乾燥剤
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乾燥(かんそう)とは、熱を加えるなどして、目的のものから水分を除去し、乾いた状態にすること、乾いた状態になっていることを指す。一般的には、水分を気化させ、液状の水分をなくすか少なくすることを指すが、空気中の湿度が低い場合にも乾燥という言葉を使う。

乾燥剤(かんそうざい)は空気中から水蒸気吸収する物質である。乾燥剤は一般的に湿度により品質が劣化したり壊れたりする製品に用いて湿気を取り除く為に通常使用される。シリカゲル分子篩などが一般に乾燥剤として使用される。油性塗料等では、水分の除去ではなく酸化重合反応を促すため、乾燥促進剤として金属石鹸などが用いられることがある。
機構

は多くの物質と親和性が高く、密閉容器中に置かれた物体では水蒸気の蒸散と空気からの凝縮とが平衡状態を形成している。乾燥とは、この水蒸気の平衡状態を物体側から周囲の媒質側(一般には空気)に偏らせることといえる。その為には大きく分けて 2 つの要因を制御することになる。

1 つは物体の温度を上昇させることにより水蒸気の発散量を増やし、凝縮し難くすることで乾燥が進行する。

もう 1 つは物体周囲の媒質中の水蒸気を除去することで水蒸気の発散が優位になり乾燥が進行する。

これらを日常生活での乾燥についての経験則と照らし合わせると、前者は気温が高いほど早く進行し、後者は送風すると早く進行することに相当する。

この 2 つの要因は同時に作用させる場合も多い。例えば、燻製による乾物の製造の場合は、燻煙は熱を供給するとともに蒸散した水蒸気を対流により運び去っている。あるいは赤外線を当てて乾燥させたり、凍結乾燥する例では一方の要因だけで乾燥させる方法である。
乾燥特性

乾燥はその状態を3種類に変化させながら進行する[1][2]
材料予熱期間初期状態から、乾燥条件によって決まる平衡状態に達するまでの期間。

定率乾燥期間平衡に達したあと、外部から受けた熱がすべて水分蒸発のみに費やされる期間。乾燥させる物体の表面に充分な自由水が存在し、物体温度は表面から物体中心まで湿球温度に等しくなる(伝導や放射による影響がない場合)。含水率の減少速度は物体の含水率によらず一定であり、含水率は直線的に減少する。

減率乾燥期間含水率が限界含水率を下回り、物体内部からの自由水の補給が蒸発速度に追いつかなくなるために蒸発が物体内部で起こるようになる期間。物体温度は上昇、含水率の減少速度は徐々に低くなり、含水率は充分な時間経過後に平衡含水率まで下がる。粘土や陶器など、オスモティック水を持つ材料ではさらに2つの段階に分かれることがある。

事例
科学

科学分野、特に化学実験ではデシケーターと呼ばれるガラス製の円筒型容器を、少量の物体を乾ききった状態に導き保存するために使用する。乾燥用試薬や乾燥剤を下部に置いた上に棚を設けて、そこに乾燥する物体を置く。

代表的な乾燥剤に使用される試薬を次に示す。

化学的乾燥剤 - 化学物質の固有の性質(化学反応潮解)を利用

生石灰 - 酸性物質の乾燥には向かない

塩化カルシウム - アルコールフェノールアンモニアなどの乾燥には向かない

十酸化四リン[3] - ケトン塩化水素・塩基性物質の乾燥には向かない

濃硫酸 - 含窒素有機化合物・塩基性物質の乾燥には向かない

水酸化ナトリウム水酸化カリウム - 酸性物質・アルデヒドなどの乾燥には向かない

金属ナトリウム - アルコール・アルデヒドの乾燥には向かない

硫酸ナトリウム無水塩

硫酸銅(II)無水塩 - アルコールの乾燥には向かない

過塩素酸マグネシウム - 空気不活性ガスの乾燥


物理的乾燥剤 - 多孔質表面が水分子が吸着しやすい性質を利用

シリカゲル - アンモニアの乾燥には向かない(吸着される)

酸化アルミニウム

モレキュラーシーブ

アロフェン

ゼオライト

無水塩化コバルトの粉末は青い


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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