交響曲第6番_(ベートーヴェン)
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音楽・音声外部リンク
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Beethoven:Sinfonie Nr.6
- ギュンター・ヴァント指揮北ドイツ放送交響楽団(現・NDRエルプフィル)による演奏。NDR Klassik公式YouTube。
Beethoven:Symphony No.6 Pastoral - ベルナルト・ハイティンク指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏。DW Classical Music公式YouTube。
Beethoven:6.Sinfonie (≫Pastorale≪) - アンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮hr交響楽団による演奏。hr交響楽団公式YouTube。
Beethoven:Zesde symfonie/Symphony no.6 - フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮オランダ放送室内フィルハーモニー(Radio Kamer Filharmonie/Netherlands Radio Chamber Philharmonic)による演奏。AVROTROS Klassiek公式YouTube。
Beethoven - Symphony No.6 - イツァーク・パールマン指揮イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団による演奏。EuroArts公式YouTube。
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交響曲第6番 ヘ長調 作品68『田園』(こうきょうきょくだい6ばん へちょうちょう さくひん68 でんえん、 ドイツ語: Sinfonie Nr. 6 F-Dur op. 68 "Pastorale")は、ドイツ出身の古典派音楽作曲家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770年 - 1827年)が1808年に完成させた6番目の交響曲。演奏時間は約39分(第1楽章:11分、第2楽章:13分、第3楽章 - 第4楽章 - 第5楽章:15分)と紹介する例があるが[1]、反復の有無、指揮者の解釈や時代による演奏様式の変化により演奏時間には幅がある。

古典派交響曲としては異例の5楽章で構成されており、第3楽章から第5楽章は連続して演奏され、全曲及び各楽章に描写的な標題が付けられるなど、ベートーヴェンが完成させた9つの交響曲の中では合唱を導入した交響曲第9番と並んで独特の外形的特徴を持つ[2]。また、徹底した動機展開による統一的な楽曲構成法という点で、前作交響曲第5番(作品67)とともにベートーヴェン作品のひとつの究極をなす[3]
タイトルについてハイリゲンシュタッター公園のベートーヴェン像(ウィーンハイリゲンシュタット"Almanach der Musikgesellschaft" に描かれた「田園交響曲を作曲しているベートーヴェン」(1834年、チューリヒ

第6交響曲は、ベートーヴェンの交響曲の中ではエロイカに続きタイトルが記された2番目の作品である。ベートーヴェンが自作にタイトルを付した例は、他に「告別」ピアノソナタ(作品81a)などがあるが、比較的に珍しい。とくにこの第6交響曲は、ベルリオーズリスト標題音楽の先駆をなすものと見られている[4]

タイトルは、初演時に使用されたヴァイオリンのパート譜にベートーヴェン自身の手によって「シンフォニア・パストレッラ (Sinfonia pastorella) あるいは田舎での生活の思い出。絵画描写というよりも感情の表出」と記されている[2][5][4]

また、各楽章についても次のような標題が付されている[6]
「田舎に到着したときの愉快な感情の目覚め」

「小川のほとりの情景」

「田舎の人々の楽しい集い」

「雷雨、嵐」

「牧歌 嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち」

これらの標題は楽譜以外にも認められ、1808年12月17日付『ウィーン新聞』に掲載された初演演奏会の予告には「田舎の生活の思い出」という副題が見られる。ベートーヴェンが使用していたスケッチ帳にも同様の記述があり、「性格交響曲(Sinfonia caracteristica) あるいは田舎の生活の思い出」とされ、「シンフォニア・パストレッラ」は音による絵画的描写ではなく感情の表現であることが強調されている[5]

ベートーヴェンが「絵画的描写ではなく感情の表出」と強調したことについては、以下の理由が挙げられている。ひとつには、ベートーヴェン自身の理想主義的な作曲理念からのものであり、模倣のための模倣である描写語法を安易なものとして退け、音楽的脈絡や全体的構成の中で不可欠かつ必然性を持たせること、言い換えれば、描写語法のより高い次元での用法をめざしたのである[5]。スケッチ帳に書かれた「性格交響曲」についても同様であり、この言葉は創作者の世界観を表す純音楽という意味で用いられている。ベートーヴェンは、「誰でも田園生活の考えさえあれば、多くの説明がなくとも、作者の意とするところを自ら考えることができる」といって標題を詳しくすることを避けた[7]

もうひとつは、ベートーヴェンの作曲当時までによく書かれていた自然描写音楽へのアンチテーゼである[5]。その典型的なものとして、ベートーヴェンより少し早い世代の作曲家ユスティン・ハインリヒ・クネヒト(1752年 - 1817年)に15の楽器のための『自然の音楽的描写』(1784年)という標題音楽があり、この作品の5つの楽章は本作とほとんど同じ標題を持つ[7]。また、クネヒトには『雷雨によって妨げられた牧人の喜びのとき』(1794年)というオルガン作品もあった。ベートーヴェンがこれらの作品を知っていたかどうかについては現在まで確認されていないものの、田園交響曲との標題内容との一致から、ベートーヴェンがこれらの先行作品を意識していたことはほぼ確実と考えられている[5]

ベートーヴェンは田園を好み、ウィーンでは近郊を歩き回り、夏には田舎に生活して大自然に親しんだ。彼のスケッチ帳には「森の中で―自分は幸福だ―樹々は語る―汝を通して―おお神よ―なんと素晴らしい……」、「どの樹もみな自分に語るではないか。聖なるかな。聖なるかな。森の中は恍惚たり」などと書き付けてある。日本の音楽評論家門馬直衛は、こうした心情を音楽で語ったのがこの第6交響曲であるとする[1]
作曲時期ベートーヴェンによる交響曲第6番のスケッチ

1807年暮れからスケッチが開始され、第5交響曲がほぼ完成した後の1808年初春から1808年初秋にかけて作曲された[8]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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