乳酸リンゲル液(略称:RL、別称:乳酸リンゲル液、ハルトマン液)は、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムを水に溶解した混合液である[1]。循環血液量減少(英語版)や低血圧の患者の体液や電解質の補給に使用される[2]。また、化学熱傷後の眼の洗浄にも使用できる[2][3]。静脈内注入または、または患部に直接投与される[2][3]。
副作用には、アレルギー反応、高カリウム血症、循環血液量過多(英語版)、高カルシウム血症などがある[2]。特定の薬との混合には適さない場合があり、輸血と同じ投与経路での使用を推奨しない説もある[4]。乳酸リンゲル液は、通常の生理食塩水に比べて高クロール血性アシドーシス(英語版)の発生率が低い[1] [4]。妊娠中および授乳中の使用は一般的に安全である[2]。乳酸リンゲル液は晶質液(英語版)系の製剤である[5]。等張性、すなわち血液と同じ浸透圧を有する[2]。
リンゲル液は 1880年代に発明された。乳酸は1930年代に添加された[4]。これは、世界保健機関の必須医薬品リストに掲載されている[6]。乳酸リンゲル剤は、ジェネリック医薬品として入手可能である[1]。肝機能障害のある人には、乳酸を酢酸に置き換えた酢酸リンゲル液がより良い代替品かもしれない[7]。スカンジナビアでは酢酸リンゲル液が通常使用される[8]。日本では、これらに加えて、乳酸を重炭酸に置き換えた重炭酸リンゲル液も使用されている[9]。
医療用途(英語版)に一般的に使用される[10][11]。
乳酸リンゲル液が使用されるのは、肝臓での乳酸代謝の副産物が、急性体液喪失や腎不全で生じる化学的不均衡であるアシドーシスを中和するためである[12]。数時間にわたる大量の輸液蘇生では、乳酸リンゲル液は通常の生理食塩水よりも安定した血液の酸塩基平衡(英語版)を維持する[4]。
乳酸リンゲル液(RL)の静脈内投与量は、通常、推定される体液喪失量と推定される体液不足量から算出される。輸液蘇生の場合、通常の投与速度は 20 ? 30 mL/kg 体重/時間である。RLはナトリウム含量(130mEq/L)が特に小児では低すぎると考えられ、またカリウム含量(4mEq/L)も電解質の1日必要量を考えると低すぎるので、維持療法(維持液)には適さない。さらに、またRLは重炭酸塩に変換されるため、長期間使用すると患者はアルカローシスに陥る[13]。
乳酸リンゲル液および他の晶質液も、薬物の 静脈投与用の基剤として使用される[14]。 乳酸リンゲル液 1 リットルには以下が含まれる。
化学
130?131 mEqのナトリウムイオン= 130mmol/L
109?111 mEq の塩化物イオン = 109mmol/L
28?29 mEq の乳酸イオン = 28mmol/L
4?5 mEq のカリウムイオン = 4mmol/L