事業仕分け_(行政刷新会議)
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行政刷新会議が行う事業仕分け(じぎょうしわけ)は、国家予算の見直しにおいて、国民への透明性を確保しながら、予算執行の現場の実態を踏まえて、そもそも事業が必要か否かを判断し、財源の捻出を図るとともに、政策、制度、組織等について今後の課題を摘出するものである[1]。経済的視点のみに重点が置かれ判断されたため、批判が続出した[2]
概要

2010年度予算編成のために民主党政権が導入した手法である[3]。2002年、シンクタンク構想日本によって地方自治体を対象として、その予算の無駄を明らかにするために行われたことが最初である。それを日本国の予算編成にも取り入れようと、2009年11月に実施された。

事前に「仕分け人」によって対象事業が調べられ、一般に公開された場において、事業担当者とその事業の必要性その他に関する議論が行なわれ、「廃止」、「縮減」などの判定が下される。

行政刷新会議による事業仕分けは、公開の場において、外部の視点を入れながら、それぞれの事業ごとに要否等を議論し判定するものである。事業仕分けの評価者(仕分け人)は、行政刷新会議議長が指名し、国会議員や民間有識者、担当府省の副大臣又は政務官からなるメンバーで構成された。

事業仕分けの進行手順は、以下のとおり[4][5]
当該事業の担当職員が事業シート(事業の概要、これまでの実績や予算などについて記載された書類[6])に基づいて事業の要点や補足事項を説明

査定担当(財務省主計局や改革推進部局など)が事業の論点やこれまでの経過を説明

とりまとめ役(国会議員)が事業を選定した背景や主な論点を説明

評価者が担当職員に仕分け判断としての質問や議論を行う

各評価者が評価シートに評決内容と理由を記載

とりまとめ役が評決結果を発表

なお、事業仕分けを自らの事業を正当化する手段としないために、5つの基本原則(現場に通じた外部の視点の導入、全面公開、同一フォーマットの事業シート作成、明確な結論、プロセス重視)[7]が示されている。

事業仕分けの提案時に説明された、事業仕分けの目的・考え方は、以下の5点である[8]

従来、一度計上された予算費目は、翌年以降の要求段階や査定段階で必ずしも十分吟味されてこなかったが、事業仕分けは外部の視点も入れて「そもそも必要な予算か」ゼロベースで議論する。

これまでの予算編成で見過ごされがちであった「執行の実態」について極力現場の目線で、最終的に税金がどう使われ、その効果がどうなっているかを検討して、予算の要否を判断する。それにより、予算編成におけるPDCAサイクルを確立する。

議論を公開の場で行い、予算編成において、「何が論点か」、「予算の優先順位はどうなっているのか」などを国民の眼に明らかとする。それにより、一部の政治家と官僚の考えや利害によって予算が決められているのではないかという国民の疑念を払拭し、官庁の国民への説明能力や規律を高め、官僚主導・族議員主導と言われる予算編成から、国民主導の予算編成にしていく。

すべての政務三役は、各省の代弁者ではなく内閣の構成員として、財源捻出に徹底して努力し、自省の予算要求の必要性を徹底して精査する。

以上により政治主導のもと、民間人の力と、改革意欲のある官僚の力を活用して、これまでの「しがらみ」から予算編成作業を解き放つ。そして国民の力を結集した予算編成作業としていく。

加藤秀樹行政刷新会議事務局長は、「事業仕分けは、政策を議論する場ではない。事業目的の是非を議論するのは政策論であり、事業仕分けはその事業についた予算が目的通り実際の現場で有効に活用されているのかを調査するものである。」と説明している[9]。なお、枝野幸男行政刷新担当大臣は、「事業目的と実際の状況が乖離していると誰が見ても判断するような場合に限り、事業仕分けにおいて事業目的の是非も問うことになる。」と発言している[9]

この事業仕分けはあくまで「判定」であり、評価者に予算削減を行う権限・強制力はない[10]。事業仕分けの結論がどう予算に反映されるかは、予算編成権を持つ財務省による予算査定の動向と内閣政治判断、そして国会の議決によって決まることになる[6]
実施の経緯

鳩山由紀夫内閣が掲げる政治主導の一環として、行政刷新会議にワーキンググループ(WG)が置かれ、2009年11月10日から事業仕分け作業が開始された。

2009年11月12日仙谷由人行政刷新担当相は毎日新聞の政策情報誌「毎日フォーラム?日本の選択」のシンポジウム「政治は変わったか?民主政権の課題と自民再生への展望」において、行政刷新担当相として「事業仕分け」について「予算編成プロセスのかなりの部分が見えることで、政治の文化大革命が始まった」と発言した[11]

2010年3月11日行政刷新会議は各府省ごとに内部で事業仕分けを行う、行政事業レビューを実施することを発表した [12]
独立行政法人の予算の変遷

平成18年度以降の独立行政法人への予算額の変遷は以下の通り(一般会計特別会計の合算額)


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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