交響曲第4番_(チャイコフスキー)
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交響曲第4番
ピョートル・チャイコフスキー
形式交響曲
調拍子ヘ短調
テンポ1.Andante sostenuto - Moderato con anima - Moderato assai, quasi Andante - Allegro vivo
2.Andantino in modo di canzona - Piu mosso
3.Scherzo: Pizzicato ostinato. Allegro - Meno mosso
4.Finale: Allegro con fuoco 速度指定なし
作曲年1877-78
出版年1881
制作国 イタリア王国
作品番号36
献呈ナジェジダ・フォン・メック
プロジェクト:クラシック音楽
Portal:クラシック音楽
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交響曲第4番ヘ短調 作品36は、チャイコフスキー1877年から翌1878年にかけて作曲した交響曲。チャイコフスキーの後期交響曲に位置づけられている[1]
作曲の経緯チャイコフスキーが交響曲第4番を書き上げたヴェネツィアのホテル

1877年にヴェネツィアを訪れたチャイコフスキーは、当地の風光明媚なスキャヴォーニ河岸にあるホテル・ロンドラ・パレス(当時はホテル・ボー・リヴァージュという名であった)にてこの曲を書き上げた。ホテルの壁面には「ロシアの偉大な作曲家、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーが、1877年12月2日から16日まで滞在し、ここで4番目の交響曲を作曲した」と彫られた碑文が掲げられている。
アントニーナとの結婚

1877年5月ごろ、チャイコフスキーはアントニーナ・イヴァーノヴナ・ミリューコヴァ(Antonina Milyukova, 1849-1917)から告白の手紙を受け取った。何度か手紙が送られ、会ってくれなければ自殺すると脅されたチャイコフスキーは、彼女に愛することはできないと告げる。しかし、熱烈な求婚を受けたチャイコフスキーは、肉体関係を持たないことを条件にアントニーナと結婚した。だがこの結婚はうまくいかずにすぐに破綻した[2]。結婚生活はわずか80日で終わり、いっしょに暮らしたのは33日だけだった[3]。交響曲第4番は、作曲された時期のチャイコフスキーの私生活からの影響を明白に示している。
フォン・メック夫人からの援助

アントニーナとの結婚騒動と同時期に、メック夫人パトロンになったことにより、経済的な余裕が生まれた。これによってチャイコフスキーは作曲に専念できるようになり、これが本作のような大作を創作する下地となった。このことに対する感謝の意を表して、本作はメック夫人に捧げられた。なお、メック夫人からの匿名希望を受けて、献辞は「最良の男友達に」とされた[4]

なお、1878年3月1日づけ(ロシア暦、同2月17日付)の有名な手紙の中で、チャイコフスキーはメック夫人にあてて、この交響曲のプログラムに関する説明を試みている。この手紙は、交響曲第4番についてのみならず、彼の創作全般についての示唆を与えてくれる、貴重なものである(外部リンク参照)。
初演

初演は1878年2月10日(旧暦。新暦では2月22日サンクトペテルブルクにて、ニコライ・ルビンシテインの指揮により行われた。なお、初演時にチャイコフスキーはフィレンツェに滞在しており、電報で初演の報告を受けた。その後1881年にユルゲンソン社から楽譜が出版されている[5]
編成

編成表木管金管
Fl.2、ピッコロ1Hr.4Timp.Vn.1●
Ob.2Trp.2他Ptti., Trgl., Gr.Tbr.Vn.2●
Cl.2Trb.3Va.
Fg.2Tub.1Vc.
他他Cb.

曲の構成.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}.mw-parser-output .listen .side-box-text{line-height:1.1em}.mw-parser-output .listen-plain{border:none;background:transparent}.mw-parser-output .listen-embedded{width:100%;margin:0;border-width:1px 0 0 0;background:transparent}.mw-parser-output .listen-header{padding:2px}.mw-parser-output .listen-embedded .listen-header{padding:2px 0}.mw-parser-output .listen-file-header{padding:4px 0}.mw-parser-output .listen .description{padding-top:2px}.mw-parser-output .listen .mw-tmh-player{max-width:100%}@media(max-width:719px){.mw-parser-output .listen{clear:both}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .listen:not(.listen-noimage){width:320px}.mw-parser-output .listen-left{overflow:visible;float:left}.mw-parser-output .listen-center{float:none;margin-left:auto;margin-right:auto}}チャイコフスキーの交響曲第4番(全楽章)トーマス・ビーチャム指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、1957年この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

音楽・音声外部リンク
全曲を試聴する
Tchaikovsky's Symphony No_4 - マリス・ヤンソンス指揮オスロ・フィルハーモニー管弦楽団による演奏《1979年9月》。オスロ・フィルハーモニー管弦楽団公式YouTube。
Tschaikowsky:4_Sinfonie - カルロス・ミゲル・プリエト指揮hr交響楽団による演奏。hr交響楽団公式YouTube。
Tchaikovsky:Symphony No_4 - クリスティアン・リンドベルイ指揮北極フィルハーモニー管弦楽団(ノルウェー国立アークティック・フィル)[6]による演奏。AVROTROS Klassiek公式YouTube。

音楽・音声外部リンク
楽章毎に試聴する
第1楽章・第2楽章・
第3楽章・第4楽章
Peter Dobszay指揮Concerto Budapestによる演奏。指揮者自身の公式YouTube。

4つの楽章による古典的な構成だが、第1楽章が比較的長い。

演奏時間は約42分。
第1楽章

Andante sostenuto - Moderato con anima - Moderato assai, quasi Andante - Allegro vivo
ヘ短調、序奏付きのソナタ形式

ソナタ形式とは言っても同時代のブラームスの交響曲と比べれば、かなり自由な構成をとっている。

曲頭のホルンとファゴットのファンファーレのモチーフは全曲の主想旋律となる。このファンファーレは運命のファンファーレとも呼ばれ、本楽章の展開部以降にしばしば登場する。楽章終盤では立て続けに登場し、楽章終結に向けて大いに曲の緊迫感を高めていく。また第4楽章の終盤にもそっくり再来して曲の雰囲気を一転させることになる。

序奏部のあとは、暗く悲劇的な第1主題が弦で提示され提示部が始まる。第1主題の確保は木管楽器を中心とした楽節で行われる。ティンパニが登場すると第1主題の提示・確保部分は終了し、続いて第1主題による経過部分に入る。経過部は第1主題の断片を低音弦楽器、木管楽器が繰り返し、徐々に盛り上がっていく。やがてオーケストラのトゥッティで第1主題が奏されて最初のクライマックスを築く。続いて木管楽器による少しおどけた感じの第2主題が現れる。この主題は弦楽器に引き継がれて安定した感じとなる。さらに推移主題が弦に現れて大きく発展し、独特のリズムを持ったコデッタになだれ込み、明るく大きなクライマックスを築く。だが低音弦楽器が奏するくらい音色が直ぐに優勢になり、冒頭のファンファーレが登場し、そのまま展開部になだれ込む。展開部はまず第1主題により進み展開される。やがてファンファーレの旋律も加わると、ファンファーレ旋律と第1主題の展開より、曲は激しいクライマックスを築いてゆく。その頂点で再現部へ移り、第1主題がトゥッティで奏され静まる。そのまま第2主題の再現も続き、推移主題は発展部分が省略されそのままコデッタになだれ込む。やがてファンファーレが三度目の登場となるとコーダが始まる。続いて子守唄風の短い楽節を経て、行進曲調に変形された第1主題とファンファーレ旋律によって最後の大きなクライマックスを築いていく。


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