事業継続計画
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事業継続計画(じぎょうけいぞくけいかく、英語: business continuity planning, BCP)とは、災害などの緊急事態が発生したときに、企業が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画[1][2][3]。事業継続と復旧計画(Business Continuity & Resiliency Planning, BCRP)とも呼ばれる。企業に対する潜在的な脅威に対処するための予防に加えて、ディザスタリカバリによる事業の継続的な運用を可能にすることを目標とする[4]

類義語としてコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)があり、この語も非常事態が発生した場合の対応策をまとめた計画を表すが、事業継続よりも緊急時の初動計画に力点をおいている[5]。また、事業継続計画 (BCP) を策定し、運用し、継続的に改善する活動を、事業継続マネジメント (BCM) と呼ぶ。

従来は用語の「継続」の意味通り、災害時も企業が営業などの事業を継続する計画(例えば、災害時でも物流が止まらない)であったが、現在では災害時に安全に営業を停止し、復帰させる計画(例えば、災害が予想される前に物流を止める。)であることが多い。
概要

サプライチェーンの中断、重要なインフラストラクチャ(主要な機械装置、コンピュータ、ネットワーク等)の損失または損傷など、運用に悪影響を与える可能性のある事象はすべて事業継続計画に含める必要がある。そのため事業継続計画は危機管理の一部として扱われる[6]。米国では、政府機関はこのプロセスを運用継続計画(COOP)と呼んでいる[7]。事業継続計画[8] は、さまざまな災害シナリオと、特定のシナリオで事業が通常営業に復旧するために企業が実行する手順の概要を示す。事業継続計画は事前に作成しておき、実施すべき予防措置を含めておくこともある。通常、主要な従業員と利害関係者の意見を取り入れて作成される。事業継続計画は、不利なシナリオでの事業への潜在的な危害を最小限に抑えるための一連の緊急対応である[9]
レジリエンス

2005年の分析では、危機的状況が企業の運営にどのように悪影響を及ぼし、事業復元力 (レジリエンス) へ投資してさまざまな不測の事態に備えることが、備えのない競合企業と比べて競争優位性をもたらせるか、当時の一般的な事業継続計画の実践を拡張した[10]。アメリカ合衆国競争力評議会などの企業組織は、このレジリエンスの目標を取り入れた[11]

明らかにゆっくりとした、より進化的な方法で(時には何年または何十年にもわたって)変化に適応することは、よりレジリエンスがあると説明されている[12]。「戦略的復元力」という用語は、いまや一時的な危機に抵抗することを超えて使用されており、"変化が明らかになる前に"、継続的に少しずつ適合する方法が取られている。

この手法は、災害への備え[13]、保護、対応、復旧と呼ばれることがある[14]

レジリエンス理論は、パブリック・リレーションズの分野と関係がある。なぜなら、レジリエンスは、市民、家族、メディアシステム、組織、政府によって日常会話や仲介された会話を通じて構築されたコミュニケーションプロセスであるからである[15]

この理論は、パデュー大学のブライアン・ラムコミュニケーション大学院の教授であるパトリスM.ブザネルの研究に基づいている。彼女の2010年の記事、「レジリエンス:話し、抵抗し、ニューノーマルを想像する」で、 ブザネルは、抵抗を構築することによって危機を経験した後、組織が繁栄する能力について論じた[16]。ブザネルは、レジリエンスを維持するために個人が用いる5つの異なるプロセス「正常を作る」、「アイデンティティアンカーの確認」、「通信ネットワークの維持と使用」、「代替ロジックの機能」、「否定的感情の隠蔽と肯定的感情の露呈」があると述べた。

レジリエンス理論を見ると、危機コミュニケーション理論と似ているが、同じではない。危機的コミュニケーション理論は会社の評判に基づいているが、レジリエンス理論は会社の復旧過程に基づいている。レジリエンスには5つの主要な要素「正常を作る」、「アイデンティティアンカーの確認」、「通信ネットワークの維持と使用」、「代替ロジックの機能」、「否定的感情の隠蔽と肯定的感情の露呈」があり[17]、各プロセスは危機的状況にある企業にも適用でき、企業が予行演習を行う際に気にすべきポイントである。

危機的状況の影響を受ける主なグループは「ミクロ(個人)」、「メソ(グループまたは組織)」、「マクロ(国または組織間)」の3つある。レジリエンスには、プロアクティブレジリエンスとポストレジリエンスの2つの主要な種類がある。プロアクティブレジリエンスは、危機が訪れる前に、会社の強固な基盤を構築して備えること、ポストレジリエンスは、従業員とのコミュニケーションや安否確認の継続を行うことである[18]。プロアクティブレジリエンスは、問題が発生する前に問題に対処し、ポストレジリエンスはコミュニケーションを維持し、危機発生後の機会を受け入れることである。レジリエンスはどの組織にも適用できる。
事業継続性

事業継続性とは、事業継続計画とディザスタリカバリの適切な実施により得られる結果である。予備のマシンとサーバーを費用効果の高い方法で購入し、別の場所に設置してバックアップを実行し、責任者を立て、予行演習を行い、従業員を教育し、警戒することによって得られる。

事業継続性を保つために計画と手順が作成され、組織運営を維持するために必要な重要な組織の運用が、他との依存関係が中断されても継続できるよう準備する。

計画する際の主なコストは、監査コンプライアンス管理文書の準備である。この情報は手動で作成することも、自動化ツールを利用することもできる。

計画を作成の際の必須項目「事業継続性標準」のチェックリストがさまざまな標準化団体から公開されており、参考にすることができる[19]
方法論とマニュアル

経済産業省[20][21]厚生労働省[22] は、BCPの内容を以下の4つのフェーズに分類している:
BCP発動フェーズ

業務再開フェーズ

業務回復フェーズ

全面復旧フェーズ

完全なBCPサイクルは混乱の事前、最中、及び事後に利用可能な、印刷されたマニュアルである。その目的は、中断の範囲(それがどの程度何にどんな影響するか)と期間(たとえば、何時間、何日、何ヶ月)との両方によって決まる影響を受ける不利な利害関係者を減らすことである。測定可能な事業影響分析(BIA)『ゾーン』(危険と脅威のある領域、市民、経済、自然、技術、2次的及び後続の存在)を含む領域。

BCP方法論は、あらゆる規模とあらゆる複雑な組織のためスケーラブルである。方法論は、重要インフラ保護(英語版)をルーツに持つにもかかわらず、組織のあらゆる特徴は、一つのBCPマニュアルを作成する可能性がある。そして間違いなく、すべての組織は組織の延命を確かにするためそれを持つべきである。企業がBCPの準備に十分な時間と資源を投資しない証拠は、災害生残り統計で明らかにされる。火災は影響を受けた事業の44%を永久に凍結するため[23]世界貿易センター爆破事件で150?350の事業が影響を受け、その後を生残れなかった。逆に、BCPマニュアルを良く開発しテストしていたアメリカ同時多発テロ事件によって影響を受けた企業は、数日中に事業に戻ることができた[24]

小さな組織のためのBCPマニュアルは、第1次作業場所から離れて安全に保管された、オフサイトの場所、データバックアップ、保管メディア、保険契約のコピー、その他の組織生残りに必要な重要書類を伴う、危機管理スタッフ、通常スタッフメンバー、クライアント、及びベンダーのための名前、アドレス、及び電話番号を含む、単純な印刷されたマニュアルである。最も複雑なところでのBCPマニュアルは、第2次作業サイト、技術要求と覚悟、規制報告要求、作業回復測定、物理的記録の再確立の手段、新しいサプライチェーン確立の手段、新しい生産センター確立の手段をアウトラインすることである。企業は、これらのBCPマニュアルが危機中に使うため現実的でかつ容易であることを確かめるべきである。このようにBCPは、危機管理災害復旧のそばに置く、組織のリスクマネジメントの一部である。

BCPマニュアル開発は次の5つのフェーズを持つ。
分析

ソリューション設計

実装

テストと検収

維持、修理と運用

上記のリストは決定的なものではなく、事業自身の計画/マニュアルに含まれ得るその他の考慮点がいくつかある。
リスク識別マトリックス

役割と責任 (名前は残されるがタイトルは含まれることを確認する、例えばHR Manager)

最大リスクと緩和戦略の識別

資源配置のための考慮点、例えば大規模組織の技能マトリックス

インターネット上でのBCPマテリアルの多くは、BCPソリューション開発のためのフリーベース・サービスを提供するコンサルタントによって支援される。しかし基本チュートリアルは、インターネット上で自由に利用可能である[25]
分析

BCPマニュアルの開発における分析フェーズは、影響分析、脅威分析、及びBCP計画の要求ドキュメント化に帰着する影響シナリオから成る。
影響分析詳細は「ディザスタリカバリ#ITサービス継続性」を参照


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