京都弁
[Wikipedia|▼Menu]

京言葉

出町商店街にて。
話される国 日本
地域 京都府山城国
言語系統日琉語族

日本語

西日本方言

近畿方言

京言葉




言語コード
ISO 639-3?
テンプレートを表示

京言葉(きょうことば、京ことばとも表記)とは、京都で用いられる日本語の方言である。京都語(きょうとご)、京都弁(きょうとべん)、古くは京談(きょうだん)とも言う。近畿方言の一種であり、大阪弁とともにその中核をなす。ここでは京都市を中心に、旧山城国の方言を取り上げる。山城以外の京都府内の方言については丹波方言舞鶴弁丹後弁を参照。
歴史

京都は平安京が建設された平安時代から1000年以上にわたって日本があった地域であり、江戸時代まで京言葉は高い威信を持ち、現代共通語の母体である東京方言を含め、日本各地の方言に影響を与えた。現在も京都では自分達の言葉に強い自負心があり、京言葉は「なまり」ではなく、共通語とは「単に異なっているというだけ」と認識されている[1]。京都出身の日本語学者楳垣実も、京言葉を研究するにあたって「我々の気持から云えば、京言葉を方言といってしまっては何となく物足らぬので、国語の伝統保存といった誇らかな気持から大いに努力したいと思う」と述べている[2]

京都は伝統を重んじる保守的な街とされるが、古くからの大都市で京言葉は変化し続けており、平安時代以来の古語はあまり残っていない。明治維新前後にも大きな変化があったとされ、代表的な京言葉「どす」「やす」「はる」も幕末から明治初期に生まれた言葉と考えられ、楳垣は「京言葉の優雅性は一段とこの期に高められたものらしい」と述べている[3]

現在、共通語化や関西共通語化(大阪弁化)が進み、京言葉らしい京言葉を用いるのは昭和中期以前に生まれた世代や花街芸妓社会などに限られている。1993年平成5年)から1994年(平成6年)にかけての方言調査では、「どす」に関して80歳代では「使用する」と回答した割合が49.2%なのに対し、10代では「聞いたこともない」が54.0%であった[4]。楳垣は1950年昭和25年)の時点で以下のように書き残している。京言葉--優美なあでやかなあの京言葉--というものは、もう京都にもなくなろうとしている。その最後の保存地であった祇園あたりにさえその傾向は見えそめている。
(中略)
京都もやはり近代都市の一つで、終戦後の社会混乱の洗礼を受けて変貌を遂げているのである。しかもまた一方においては標準語化の波が、京都にも押し寄せて、アクセントだけを残して、語彙や語法の面では非常な変化が起っている。古い言葉などは、これらの変化に抗して生き残る余地はほとんどない。よほど根強いものだけが、まだ残っているに過ぎない。 ? 楳垣実、『国語学』第4輯 26ページ
イメージ

京言葉には「優雅」「女性的」といったイメージがあり、2019年令和元年)に「方言がかわいい『都道府県』ランキング」で京都府が2位になる[5]など、21世紀になってもそのイメージは依然根強い。一方で、楳垣は「我々京都人から見れば、正直に云って、京都は一般に少し理想化されて考えられているような気もする。」「京都といえば一木一草までみやびやかであると考える人も多い。京言葉の魅力も或はそんな所から生れて来るのかも知れない。」と述べている[6]。ゆったりした優しい雰囲気の言葉というイメージについて、「芸舞妓さんの話すことばからの連想によってできたイメージであろう」「一般市民の日常会話における話しことばは、かなりテンポの速い、また決して柔らかいとは言えないどちらかといえば語調のきついものである」と指摘する研究者もいる[1]
区分

日本語学者の奥村三雄は山城の方言を以下のように区分している(区分の基準とされた方言の特徴および市郡の名称・範囲は概ね1962年当時のもの)[7]

京都市内(戦後に編入された旧郡部を除く) - 進行「-てる」。終助詞「ぜ」「で」の使用少ない。いわゆる京言葉(「どす」「おす」「やす」など)を使用。

その他 - 進行「-たる」あり。終助詞「ぜ」「で」あり。京都市内と比べて荒い。

愛宕郡(現在の左京区岩倉八瀬以北と北区雲ケ畑)・乙訓郡宇治市久世郡の各大部分 - 京言葉を多用。

綴喜郡と久世郡の各西部(現在の八幡市伏見区の一部など) - 京言葉を多用。女性語の終助詞「し」や順接助詞「よってに」など、大阪弁の影響あり。

乙訓よりも八幡の方が大阪的である点について奥村は、鉄道開通以前、京都・大坂間の往来に淀川(宇治川)や京街道がもっぱら利用されていた時代の影響であろうと推測している[7]


綴喜郡南部と相楽郡の大部分 - 京言葉の使用やや少ない。親愛表現「-らる」あり。

葛野郡(現在の右京区中川・小野郷) - 京言葉の使用やや少ない。親愛表現「-らる」あり。逆接助詞「けんど」など、丹波言葉の影響あり。

奥村は、丹後・丹波間と比べて丹波・山城間の方言差はそれほど著しくなく、口丹波北桑田郡(特に京北と広河原)は京言葉的傾向がかなり多いとした[7]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:110 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef