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事前面接(じぜんめんせつ)、事前面談(じぜんめんだん)、職場見学(しょくばけんがく)、職場訪問(しょくばほうもん)とは、日本において、労働者派遣法と職業安定法で禁止している特定目的行為である。 派遣労働者を派遣先に派遣する行為は、派遣元による労働者の配置にほかならない。したがって、その派遣先に誰を派遣するかを決定するのは雇用関係のある派遣元である。派遣先が労働者の配置に関与しうる事前面接(顔合わせ、職場訪問、説明会)や、履歴書・スキルシートなどを用いた派遣労働者の特定は禁止されている。 派遣先が派遣労働者を特定をするという場合には、派遣先と派遣労働者の間に雇用関係が成立する、または雇用契約の成否を左右し雇用者としての地位に関与するものとし、労働者供給事業に該当(職業安定法第44条の労働者供給事業の禁止規定違反)する可能性がある。 労働者派遣法では事前面接の禁止を努力義務としているものの、職業安定法では労働者供給事業に該当し刑事罰が科せられる可能性があることから、労働者派遣法の罰則が軽すぎるとの指摘もなされている。 また派遣労働者の就業機会が不当に狭められる恐れがあることから、事前面接等の特定目的行為を禁止している事由の一つとして提示されている。 派遣先が派遣労働者の配置に関与した場合は二重の雇用関係につながり、職業安定法で禁止された労働者供給事業となる。取締法規である職業安定法を所管する厚生労働省は派遣労働者の配置への関与のみならず、派遣労働者の特定を目的とする行為をしたとする条件のみで二重の雇用関係(派遣先との雇用関係成立)となる蓋然性があるとしており、事前面接、履歴書・スキルシート配布の行為そのものが労働者供給事業違反罪を構成することになる。 派遣労働者の特定により、派遣先が労働者の配置に関与することになると、労働者派遣契約ではなく労働者供給事業にあたる(労働者派遣法第2条1項)ため派遣会社による労賃のマージン(ピンはね)取りは中間搾取にあたる。このため職安法第44条の趣旨である中間搾取や強制労働等の前近代的な雇用形態の民主化に抵触し職業安定法44条の構成要件を満たす。[1] 登録型派遣(一般派遣)では、非正規社員として就業が決まった後に雇用が決まるため、派遣先による労働者の事前特定により雇用関係があるとの解釈が成立する。しかし常用型派遣(特定派遣)では正規社員として就労するため、事前面接の時点で既に雇用関係があるので労働者供給事業にならないとの説が一部の学者より提示されている。この説に対し厚生労働省は見解を出していないが、派遣元・派遣先両方での雇用関係が認められた場合は、労働者供給事業にあたるとしており、常用型派遣(特定派遣)に例外的な免責を与えておらず、登録型派遣、常用型派遣の両方において、広く事前面接などの特定目的行為を禁止している。 特定目的行為により派遣先と派遣元の両方に雇用関係が生じる蓋然性が高い場合は常用型、登録型に依拠せず、労働者供給事業に該当することになる(下図参照[2])。 元先 常用型派遣と登録型派遣の違いは事前面接・特定目的行為時の、派遣元と派遣労働者の雇用関係にある。しかし事前面接の時点で違法状態とはならなくとも、就業時に派遣先と雇用関係が生じた時点で、派遣元、派遣先の両方で雇用関係の成立が認められるので職業安定法第44条に違反することになる。(下図参照) 採用・選考元先
概要
日本の法律上の取扱い
職業安定法と労働者派遣法との関係
登録型派遣と常用型派遣の区別
供給事業支配指揮命令× 元と労働者の間に雇用関係がない→供給事業
供給事業支配雇用× 元と雇用関係がない/先と雇用関係がある→供給事業
供給事業雇用雇用× 元・先両方に雇用関係がある→供給事業
供給事業雇用/指揮指揮命令労働者派遣を受けた労働者をさらに第三者の指揮命令のもとに労働させる形態(二重派遣)→供給事業
派遣事業雇用指揮命令許可・届出が必要
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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