井上敏樹
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、日本の脚本家について記述しています。中央競馬の騎手の同名の人物については「井上敏樹 (競馬)」をご覧ください。

いのうえ としき井上 敏樹
プロフィール
誕生日 (1959-11-28) 1959年11月28日(64歳)
出身地 日本埼玉県
活動期間1981年 -
主な作品
映画

人造人間ハカイダー

仮面ライダー THE FIRST

仮面ライダー THE NEXT

アニメ

ギャラクシーエンジェル

牙 -KIBA-

DEATH NOTE

アイアンマン

特撮

鳥人戦隊ジェットマン

超光戦士シャンゼリオン

仮面ライダーアギト

仮面ライダー555

仮面ライダー響鬼』(後半)

仮面ライダーキバ

衝撃ゴウライガン!!

暴太郎戦隊ドンブラザーズ

テンプレートを表示

井上 敏樹(いのうえ としき、1959年11月28日 - )は、日本脚本家埼玉県出身。特撮テレビドラマ作品やアニメ作品を多く手がけている。成蹊大学中退。父親の伊上勝(井上正喜)、娘の井上亜樹子(鐘弘亜樹)は同じく脚本家。自称「大先生」[1]
来歴

仮面の忍者 赤影』『仮面ライダー』などの脚本で知られる伊上の子として生まれる。大学時代に幻想文学研究会に所属してSF短編小説などを書いていたが、その際に執筆した短編小説が東映動画七條敬三プロデューサーの目に留まったことで、在学中の1981年に『Dr.スランプ アラレちゃん』第24話「アラレちゃん大変身!!」(1981年9月30日放送分)にてデビュー[2][注釈 1]。脚本家として同期の島田満と共に雪室俊一の指導を受け[4]、また小山高生とも交流を持った[5]。以降、アニメ作品を中心に脚本家として活動し、『ギャラクシーエンジェル』『』『DEATH NOTE』などでメインライターを務めている。

1985年に参加した『どきんちょ!ネムリン』第29話「ママは恋のライバル」(監督:坂本太郎)を契機に父と同じく東映特撮作品にも本格的に関わるようになり、1986年の『超新星フラッシュマン』以降スーパー戦隊シリーズのサブ脚本を担当、『鳥人戦隊ジェットマン』『超光戦士シャンゼリオン』ではメイン脚本を経験した。平成仮面ライダーシリーズでよく関わることになる人物とも出会っている(『フラッシュマン』での長石多可男、『ジェットマン』での白倉伸一郎など)。この他映画『人造人間ハカイダー』の脚本を担当。

2000年から展開された平成仮面ライダーシリーズでは『仮面ライダーアギト』『仮面ライダー龍騎』『仮面ライダー555』で多くの脚本を担当、親子二代で仮面ライダーシリーズに大きな影響を与える事になった。『アギト』は大半のエピソードを担当し、『555』では全話(全50話)を単独で執筆した。父・伊上も『仮面の忍者 赤影』を全話(全52話)執筆しており、この点でも親子2代で同じ記録を残している。三作品に関わっていた白倉がシリーズから離れた後も脚本参加を続け、『仮面ライダー響鬼』の後半や『仮面ライダーキバ』ではシリーズ構成に復帰している。2013年『衝撃ゴウライガン!!』にメインライターとして起用され[6]、2022年『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』で31年ぶりにスーパー戦隊シリーズのメインライターを担当、こちらも総集編である第26話を除いた全ての回(全50話中49話)の脚本を単独で執筆した[注釈 2]
作風

脚本執筆の前段階であるプロットや箱書きの完成度を重視する事で知られており、鈴木武幸(現:東映専務取締役)は『超新星フラッシュマン』で初めて井上と仕事をすることになった時初稿段階の完成度の高さに驚いたとインタビューで答えている[7]。箱書き(シーン毎の要点や注意点をまとめた補足)を重視するようになったのは20代後半にスランプを経験してからで、それを乗り越えるために心掛けた[8]。そうした丁寧な仕事ぶりの一方、締め切りを厳守する速筆ぶりでも有名で、作品の制作スケジュールが遅れた際に「助っ人」として呼ばれることがしばしばある[注釈 3][注釈 4]。また物語のつかみとなるファーストシーンに全力を注ぐというスタイルも同時期に確立した[8]

影響された作風については脚本家としての師にあたる雪室の他、太宰治ガブリエル・ガルシア=マルケスの作品を上げている[8]。小学校時代に読んだモーリス・ルブランの『アルセーヌ・ルパンシリーズ』やアガサ・クリスティの小説などの影響から、ミステリータッチの話を書くことも多い[2]

執筆には当初手書き原稿を使っていたが、菅良幸の勧めでワープロを使うようになった[8]。鈴木曰く伊上と違うのは速筆な点だが、筆跡は伊上と瓜二つである[9]
ヒーロー作品

特撮作品に関しては一般的な「完全無欠のヒーロー像」に懐疑的で、トラウマを抱えていたり、だらしない生活態度だったり、打算的だったりする者を主人公に、あるいは主人公周辺の重要人物に配する傾向がある。これらに限らず、登場人物には、自己中心的だったり、人に明かせない何かを抱えていたり、協調性に難があったり癖の強いキャラクターが多いと一般に評されており、立場上は味方同士の筈なのに私情でいがみ合ったり、敵味方問わず一致団結が困難であるケースが多い。また、それを発展させて敵対関係にある筈の人間たちが利害の一致から休戦協定をして共闘するなど、単なる善悪二元論では語れないストーリーも数多くある。

井上自身は一般ドラマでは書けないような内容ができるから悪役のほうが好きだと述べており、悪には悪の美学があるべきであるとしている[2]。また現実とは違う世界を舞台に書きたいキャラクター、面白いキャラクターが書ければそれで良いというスタンスであり、ドラマに相応しい内容を自然と書いているだけでテーマ性などは意識していないとしている[2]

しかし、そういった登場人物をアンチテーゼとして配置する一方で、「正義・愛・勇気・友情とは何か」という普遍のテーマに独自のカタルシスを加えて、説得力のある展開に昇華させる手腕にも定評がある。

登場人物の破滅を描く際には、たとえその破滅が自業自得であったとしても、視聴者の共感を呼ぶ印象的な場面を用意するケースが多い。『ジェットマン』のトランザ、『シャンゼリオン』の黒岩省吾、『アギト』の榊亜紀、『龍騎』の芝浦淳佐野満、『555』の草加雅人及び北崎、『剣』の桐生豪、『ジオウ』の北島祐子など、一度は頂点に立つも自身の過剰な性格が災いし自業自得ではあるが壮絶な末路を遂げる者が多く、従来の「ヒーローが敵を倒す」という図式からは逸脱している[注釈 5]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:80 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef