交通機関の喫煙規制
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交通機関の喫煙規制(こうつうきかんのきつえんきせい)では、交通機関における喫煙規制(禁煙化)について日本と各国の状況を述べる。
概要

日本においては、保安・防災上の理由や、健康増進法により、受動喫煙を防止する努力義務が課せられたこともあり、交通機関の禁煙化が進んでいる。禁煙タクシーも増加している。なお、禁煙箇所で喫煙した場合は、鉄道営業法などの法令違反として強制的に下車させられる場合もあり、特に悪質な場合は現行犯逮捕されるケースもある。また、2010年代後半以降急速に普及している加熱式たばこ電子タバコについても全面的に禁止したり、駅構内の分煙化のために設置していた喫煙コーナー(ルーム)を撤去し、駅構内全面禁煙となった交通機関が多い。

日本の鉄道においては、過去には車両の一部座席を禁煙として「禁煙席」を設置したり、編成内の特定車両を禁煙として「禁煙車」を設置する列車もあったが、現在はほとんど見られない。一例として、2002年12月のダイヤ改正までは当時常磐線の特急「スーパーひたち」に使用されていた651系の基本編成(1 - 7号車)の4号車グリーン車の一部に「喫煙席」が設定されていた。

日本のタクシーバスでは、旅客運送中の運転手の喫煙は禁じられており、二種免許の学科試験にも出題される。回送運行中は差し支えないが、後述のように禁煙化が進んでいることもあり、ある種の「引っかけ問題」である。

アメリカ合衆国アーカンソー州ルイジアナ州カリフォルニア州では、自家用車であっても子供の乗る車内での喫煙は禁止されている。
鉄道・軌道
国鉄・JR24系開放式A寝台車内に設けられている喫煙室(寝台急行「銀河」車内にて。2008年2月9日撮影)

1886年(明治19年)4月、列車ごとに中等車1両は禁煙とするよう定められた[1]。1908年(明治41年)10月1日より、鉄道庁東海道本線横須賀線新橋 - 横浜国府津横須賀間の急行列車に喫煙室を設けた[2]。その後喫煙室は廃止され、日本国有鉄道時代は、通勤形車両を使用する列車以外では全車両で喫煙可能であった。

特急や急行はもちろん普通列車でも、関西の快速新快速を含め中距離電車の車両には灰皿が設置されていた。列車火災防止の観点から夜行列車(特に寝台車の寝台内)や、大都市圏を運行する国電または大都市近郊区間を運行する普通電車・各駅停車では禁煙となっていた。

東京周辺の例では、東海道線東京 - 平塚間、東北本線(宇都宮線)上野 - 小山間が禁煙とされていた。横須賀・総武快速線はこの区間に指定されており全面禁煙となっていた。このため同区間を運行する113系1000'番台には灰皿が設置されていない車両があった。

関西地区では東海道本線・山陽本線西明石 - 京都間(国鉄末期には加古川 - 草津間に拡大)や大阪環状線阪和線関西本線湊町 - 奈良)などが禁煙であった。横須賀・総武快速線と同様に、関西本線の113系にも運用区間が全面禁煙であったため灰皿が設置されていない車両があった。また、新快速に使用されていた117系は両端の先頭車両が区間に関係なく全面禁煙とされていた。

1976年(昭和51年)、新幹線こだま」の16号車に禁煙車が初導入された。1980年(昭和55年)に国鉄や日本専売公社を相手取り、列車内の禁煙化を求める嫌煙権訴訟が起こされたことを契機として禁煙車設置が本格化した。詳細は「嫌煙権訴訟」を参照

1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化後は旅客サービス向上の動きも相まって、同年7月には山手線原宿駅目白駅で終日禁煙が開始された。1990年代以降は、優等列車全車両の半数から70 %が禁煙化された。また普通列車においては1992年平成4年)、JR西日本岡山広島支社管内で車内全面禁煙化が行われたのを皮切りに(翌年に全管内で全面禁煙化)、1997年(平成9年)3月にJR東日本、1998年(平成10年)10月にJR東海およびJR四国、1999年(平成11年)3月にJR九州、2006年(平成18年)3月にJR北海道管内において車内全面禁煙化が行われ、一部の夜行列車と一部列車のデッキ部を除いて普通列車内で喫煙はできなくなった。

2000年代に入ると、2007年(平成19年)3月のダイヤ改正ではJR各社が大幅禁煙化に踏み切った。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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