京野菜
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京野菜ブランドを前面に出した商品の一例:料亭が販売する鍋の食材セット

京野菜(きょうやさい)は、京都府で生産され京都の雰囲気を醸し出す京都特産の野菜[1]

2024年現在では、一般的に京の伝統野菜ブランド京野菜を指す[2]。京都の食文化と、季節ごとの暑さと寒さと昼間の寒暖差が大きいという気候に合う、明治以前から続く栽培の歴史から数々の京野菜が生まれている[3]
特徴

京野菜の定義は曖昧で、明確には定められていない[1][4]。京都で品種が確立したもの、または京都独自の生産技術によって生み出された品目などを総称する[4]が、場合によっては京都府内でほとんど生産されないユリ根なども含まれる[1]。一般的には明治時代後半以降に日本に導入された野菜は含まれず、5世紀 - 12世紀頃までに中国朝鮮半島から日本に伝わったサトイモダイコンなどの野菜などが京野菜の対象とされる[1]が、20世紀になってから海外品種との交配で作出された万願寺とうがらしが含まれるような場合もある。その一方で、伝統野菜だけでなく、広義には京都で作られる野菜全てを京野菜とみなせる、という京都市の見解もある[5]

京野菜は現代の交雑品種などに比べて、生産性や形状の規格など広域流通の便が高くないため、20世紀半ばには生産が減少したが、京都府京都市による品種の調査・保存やブランド京野菜の推進などにより、1990年代以降は生産・消費が拡大している[1]。1990年の調査によれば、一般的な改良品種に比べて京野菜はビタミンやミネラル、食物繊維を豊富に含むという[6]。なお、京都府農林水産部では毎月15日を京野菜の日とし、PR活動を行っている[7]。また、2008年から京野菜検定が開催されている[8][9]。他にこのような伝統野菜として、大阪府のなにわ野菜、奈良県の大和野菜、石川県の加賀野菜などがあり、各地で保存伝承の試みが行なわれている。
京の伝統野菜

「京の伝統野菜」について、1988年(昭和63年)3月京都府農林水産部により以下のような定義が定められた[10]
明治以前に導入されたもの

京都府内全域が対象

たけのこを含む

キノコ、シダを除く

栽培または保存されているもの及び絶滅した品種を含む。

京野菜は、大別して夏野菜と冬野菜に分類される[11]。現存種35品種[12]、絶滅種2品種、京の伝統野菜に準じるもの3品種は以下のように分類されている[6]
品種(現存種)
大根

辛味大根 - 出回り期は11月上旬から12月中旬[13]

青味大根出回り期は11月から1月[13]。青みが濃く、細長い小ぶりな大根[14]江戸時代文化文政(1804年 - 1829年)の頃、今は絶滅した「郡大根」の変異種として生まれたと伝えられる。直径1 - 1.5 cm、長さ12 - 15 cmの細い大根で、土から出た部分が曲がった独特な形になる[14]。地上に出る首の部分が緑色をしているため「青味だいこん」と呼ばれている。会席料理の高級食材として、刺身のつま、酢漬け、椀種などに使われる[14]。青味大根は昔からご祝儀用に欠かせないもので、吸い物の具や、青味の部分がキュウリの代用、刺身のつまに利用され、また漬物用として珍重された。8月下旬 - 9月上旬に種播きし、11月 - 1月末に収穫。京都市特産そ菜保存委託事業として、市内の3戸の農家が栽培を続け、種の自家採種をおこなっている。

時無大根出回り期は3 - 4月の野菜の端境期[13]文政の初年度(1810年 - 1820年)紀伊郡東九条村(現在の南区東九条)の小山藤七が、当時極晩生種であった大根の種を得て、「藤七大根」という名で種を販売したのが源であると云われている。当時の大根は堀入で地上部に根部が露出する事なく、葉は著しく濃緑色で欠刻を有し、現在の時無大根に比べると、極めて晩生種であったと思われる。葉は淡青緑色、深い切れ込みがある直立性で、中肋の細かいのが特徴で、根部は先端が細まった尖円筒形をしており、直径6 - 8 cm、長さ45 cm程である。

桃山大根出回り期は11月中旬から1月下旬[13]。起源は定かでないが、滋賀県と云われている。伊吹山大根を大亀谷に移して栽培されたと言われ、肉質が緻密で漬け物栽培用として作られていたが、現在は需要が激減し種子保存用のみという。

茎大根 - 出回り期は12月上旬[13]

佐波賀大根 - 出回り期は2月から5月[13]

聖護院大根京の伝統野菜ブランド産品(12品種)のひとつ。出回り期は10月中旬から11月下旬で[13]、江戸時代に尾張から渡った宮重系の長大根を、耕土の浅い京都・聖護院地区で作り続けられるうちに丸くなったとされる[3][14]。楕円形(早生種、晩生種)と丸形(中生種)があり、晩生種は淀大根(よどだいこん)ともいう[14]。ふろふき大根に向く[14]



松ケ崎浮菜かぶ - 出回り期は11月下旬から2月下旬
[13]

佐波賀かぶ

舞鶴かぶ - 出回り期は11月上旬から12月[13]

聖護院かぶ出回り期は10月中旬から11月下旬[13]。京都府亀岡市などで栽培される。日本一の大きさを持つカブで、重さは2 - 5キログラム (kg) ほどある。甘みがあり、煮崩れしにくく、かぶら蒸しや、京都の漬物で有名な千枚漬けの材料になる[14]

大内かぶ - 出回り期は12月中旬から3月上旬[13]

漬菜

うぐいす菜出回り期は12月中旬から1月で
[13]天王寺蕪の早生種から作られた椀種用の。春の初めに種を蒔き、ウグイスが鳴く頃に収穫することからその名がついたといわれる[15]

すぐき菜出回り期は11月下旬[13]。上賀茂地区特産のカブの一種。葉ごと塩漬けし、乳酸発酵したすぐきは、千枚漬けと並ぶ京都を代表する漬物である[14]

みず菜京の伝統野菜ブランド産品(12品種)のひとつ。出回り期は周年[13]。葉の切れ込みが大きく、分けつ性が非常に強いことから、大きな株になる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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