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二日酔い
ロートレックがシュザンヌ・ヴァラドンをモデルに描いた「二日酔い」(1888年)
概要
診療科神経学, 精神医学, 麻薬学[*]
分類および外部参照情報
ICD-10G44.83, F10
[ウィキデータで編集]
二日酔い(ふつかよい)、宿酔(しゅくすい)とは、酒などのエタノール(アルコール)を含んだアルコール飲料を、自身の代謝能力以上に摂取することにより引き起こされる不快な身体的状態。
エタノールの中間代謝により生成されるアセトアルデヒド中毒症状・脱水症状・低血糖・睡眠不足など複数の要因が重なって二日酔いの症状を引き起こす[1][2]。基本的には、夜間に酒を飲み、アルコールが抜けた翌朝の起床後、顕著に現れる現象を指す。急性アルコール中毒とは異なり、生命に直接の危険はないが、しばしば頭痛や吐き気などの著しい不快感を伴う。なお飲酒後、短時間で現れるものは悪酔い(わるよい)という。
日本政府は、質問主意書の答弁書で、『「二日酔い」については、その要因と発症機序について未解明な部分が多く、医学的に確立された定義は存在せず、また、法律、政令及び省令において「二日酔い」を定義した規定はない』との見解を示している[3][4]。 原因が酒にあるのは確実だが、二日酔いに至る原因は驚くほど解明されていない[5]。薬物が体から抜けていくときの離脱症状、脱水症状、低血糖、栄養失調、体の酸塩基平衡
原因
アルコールがドーパミンニューロンに作用すること、血中のカテコールアミン量が上昇することなどが要因の一つではないかという研究も進められている。
ただ一つ言えるのは、原因は一つではなく複数の要因によって引き起こされているということである[5]。 二日酔いは主に飲みすぎ、すなわち自身のアルコール分解能力を超えた量の酒を飲むことで起きる。 アセトアルデヒドの代謝酵素であるアセトアルデヒド脱水素酵素は、人種あるいは個人の遺伝的体質により、その代謝能力に差がある[6]。 モンゴロイドのほぼ半数はアセトアルデヒド脱水素酵素の働きが弱い「低活性型」か、全く働かない「失活型」である、そのためモンゴロイドには酒に弱く二日酔いになりやすいタイプが多く、全く酒を飲めないタイプ(いわゆる「下戸」)も存在する。それに対しコーカソイド・ネグロイドはこの酵素がよく働く「活性型」であり、酒に強く二日酔いにもなりにくい体質の者が多い。なお人類のアセトアルデヒド脱水素酵素のタイプは元々「活性型」が基本タイプであり、「低活性型」及び「失活型」は突然変異によって生まれたハプロタイプである。 筑波大学の原田勝二 色のついた酒より透明な酒、醸造酒より蒸留酒が二日酔いになりにくいとされている。酒に含まれる水とエタノール以外の酒含有物をまとめてコンジナー
体質による差
酒による差
蒸留酒を作った際の副産物の一種にフーゼル油というものがある。過去には二日酔いの原因物質と考えられていた。しかし、詳しい研究はあまり行われてこなかったが、メインとなるエタノールの悪影響ほどではない、逆にエタノールの影響を軽減しているという報告もある[8]。
メタノールの代謝が早い人ほど二日酔いに苦しむという説もある[9]。ペクチンを含む果実から作る酒にメタノールが含まれやすく、似たような化学構造を持つことから蒸留でも共沸を起こしてしまい取り除くのも難しい[10]。そのため、各国で規制は行われるものの、若干量のメタノールは許容値とされ、多くはワインなどの果実酒、果実酒から作った蒸留酒などに含まれる[10]。 頭痛、嘔吐・吐き気、喉の渇き、胸のむかつき、体の震え、アルコール性胃炎による悪心などの自覚症状がある。
症状
アセトアルデヒドの中毒症状
アルコールを摂取すると、体内でアルコールはアルコール脱水素酵素によりアルコール類が分解される。主に含まれるエタノールは、アセトアルデヒドに分解される。アセトアルデヒドは、アセトアルデヒド脱水素酵素により酢酸へと分解され、最終的には水と二酸化炭素に分解されることにより体外へと排出される[11]。アルコールの中間代謝物質であるこのアセトアルデヒドは毒性が非常に強く、その毒性により引き起こされる症状が二日酔いである。つまり二日酔いの原因はアルコールそのものではなく、代謝過程におけるアセトアルデヒドによって引き起こされると考えられている[要出典][誰?]。と、以上のような流説があるが、血中アセトアルデヒドが二日酔いに関係するという科学的な研究結果はあまり見かけない[5]。そもそも二日酔い状態時に血中からアセトアルデヒドが検出されるのは稀である[5]。それよりも、アセトアルデヒドから分解される酢酸に頭痛などの二日酔いらしい症状が確認されている[12]。
酢酸による症状