二代目はクリスチャン
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『二代目はクリスチャン』(にだいめはクリスチャン)は、つかこうへい長編小説1985年に『野性時代』(角川書店)にて発表[1]、同年5月に角川文庫より刊行された。同年に角川春樹事務所創立10周年記念作品としてつかの脚本、井筒和幸監督により映画化。また、後年つかにより戯曲化されている。
書誌

二代目はクリスチャン
著者
つかこうへい
発行日1985年5月
発行元角川文庫
ジャンル長編小説
日本
言語日本語
形態文庫判
ページ数259
コードISBN 978-4-04-142215-1

ウィキポータル 文学

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二代目はクリスチャン(1985年5月、角川文庫ISBN 978-4-04-142215-1

つかこうへい傑作選(七)(1996年4月1日、メディアファクトリーISBN 978-4-88991-356-9

二代目はクリスチャン(2010年8月、トレンドシェア、ISBN 978-4-905090-18-2

シナリオ


つかこうへい『シナリオ 二代目はクリスチャン』(1985年8月、角川文庫ISBN 978-4041422984

ストーリー

今日子がシスターとして勤める聖サフラン教会で、天竜組というヤクザの初代組長(親分)、源一郎のお別れ会がしめやかに営まれた。天竜組は神戸の港祭りを仕切っており、二代目は親分の息子にあたる晴彦が継ぐ予定だったが、他の親分たちからは頼りなさを理由に陰口を叩かれる。

その組を敵対視する、黒岩会の会長、黒岩は「天竜組の代紋を奪って港祭りを仕切る」という計画を実行するため、黒岩会は天竜組の親分を裏切ったうえ、多くの組員を引き抜いて弱体化を図った[注 1]

晴彦と神代は幼なじみで今日子を奪い合う恋のライバルでもあったが、今日子には密かに想いを寄せる男が居た。その男は英二であり、彼は殺人容疑で警察に追われていた。そんな彼をかくまって、ケガの治療を施したことがその切っ掛けである。なお、英二はその後警察に自首したが、後に釈放された[注 2]。その後、天竜組の組員たちは晴彦の命令で教会の手伝いをし始めるようになったが、教会を訪れる信者が減少し、今日子は寄付の減少に頭を悩ませた。なお、この教会では数名の孤児を育てており、その養育費として寄付が必要だった。

ある日、百合が教会を訪れて今日子に宣戦布告したが、マザー・ゴルガンが心臓発作で倒れて病院へ運ばれた。その後、今日子は入院したマザーの代わりに教会の運営を代行した。そんなある日、今日子は晴彦から「懺悔を聞いてほしい」と頼まれた後、愛の告白を受け入れてしまう。

今日子と晴彦は教会で結婚式を挙げ、その式の後に二代目襲名披露が行われる予定だった。しかし、式の最中に短刀を持った百合が現れて今日子に襲い掛かるも、晴彦が今日子をかばったことで刺殺されてしまう。この件で今日子は亡くなった晴彦の代わりに二代目を襲名する覚悟を固め、その披露会が行われたが、父親の境遇と英二との因縁を知った今日子は愕然とした。

なお、晴彦を刺した百合はその後、覚せい剤による心神喪失が認められ、執行猶予付きで釈放された。今日子は百合を引き取って教会で一緒に暮らし始めたが、黒岩会との抗争はこれを切っ掛けにエスカレートし、天竜組に対し下記などの無差別攻撃を行った。

愚連隊を雇い、天竜組の組員たちを痛めつける」

「(百合に命じて)今日子を母親と合わせ、多額の借金があることなどを暴露する」

「教会へ殴り込みをかけて森田・徳二の2人を殺害し、(助けを呼びに行こうとした)金造も殺害」

「教会の前で百合と吾助の2人を殺害した後、バズーカ砲で教会を爆破し、磯村も殺害[注 3]

黒岩会の一方的な攻撃に怒りを隠せなくなった今日子は主の教えに背き、父の形見の長ドス日本刀[注 4]を持ち、次郎とともに黒岩会へ殴り込みに行くも、その道中で英二が立ちはだかった。英二は今日子にわざと手を添え自分を斬らせた後、今日子の背中を押した。

黒岩会へ殴り込んだ今日子と次郎は神代の援護を受け、決着を付けるための抗争を始めたが、その最中に次郎は黒岩に銃殺されてしまう。その後、今日子も組員たちの襲撃によって何度も切り傷を負ったが、組員たちを斬っていき、最後は黒岩を刺殺して黒岩会との抗争に終止符を打った。

この殴り込みで天竜組は消滅したが、神代は落とし前を付ける旨(※この件のすべての責任を神代が被ること)を今日子に伝えた後、神代は今日子のもとから去った。
映画

二代目はクリスチャン
監督
井筒和幸
脚本つかこうへい
原作つかこうへい
製作角川春樹
出演者志穂美悦子
岩城滉一
柄本明
蟹江敬三
室田日出男
かたせ梨乃
月丘夢路
山村聡
北大路欣也(特別出演)
音楽甲斐正人
撮影北坂清
編集玉木濬夫
製作会社角川春樹事務所
配給東宝/角川春樹事務所
公開 1985年9月14日
上映時間101分
製作国 日本
言語日本語
配給収入12億5000万円[2]
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プロジェクト 映画

『二代目はクリスチャン』(にだいめはクリスチャン)は、(旧)角川春樹事務所創立10周年記念作品として製作された、井筒和幸監督による日本映画。1985年9月14日公開。配給元は東宝。同時上映は澤井信一郎監督の『早春物語』。
キャスト
シスター今日子
演 -
志穂美悦子真面目で慎ましく、愛情深く疑うことを知らない敬虔なシスター。普段は教会で働き、身寄りのない子供たちと一緒に生活している。小さいころ、教会の前に捨てられていたのをマザーに育てられた。過去に8年ほどバチカン市国にある教会でシスターの経験があり、外国語が堪能。透視ができ、ツボ振リサイコロの目を何度も当てている描写がある。英二を密かに慕う。
天竜晴彦
演 - 岩城滉一神戸を取り仕切る天竜組の跡目を継ぐ存在。しかし、クリスチャンの今日子と結婚したいがために、先代が亡くなった後も2代目襲名を引き延ばした。
神代
演 - 柄本明神戸署の刑事。実家は100年続く寺の次男。今日子に好意を寄せていて、晴彦と今日子を巡ってあれこれと画策する。
黒岩
演 - 室田日出男晴彦率いる天竜組の跡目を狙っている黒岩会の長。関係先の病院で注射で覚せい剤を一般の患者に打って覚せい剤漬けにするというしのぎをする。元は天竜組の先代に世話になっており、晴彦が子供の頃に家庭教師をしていた。
百合
演 - かたせ梨乃晴彦と付き合っていて、晴彦が今日子に惚れ込んでいると知り今日子に敵対心を持っている。実は、黒岩会によって覚せい剤を常用させられており、利用されている。
とみこ
演 - 小柳みゆき神代の両親が、息子の結婚を心配して勝手に決めた結婚相手で、檀家総代の娘。
磯村
演 - 蟹江敬三天竜組のまとめ役。晴彦より年上ながら先代の恩に報いて、晴彦に従う。
金造
演 - 山本亨天竜組の組員。
徳二
演 - 高野嗣郎天竜組の組員。
次郎
演 - 松本竜介天竜組の組員。シスター今日子と黒岩会へ殴り込んだときに、「二代目!」と叫んだ。


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