Lactic acidosis
概要
分類および外部参照情報
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乳酸アシドーシス(にゅうさんアシドーシス、英語: Lactic acidosis)は、乳酸(多くはL-乳酸)が体内に蓄積され、血液中のpHが過度に低くなる事を特徴とする病態である。これは代謝性アシドーシスの一種で、身体の酸化的代謝に問題がある為に過剰な酸が蓄積されるものである。
乳酸アシドーシスは、通常、急性または慢性の基礎疾患、薬剤、または中毒の結果として生ずる。症状は一般的にこれらの基礎的な原因に起因する、吐き気、嘔吐、クスマウル呼吸(苦しそうで深い呼吸)、全身の衰弱などが見られることもある。
診断は血液の生化学的分析(多くの場合、最初は動脈血ガス分析)により行われ、確定されると通常、アシドーシス治療を目的として基礎的病因を確定するための検査が行われる。状況によっては、一時的に血液濾過(血液浄化)が必要になる事もある。ミトコンドリア病による稀な慢性型乳酸アシドーシスでは、特定の食事療法やジクロロ酢酸が使用される事がある。乳酸アシドーシスの予後は根本となる原因によって大きく異なるが、状況によっては(重度の感染症など)死亡のリスクが高まる。 乳酸アシドーシスは、Woods & Cohen(1976)により A型とB型に大別され B型は更に3つに分類される[1][2][3]。 また、稀な病型としてD-乳酸アシドーシス(D-乳酸脳症)がある[4]。 乳酸アシドーシスは、重症の心疾患や肺疾患、敗血症を伴う重症感染症、他の原因による全身性炎症反応症候群、重度の身体的外傷、重度の血液量減少 乳酸アシドーシスの原因には、以下の様なものがある[要出典]。
分類
A型
臨床的な組織低酸素・循環不全を伴う
B型
その原因により更に
B1:基礎疾患(A型を引き起こす事もある)
B2:薬物・中毒
B3:先天性代謝異常 に分けられる。
兆候・症状
成因
遺伝的疾患
ビオチニダーゼ欠損症
ミトコンドリア糖尿病(英語版)
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ欠損症(英語版)
グルコース-6-ホスファターゼ欠損症(英語版)(糖原病T型)
GRACILE症候群(英語版)
MELAS
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ欠損症(英語版)
ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症(英語版)
リー症候群(英語版)[7]
薬剤
リネゾリド[8]
パラセタモール中毒[9]
メトホルミン:このリスクは低い(10例/10万患者年以下)が、メトホルミンの血漿中濃度が上昇し、乳酸クリアランスが損なわれている特定の状況では、メトホルミン誘発性乳酸アシドーシス(MALA)のリスクは高くなる[10][11]。旧来の関連薬で現在は販売中止となっているフェンホルミンは、乳酸アシドーシスのリスクが非常に高い。
イソニアジド毒性
プロポフォール
アドレナリン[12]
プロピレングリコール (D-乳酸アシドーシス)
ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬
ドルテグラビル・アバカビル・ラミブジン(英語版)[13]
エムトリシタビン・テノホビル(英語版)[14]
シアン化カリウム(シアン化物中毒)
フィアルリジン[15]
その他
チアミン(ビタミンB1)欠乏症(特に高カロリー輸液中)[16]
組織細胞への酸素供給障害(例:血流障害(低灌流)によるもの)
出血
多発性筋炎
エタノール中毒
敗血症(播種性血管内凝固症候群)[3]