二歩
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第64回NHK杯準決勝第2局
第92手 橋本崇載八段の二歩
橋本崇載八段 △持ち駒:なし













▲行方尚史八段 持ち駒:歩歩

二歩(にふ)とは、自分の歩兵が配置されている筋に、持ち駒の歩兵を打つ手のこと。将棋の禁じ手の一つである。目次

1 概要

2 二歩の例

3 詰将棋における二歩

3.1 例題

3.2 歴史


4 類似のゲームにおける事例

5 脚注

5.1 注釈

5.2 出典


6 関連項目

概要

既に歩兵が配置されている筋に、持ち駒から歩兵を打つこと、つまり縦の列(筋)に2枚の歩兵を配置することは出来ないというルールである。ただし成った歩兵、すなわちと金のある筋に歩兵を打つことは、その筋に別の歩兵がなければ認められており、禁じ手ではない。これは盤上のと金が、金将と同じ駒として扱われているためである。同様に、歩兵のある筋にと金を動かすことも認められている。

この二歩のルールによって合法な局面である限り、歩兵は先手・後手のそれぞれのプレイヤーについて同じ筋の中に1枚以下しか存在できない。

従来は禁じ手を指しても、投了によって定まった勝敗が優先となっていた。しかし、2019年6月10日にルールが改正され既に終局していた場合であっても、当該棋戦の次の対局が始まる前にその二歩の指摘があれば、遡って二歩をした側の反則負けとなる[1]

初めて成文化したのは二代大橋宗古とされる。二歩が禁止になった理由としては、飛車先の歩先に歩を打つことが出来ると優劣がはっきりしすぎるために面白くなくなる事などが指摘されている[2]

極めて初歩的な禁じ手の一つだが、将棋の反則の中では最も起こりやすいものの一つでもあり、プロ高段者の対局においてさえしばしば発生する[注釈 1]。自陣で追いつめられ前の方の歩に気付かず思わず合駒してしまう、敵陣で相手を攻めるのに夢中になりしばらく前に打っていた自陣深くの歩を見落とす、敵陣に打ち込んで不成のまま放置していた歩に気付かない、などの状況でうっかり打ってしまうことが多い。また、盤上の歩を見落とすだけではなく、駒台の他の駒と歩を持ち間違えて二歩を打つこともある。特に持ち時間の少ない早指し戦などでは、十分に注意する必要がある。森内俊之の説によれば、二歩については半数以上が底歩(一番下の段の歩)絡み、即ち底歩を打っているのに別の歩を打ってしまったか、別の歩があるのに底歩を打ってしまったケースであるとのことである[3]

アマチュアの対局であっても、公式な大会では二歩を打った時点で即時負けとされることが多い。一方で将棋ソフトやネット将棋では、禁じ手であることを指摘されるだけで指せないようになっている。
二歩の例

二歩の例年棋戦二歩を指した棋士・女流棋士対局相手手番備考
1977年関屋喜代作青野照市
1980年有吉道夫森安秀光
1982年米長邦雄島朗
山口千嶺関根茂5七歩の上に5六歩を重ね打ち
1985年淡路仁茂島朗
1986年順位戦淡路仁茂石田和雄145手目 7二歩
1988年二上達也西村一義
1992年順位戦所司和晴石川陽生131手目 8二歩
1997年淡路仁茂矢倉規広
1998年銀河戦山崎隆之佐伯昌優94手目 4一歩
2004年NHK杯豊川孝弘田村康介109手目 2九歩第54回1回戦第12局(6月20日)
順位戦田中寅彦中村修142手目 5三歩
棋聖戦山崎隆之小林裕士87手目 3三歩
2005年NHK杯松尾歩先崎学98手目 3六歩第55回1回戦第4局(4月24日)
2006年棋聖戦室岡克彦瀬川晶司54手目 7一歩
順位戦小林健二小倉久史149手目 9二歩
2007年JT将棋郷田真隆佐藤康光117手目 9六歩[4]
2015年NHK杯橋本崇載行方尚史92手目 6三歩[5]第64回準決勝第2局(3月8日)
銀河戦高橋道雄安用寺孝功95手目[6] 3五歩[7]第23期本戦Fブロック8回戦(2月13日収録、5月7日放送)


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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