乗鞍岳
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この項目では、長野県と岐阜県の境にある、北アルプス南部の乗鞍岳について説明しています。その他の乗鞍岳については「乗鞍岳 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

乗鞍岳
信州側の奈川渡ダム上空から
標高3,025.73[1] m
所在地

日本
長野県
松本市
岐阜県
高山市
位置.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯36度6分23秒 東経137度33分13秒 / 北緯36.10639度 東経137.55361度 / 36.10639; 137.55361座標: 北緯36度6分23秒 東経137度33分13秒 / 北緯36.10639度 東経137.55361度 / 36.10639; 137.55361
山系飛騨山脈
種類複合火山[2]活火山ランクC[3]
噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)[4]・常時観測火山
初登頂1683年円空上人)
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プロジェクト 山
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乗鞍岳(のりくらだけ)は、飛騨山脈南部の長野県松本市岐阜県高山市にまたがる剣ヶ峰標高3,026 m)を主峰とする山々の総称。山頂部の権現池火口の外輪山に位置する最高峰の剣ヶ峰、朝日岳などの8峰を含め、摩利支天岳、富士見岳など23の峰があり、高山市奥飛騨温泉郷、高山市丹生川町、高山市朝日町、高山市高根町長野県松本市安曇にまたがる広大な裾野をもつ。飛騨側の高山市街地などから大きな山容を望むことができ、親しまれてきたである[5][6]。剣ヶ峰は、本州太平洋側と日本海側に分ける分水界上の最高峰でもある。
概要乗鞍火山の火山体地形図

山体は岐阜県と長野県に跨がる活火山日本で19番目に高い山[7]。活火山ランクC[3]気象庁による常時観測対象の47火山に含まれる[8]が山頂部に噴気地帯は存在しない[9]。比較的新しい火山であることから穏やかな山容が特徴で、最新の噴火は2000年前の恵比寿岳での噴火とされている。乗鞍岳を含む飛騨山脈の主な山域は1934年(昭和9年)12月4日に中部山岳国立公園の指定を受け[注釈 1][10]。長野県側の麓には溶岩流で形成された乗鞍高原が広がる。1949年に岐阜県道の観光道路で標高2,702 mの畳平までバスが運行されるようになると、大衆化し「雲上銀座」と呼ばれ観光地として賑わった[11]。長野県側からも畳平まで乗鞍エコーラインが開通し山麓にはスキー場が建設され周辺には温泉地があり、四季を通じて美しい景観に恵まれ、乗鞍岳の山域は観光地、保養地として発展している[11]日本百名山[12]新日本百名山[13]信州百名山[14]ぎふ百山[15]一等三角点百名山[16]に選定されている。
山名の由来と変遷麓の高山市から望む雲の上の峰々が南北に連なる乗鞍岳

873年貞観15年)の日本三代実録で、飛騨国司の言葉大野郡愛宝山に三度紫雲がたなびくの見たとの瑞兆朝廷に言上した ? 『日本三代実録』(873年)

が残されており、「愛宝山(あぼうやま)」と呼ばれその当時から霊山として崇拝されていた[17][18]平安時代から室町時代にかけて古歌で「位山」と呼ばれ、1645年(正保2年)頃に乗鞍岳と呼ばれるようになったとされている[注釈 2][17][18]1829年文政12年)の『飛州誌』では、「騎鞍ヶ嶽」と記されていた[11]。飛騨側から眺めた山容がのように見えることから、「鞍ヶ嶺(鞍ヶ峰)」と呼ばれていた[12][19]。日本には同じ飛騨山脈に属する白馬連峰乗鞍岳をはじめとして同名の乗鞍岳が複数あり、「乗鞍」は馬の背に鞍を置いた山容に由来している[20]信州では最初に朝日が当たる山であることから「朝日岳」と呼ばれていた[注釈 3][17][21]最高峰剣ヶ峰の別称が、「権現岳」[注釈 4][21]。魔王岳と摩利支天岳は円空が命名して開山したとされている[21]。1963年(昭和38年)11月に乗鞍国民休暇村(休暇村乗鞍高原)の開設に伴い、番所平と金山平と呼ばれていた周辺一帯が乗鞍高原と呼ばれるようになっていった[22]。南北に多数の峰が連なることから「乗鞍連峰」と呼ばれることもある[5]
火山・地勢山頂直下西にある火口湖の権現池

日本の火山としては富士山御嶽山に次ぐ高さである[注釈 5][23]。乗鞍岳は複数の火山が南北に並ぶ複合火山である。千町火山体(せんちょうかざんたい、128-86万年前に活動した古期乗鞍火山)と烏帽子火山体、四ッ岳火山体、恵比寿火山体、権現池・高天ヶ原火山体(32万年前に活動を開始した新期乗鞍火山)で構成されている[9][23][24]。古い火山体の千町火山体と烏帽子火山体では、浸食崩壊が進んでいる[24]。新期の火山体は山頂付近に分布する火山体や山腹に分布する溶岩ドーム溶岩流からなる大規模な成層火山。剣ヶ峰の噴火での直下西に権現池の火口湖が形成された[19]。約9000年前に現在の乗鞍岳の山容が形成された[25]

山頂部は南北6 km、山体は北の安房峠から南の野麦峠まで南北15 km、東西に30 km、山域の面積は約250 km2と裾野が広いのが特徴で[23]、飛騨山脈の中では最も広い山域を持つ[19]乗鞍高原などの8つの平原がある。火山湖堰止湖の12の池があり、山頂直下西にある権現池は、日本では御嶽山の二ノ池に次いで2番目の高所にある湖沼。梓川神通川飛騨川の源流となる山で、それらの分水嶺となっている[17]。山頂付近の積雪が多く、乗鞍スカイラインの開通のために長期間の除雪が必要となる。夏でも一部の北東斜面などには雪渓が残り、夏山でのスキーが可能となっている。西山腹の千町火山体の溶岩台地上の千町ヶ原から奥千町にかけては、池塘が点在する高層湿原となっている[26]

雄大な広がりを持つ乗鞍岳はコニーデ型の火山で、新生代の第四紀(洪積世・沖積世)、地球全体で火山活動が極めて活発だった時代に誕生したといわれる。乗鞍岳の表面は火成岩に覆われ、山頂部一帯には爆発の傷跡を残す火口壁や火口湖が点在している。現在は活火山としての活動力は失われているが、湯川の上流で吹き出すガスや山ふところの温泉群は、往時の火山活動の名残をとどめるものである[27]
活火山
火山史

古期乗鞍火山

128-125万年前 - 千町火山体の乗鞍火山の噴火が始まり、千町北溶岩と黍生溶岩を流出し、黍生
火砕岩を噴出した[28]

92-86万年前 - 千町火山体で活発に活動し、ダナの岩溶岩、神立原溶岩、千町溶岩、朝日滝溶岩、大峰溶岩、県境溶岩を流出した[28]。この活動で権現池付近を中心にほぼ円錐形の山容が形成された[25]

50万年ほど火山活動は休止しその間に、大規模な山体崩壊により千町火山体の北側は崩れ去った[25]

新期乗鞍火山

32-12万年前 - 千町火山体の北部の崩壊・浸食された烏帽子火山体で火山活動が始まり、烏帽子溶岩、富士見溶岩、桔梗ヶ原溶岩、摩利支天溶岩、前川溶岩、大黒溶岩を流出した[28]。12万年に二つの火口を持つ成層火山が形成された[注釈 6][25]

10万年前 - 権現池・高天ヶ原火山体で火山活動が始まりで、濁川溶岩、番所溶岩、ダナ新谷溶岩、平金溶岩、位ヶ原溶岩、嶽谷溶岩、ダナ東谷溶岩を流出し、前川本谷火砕流堆積物が形成され、高天ヶ原火砕岩と屏風岳火砕岩を噴出した[28]

4万3千年前 - 膨大な番所溶岩流により乗鞍高原の原型が形成された[29]

4万年前 - 浸食された烏帽子火山体上の四ツ岳火山体で火山活動が始まり、四ツ岳溶岩を流出した[25][28]

2万年前 - 浸食された烏帽子火山体の上で恵比寿火山体の火山活動が始まり、恵比寿溶岩を流出した[25]


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