列車、草津線・湖西線(いずれも平日のみ)からの直通列車がある。草津線と湖西線から直通する列車は各線内は普通として運行される。[注 8]また、福知山線と片町線は一部直通する。快速の最長運行列車は上郡駅 - 米原駅間(233.2km)で、朝に上郡発米原行きが1本、夜に米原発上郡行きが2本運行されている。 JR京都線では全区間を快速運転(長岡京駅・高槻駅・茨木駅・新大阪駅のみに停車:高槻駅 - 大阪駅間は外側線を走行)する列車もある。かつてはほぼ終日運転だったがダイヤ改正を重ねるにつれて運転時間帯は縮小し、現在は早朝上下列車・朝ラッシュ時下りのみの運転になっている。JR神戸線では列車・外側線(舞子駅・垂水駅・須磨駅は通過)を走行する快速が、平日は朝ラッシュ時の大阪・京都方面行きの全列車、土曜・休日は朝の上り大阪行き2本のみ設定されている。JR神戸線・京都線ともに平日朝ラッシュ時は8分間隔で大阪駅に向けて運行されている。
概要
路線環境左側2線が電車線、右側2線が列車線の線路別複々線区間
運行形態詳細は「北陸本線#米原駅 - 敦賀駅間」、「湖西線#運行形態」、「琵琶湖線#運行形態」、「JR京都線#運行形態」、「JR神戸線#運行形態」、および「赤穂線#運行形態」を参照