この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方)
出典検索?: "二段式宇宙輸送機"
二段式宇宙輸送機(にだんしきうちゅうゆそうき)は、2段のみで衛星軌道に到達する多段式宇宙機である。two-stage-to-orbit の訳で、TSTOと略す。
一般的なロケットの多くもTSTOであるが、単段式宇宙輸送機 (single-stage-to-orbit, SSTO) と比較する文脈で用いられる語句のため、再使用可能な二段式ロケットを意味することが多い。本稿でも、完全ないし部分再利用型のTSTOについて述べる。なお、3段になる場合は three-stage-to-orbit と呼ばれる。 TSTOは、完全再使用機を二段構成にすることで、SSTOの技術的難度を緩和することを狙ったコンセプトである。多段式ロケットでは各段の獲得速度の和が最終速度となる。使い捨て宇宙ロケットは全て多段式なのだから、再使用や着陸のためにより多くの装備を必要とする宇宙往還機を単段で実現することはそもそも過大な要求だったとも言え、まず二段式の宇宙往還機を開発しようと考えられたのは自然な流れと言えよう。 下段として使用したロケットを再使用する構成は、2017年に打ち上げられたファルコン9の32号機より実際に実用化されている。ファルコン9は、液体酸素/RP-1を推進剤としたエンジンを使用しており、下段をエンジンの逆噴射により減速させることで、垂直着陸させる。ファルコン9を3本束ねた超大型ロケットのファルコンヘビーにおいても、同じ構成が取られている。 ファルコン9以前の例としては、アメリカのスペースシャトルも、この形態に近い。すなわち両脇の大きな2本のSRBs(固体ロケットブースター)を「下段」とし、実際は発射時から同時に最大出力で運転されているのであるが、SSME(メインエンジン)を持つオービタは「上段」と見るわけである(シャトルのSRBはパラシュートで着水して再使用される)。スペースシャトルの場合、巨大な外部燃料タンク (ET) が使い捨てのため、完全再利用は実現できていなかった。 下段に液体燃料ロケットを使用してより大きな速度を得ると、上段の必要加速量が減少し、技術的難度が下がる。また、液体燃料は再充填が容易であり、再発進に必要な時間が短縮できる。このため、スペースシャトルの後継機として、NASAでもこのような機体が検討されたことがある。上下段とも水平着陸するもの、上下段とも垂直着陸するものなどが検討された。また、太陽発電衛星の建設を想定した大重量打ち上げ機も検討されたが、当時はいずれも実現には至らなかった。 また、低高度では大推力の可能なケロシンを燃焼し、高高度では高比推力の可能な液体水素に切り替える三液推進系も検討されRD-701エンジンが試験されている。
SSTOとの比較
利点
各段の速度増分を小さくできるため、重量や比推力の要求が緩和される。
下段は軌道速度からの大気圏突入を行わないため、関連装備を省略できる。
大気圏内用エンジンは下段に、大気圏外用エンジンは上段に搭載することで、大気圏内用エンジンを宇宙へ運ぶ無駄をなくすことができる。
欠点
機体が2機構成となり、整備の手間が倍増する。
着陸後、再発進するために、2機を結合する作業が必要になる。
下段は衛星軌道に乗らないため、離陸地点から遠く離れた場所に着陸するような飛行計画となった場合には、離陸地点まで戻る面倒が生じる。
下段の種類
ロケット着陸するファルコンヘビーの1段目ロケット