乱_(映画)
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Ran
監督
黒澤明
脚本黒澤明
小國英雄
井手雅人
製作セルジュ・シルベルマン
原正人
製作総指揮古川勝巳
出演者仲代達矢
寺尾聰
根津甚八
隆大介
原田美枝子
井川比佐志
ピーター
植木等
音楽武満徹
撮影斎藤孝雄
上田正治
編集黒澤明
製作会社ヘラルド・エース
グリニッチ・フィルム・プロダクション
配給 東宝 / 日本ヘラルド映画
Acteurs auteurs associes
オライオン・クラシックス
公開 1985年6月1日
1985年9月18日
1985年12月20日
上映時間162分
製作国 日本
フランス
言語日本語
製作費$11,500,000(概算)
配給収入 16億7000万円[1]
(1985年邦画配給収入3位)
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『乱』(らん)は、黒澤明監督による1985年に公開された合作の歴史映画で、主演は仲代達矢カラービスタ、162分。
物語はシェイクスピアの悲劇『リア王』と毛利元就の「三子教訓状」を元にしており、架空の戦国武将・一文字秀虎の家督譲渡に端を発する3人の息子との確執、兄弟同士の骨肉の争いと破滅を描く。当時の日本映画で最大規模となる26億円の製作費を投じた大作で、構想から9年かけ完成された。

黒澤の最高傑作の一つとして国内外で高く評価されている。第58回アカデミー賞では監督賞を含む4部門にノミネートされ、ワダ・エミ衣裳デザイン賞を受賞した[2]。第39回英国アカデミー賞では6部門にノミネートされ、外国語作品賞とメイクアップ賞を受賞した。ほか第20回全米映画批評家協会賞で作品賞と撮影賞、第51回ニューヨーク映画批評家協会賞外国語映画賞第11回ロサンゼルス映画批評家協会賞外国語映画賞と音楽賞、第28回ブルーリボン賞で作品賞と監督賞を受賞した。
あらすじ

戦国時代を無慈悲に生き抜いてきた齢70の猛将、一文字秀虎は、隣国の領主、藤巻と綾部を招いた巻狩の場で居眠りをしてしまう。そして、そこで悪夢を見た秀虎は突然隠居することを表明し、長男の太郎、次男の次郎、三男の三郎にそれぞれ城を分け与え、自身は客人として静かに余生を過ごしたいと願う。さらに「1本の矢はすぐ折れるが、3本束ねると折れぬ」と3本の矢をもって兄弟の団結の要を説くが、三郎は示された3本の矢を力ずくでへし折り、父親の弱気をなじり兄弟衝突の懸念を訴える。秀虎は激怒し、三郎とそれをかばう重臣の平山丹後をその場で追放する。それを見た藤巻は三郎の気質を気に入り、婿に迎え入れる。

家督と一の城を継いだ太郎だが、正室の楓の方に「馬印がないのでは、形ばかりの家督譲渡に過ぎぬ」と言われ、馬印を父から取り戻そうとする。そこで家来同士の小競り合いが始まり、秀虎は太郎の家来の一人を弓矢で射殺す。太郎は父を呼び出し、今後一切のことは領主である自分に従うようにと迫る。立腹した秀虎は家来を連れて、次郎の二の城に赴くが、太郎から事の次第を知らされていた次郎もまた「家来抜きであれば父上を迎え入れる」と秀虎を袖にする。秀虎は失意を抱きつつ、主を失って無人となった三郎の三の城に入るしかなかった。

そこに太郎、次郎の大軍勢が来襲する。三の城は燃え、秀虎の家来や女たちは皆殺しにされる。さらに混乱に乗じた次郎の家臣により太郎が射殺される。繰り広げられる骨肉の争いに、秀虎は半ば狂人と化して城を離れる。己が犯した残虐非道の因果に脅え、幽鬼のように原野をさまよう秀虎のあとを、丹後と道化の狂阿弥が付き従う。

夫を失った楓の方は今度は次郎を篭絡し、次郎の正室である末の方を殺して自分を正室にしろと迫る。そんなとき、流浪の身の秀虎を引き取るため、三郎が軍勢を率いて国境の川を越えて現れる。三郎、次郎の両軍がにらみあうなか、藤巻と綾部も兵を遣わして様子をうかがう。楓の方に焚きつけられた次郎は三郎軍に向かって突撃命令を下すが、そのとき、綾部の大軍が一文字領に侵入したとの報が入る。目の前の綾部軍がおとりであったことに気づき、焼け落ちんとしている一の城に戻った次郎に、楓の方は自分の一族を滅ぼした一文字家が滅ぶさまをこの目で見たかったのだと告げる。

一方、三郎は家臣に指揮を任せて陣を離れ、丹後と狂阿弥とともに秀虎を探し出す。鶴丸が吹く笛の音を聴いて正気に返った秀虎は三郎と和解を果たし、親子仲睦まじく馬上に揺られる。しかし、平穏もつかの間、三郎は次郎が差し向けた鉄砲隊に狙撃され命を落とし、秀虎も眼前の悲劇に悶えながら息絶える。「神や仏はいないのか!」と嘆き叫ぶ狂阿弥を、丹後は「殺し合わねば生きてゆけぬ人間の愚かさは、神や仏も救う術はないのだ」と諭す。
キャスト

一文字秀虎:
仲代達矢

一文字太郎孝虎:寺尾聰

一文字次郎正虎:根津甚八

一文字三郎直虎:隆大介

楓の方:原田美枝子

末の方:宮崎美子

鶴丸:野村武司

鉄修理:井川比佐志

狂阿弥:ピーター

平山丹後:油井昌由樹

生駒勘解由:加藤和夫

小倉主馬助:松井範雄

長沼主水:伊藤敏八

藤巻の老将:鈴木平八郎

白根左門:児玉謙次

藤巻の老将:渡辺隆

楓の老女:東郷晴子

秀虎の側室:南條玲子

末の老女:神田時枝

秀虎の側室:古知佐知子

秀虎の側室の老女:音羽久米子

畠山小彌太:加藤武

綾部政治:田崎潤

藤巻信弘:植木等

畠山小彌太の声:加藤精三 ※ノンクレジット[注 1]

頭師孝雄頭師佳孝天田益男木村栄山田明郷須藤正裕渡辺哲高橋利道 ほか

スタッフ

監督・編集:
黒澤明

エグゼグティブプロデューサー:古川勝巳

プロデューサー:セルジュ・シルベルマン原正人

プロダクションコーディネーター:黒澤久雄

脚本:黒澤明、小國英雄井手雅人

演出補佐:本多猪四郎

撮影:斎藤孝雄上田正治

撮影協力:中井朝一

美術:村木与四郎村木忍


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