乗車券
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同名のボードゲームについては「チケット・トゥ・ライド」を、主に無人駅やワンマン列車で発行される「乗車駅証明書」については「乗車整理券」をご覧ください。

ノルウェー鉄道での事例。トロンハイム・ヘル間の二等席往復乗車券

乗車券(じょうしゃけん)は、鉄道車両バス[1]旅客が乗るためのチケット。一般に旅客運送契約に基づき運送を請求することのできる権利を証明又は表章する(すなわち交通機関を利用するための)有価証券をいう。

日常語では「切符」と呼ばれるが、「切符」の意味の範囲は「乗車券」より広い。詳細は切符を参照。
概要

旅客の運送に対して、交通事業者との間に契約を結び、運賃を支払うことによって発行される。一括してプリペイドカード乗車カード)等によって支払われる場合もあり、この場合は、乗車券を購入せず、下車時に精算することで交通機関を利用することができる。

運送中は携帯が義務付けられ、係員が提示を求めた際には、遅滞なく提示する義務を負う。

乗車券は主に鉄道や路線バスなどの陸上公共交通機関で使われる用語で、の場合には乗船券(じょうせんけん)、航空会社の場合には航空券(こうくうけん)という。

なお、JR連絡船切符は「鉄道網と一体の輸送機関」という位置づけから、航路でありながら鉄道の乗車券として扱われ、「乗船券」とは呼ばれない。

旅行会社ではJRの乗車券類(JR券)と航空券以外のものを総称して「船車券」(せんしゃけん)と呼ぶものがあるが、これは旅行会社からの支払額を記入した小切手バウチャー同様の存在でもあり、乗車券類と引き換えないと乗車出来ないケースがある。
乗車券の種類

振替乗車票

乗車券には運送の内容の相違と相互対応して多くの種類がある[2]。なお、乗車券は座乗して運送される権利に関する証券であるが、急行券寝台券座席指定券のように特定の状態で運送される権利に関する証券が特殊料金券(料金券)として別に設けられることも多い[3]
普通乗車券と割引乗車券

普通乗車券(Ordinary ticket)とは、標準的な賃率に基づく運賃により発券された乗車券をいう[4]。なお、Local ticketも普通乗車券と訳されるが意味が異なる[5](後述)。

割引乗車券(Reduced ticket)とは、標準的な賃率よりも幾分割引されて発売される乗車券をいう[4]。割引乗車券は乗客の運賃負担力、公益目的、割引による利用客の勧誘など様々な目的で設けられる[3]定期乗車券(定期券)、回数乗車券(回数券)、団体乗車券などである。
片道乗車券と往復乗車券

目的地までの片道の乗車券を片道乗車券、往券と復券が連続している乗車券を往復乗車券という[6]
乗合乗車券と貸切乗車券

多数の公衆が利用し混合乗車する場合の乗車券を乗合乗車券(普通乗車券)、一室または一車両を貸し切りにする場合の乗車券を貸切乗車券という[6]
普通乗車券と連帯乗車券

普通乗車券(Local ticket)とは、運送が同一の路線のみに限られた乗車券(自線乗車券)をいう[5]

連帯乗車券(Interline ticket)とは、運送が数個の路線(または船舶航路)にまたがる乗車券(通し乗車券)をいう[4]
企画乗車券

企画乗車券

特別企画乗車券 - 青春18きっぷなど

周遊きっぷなど


乗車券の素材
硬券

硬券(こうけん)は硬い厚紙で作られた乗車券のことで、鉄道などの乗車券として古くから用いられた。定義は曖昧だが、柔らかめの硬券を「半硬券」と称することもある。

あらかじめ発駅と着駅とが印刷された券を準備しなければならず、非常に沢山の種類の券を準備する必要があった。硬券を準備するための収納器具を硬券差(硬券ホルダーとも)という。需要がそれほど見込めない駅に対しにはいくつかの着駅を券面に予め印刷しておき、その駅の直下部を切り落として使う準常備式乗車券や、発駅・着駅が未記入の補充型乗車券も見られた。ダッチングマシン

切符に日付を入れる際には、古くからダッチングマシンと呼ばれる機械を用いて日付けを入れていた。しかし現在はメンテナンスに手間がかかることや、コスト削減のため、スタンプを使用している会社も少なくない。

切符は着駅ごとに1枚ずつ順番に番号を割り当て、番号順に発券、残っている券の一番若い番号を調べ、前日の番号と対比することで発券枚数を把握した。

1836年イギリスのニューカッスル・アンド・カーライル鉄道のミルトン駅駅長であったトーマス・エドモンソンが上記の発売方式とともに考案した。当時は合理的な方式であり、1840年代からイギリスを始めヨーロッパに普及していった。

日本において近年では自動券売機や発券端末の台頭により、2019年平成31年)4月で自社製造を終了した北海道旅客鉄道(JR北海道)[7]を最後に、JR各社では定期販売を取りやめており、また、他の事業者でも硬券は廃れる傾向にある。しかしながら現在でも島原鉄道、三岐鉄道、近江鉄道、伊勢鉄道などのように一部の鉄道会社では日常的に使われている[8](発券端末未導入や自動券売機で入場券が購入できないなどの理由による)ほか、通常は硬券を販売していない会社でも記念切符としてセットなどの形で発売されることもある[9]

日本ではサイズは基本的にA型、B型、C型、D型の4種類である。
軟券かつて発売されていた「青春18きっぷ」常備券(赤券)平成22年夏

軟券(なんけん)は薄く軟らかい紙を使用した乗車券のことである。鉄道創始期から乗車券として用いられ、硬券が普及した後は定期券などの着駅で回収しない乗車券や、記入事項の多い乗車券、特殊な取扱いを伴う乗車券など、硬券が不向きな乗車券に用いられたが、こちらもロール紙の普及により数を減らしている。

現在では各種補充券や常備券(予め工場で印刷された乗車券・特急券類のこと[注 1])などで目にすることができる。
ロール紙ロール紙の乗車券

自動券売機では、ロール紙などをセットし、発券する際にプリンターで印字している。紙質は硬券より薄く軟らかいが、軟券よりやや硬い。

自動改札機が導入されている地域(事業者)の場合、多くは裏側に磁気による記録面があり、自動券売機やマルス端末で発券される際に必要な情報が記録されて、自動改札機や自動精算機等で読み取られる。
ICカード詳細は「乗車カード」を参照

磁気カードに代わる新世代のカードとして、1997年にユーバスカードが登場。その後、2001年のSuicaを皮切りに普及しつつある。プラスチック製のカードを改札機のIC端末に接触させることで改札口を通過する。従来の使い捨てカードとは異なり、カード内の残高が不足してきたら運賃を補充することで何度も繰り返し使えることが最大の特徴と言える。その反面、カードに残高が印字されず、駅や専用の端末以外で残高を確認できないと言ったデメリットも抱えている。

また、乗車用のICカードを発行せずとも、おサイフケータイなどのようなスマートフォンや、タッチ決済に対応したクレジットカードなどの媒体を使って乗車が可能となる例もある。
QRコード

自動改札機の読み取り部にQRコードをかざし、コードを改札機に読み取らせることで改札口を通過するもの。コードはロール紙等に印刷されたもののほか、携帯電話/スマートフォン等の画面に表示したものを使用することもある。日本の鉄道類では北九州モノレール沖縄都市モノレール(ゆいレール)などで採用例がある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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