一般的な意味での交差反応性(こうさはんのうせい、英: cross-reactivity)は、予期した主反応以外の反応を開始する被験物質の反応性である。このことは、医学における診断テストを含む、あらゆる種類のテストやアッセイに影響を及ぼし、偽陽性の原因となる可能性がある。免疫学では、交差反応性の定義は、特に抗原に対する免疫系の応答を指す。免疫系と2つの異なる病原体の抗原との間、あるいは1つの病原体と非病原体上のタンパク質との間に交差反応が起こる可能性があり、これがアレルギーの原因となる場合もある。 迅速診断検査 組織交差反応性アッセイ(tissue cross-reactivity assay)は、免疫組織化学に基づいた標準的な方法であり、治療用抗体のヒト第I相試験の前に必要である。 薬物検査では、多くの尿中薬物検査が免疫測定法を使用するため、ある程度の交差反応性がある。特定の薬物または他の化学物質が、別のカテゴリーの薬物に対して偽陽性を与えることがある[1]。 免疫学において交差反応性は、免疫原とは異なる抗原と抗体との間の反応という、より狭い意味を持つ。また、交差反応性は必ずしも交差防御を意味するものではないが、交差免疫(crossimmunity)や交差防御免疫(cross-protective immunity)と呼ばれることもある[2]。場合によっては、交差反応が破壊的に作用し、ある病原体に対する免疫応答が、別の病原体に対する免疫応答を妨害または低下させる可能性がある。 適応免疫応答は、それを刺激した抗原(免疫原と呼ばれる)に特異的である。しかし、自然界に存在する見かけ上の抗原の多くは、実際にはいくつかのエピトープを含む高分子の混合物である(たとえば、病原体、毒素、タンパク質、花粉から)。ウイルスのような複雑な抗原に接触すると、ウイルスのさまざまな高分子や、それぞれの高分子の個々のエピトープに対して、複数の免疫応答が刺激される。たとえば、破傷風毒素は単一タンパク質の高分子抗原であるが、タンパク質の三次構造が多くの異なるエピトープをもたらすため、多くの免疫応答を刺激する。免疫応答を引き起こす毒素は、その応答を刺激するエピトープを持っている。タンパク質を変性させると、その機能を失わせることができるが、免疫系に免疫応答を起こすことができるため、患者に害を与えることなく免疫を作り出すことができる。 インフルエンザの株は多数あり、ある株に反応して産生された抗原が異なる株に対して防御を与える可能性があるため、交差反応性はインフルエンザのワクチン接種に影響を及ぼす[3]。ただし、交差反応性は近縁のウイルス間である必要はなく、たとえば、インフルエンザウイルス特異的CD8+T細胞とC型肝炎ウイルス抗原との間には交差反応性がある[4]。 また、病原体と非病原体(食品など)に含まれるタンパク質との間に交差反応が起こることもある。また、2つの非病原体の間で交差反応が起こることもある。たとえば、ラテックスとバナナの間のアレルゲン交差反応性の原因として、ヘベイン 交差反応性は、同じ種または異なる種からの無関係なタンパク質が持つ同一の炭水化物構造によって引き起こされることがある。このような交差反応性炭水化物決定因子
医療検査における交差反応性
医薬品開発への応用
免疫学における交差反応性
アレルギー
交差反応例
クラゲの刺し傷でできるポリグルタミン酸(PGA)から、納豆アレルギー[7]
特定のダニにかまれることで、Alpha-gal アレルギー(哺乳類の肉アレルギー)[8]
医療関係者の手袋などに使われるラテックスのアレルギー患者の30‐50%が、アボカド・バナナ・クリ・キウイなどの果物ともアレルギー症状があり、逆に果物アレルギー患者は11%程度がラテックスに対してアレルギー症状を起こす[9]。