主制御器
[Wikipedia|▼Menu]

主制御器(しゅせいぎょき)は、電車などの主電動機を制御する装置であり、一般に運転台のマスター・コントローラー(主幹制御器)から遠隔操作される。電気機関車では大規模になり複数の装置に分かれることが多く、制御装置などと総称する。一般的に電車では床下に、電気機関車では機械室に設置される。目次

1 概要

2 方式分類

2.1 抵抗制御用

2.1.1 電磁単位スイッチ式

2.1.2 電空単位スイッチ式

2.1.3 電空カム軸接触器式

2.1.4 電空油圧カム軸接触器式

2.1.5 電動カム軸接触器式


2.2 進段方式

2.2.1 手動進段

2.2.2 自動進段

2.2.3 ノッチ戻し制御


2.3 直並列組合せ制御

2.3.1 開放渡り

2.3.2 短絡渡り

2.3.3 橋絡渡り



3 脚注

4 参考文献

5 関連項目

概要 国鉄101系電車のCS12A形電動カム軸式主制御器。動作が見られるよう透明な蓋になっている。大阪交通科学博物館にて。

主制御器とは、主回路(電気車の回路のうち主電動機を駆動する主要な回路)の制御を行なうものとしての名称であり、機器単体としては制御器とも呼ばれる。

かつて、電気車は直接式と呼ばれる制御器を用いていた。これは、モーターの電源となる架線電流そのものを運転台に引き込み、運転士の力でカム軸を操作し、直接、断続や抵抗器の切り替えを行う方式である。しかし、この方式は非動力車からの遠隔制御や、2両以上の総括制御に向いておらず、高圧電流を直接操作する危険があるなど様々な難点があった。

これらを解消するために開発されたのが、間接式の制御器である。これは低電圧の制御電源のみを運転台に引き込んで主制御器を遠隔操作し、そこで主電動機に印加する電圧を制御する方式で、間接制御、複式制御などと呼ばれる[1]。これにより、一つの主幹制御器から複数の車両の主制御器を操作することも可能になる。なお電車用間接制御器の発展史についてはマスター・コントローラー#電車用間接式制御器の発展も参照されたい。

このように主幹制御器の遠隔操作によって、起動、加速、電気ブレーキなどによる減速、進行方向の切り替えなどを行なうのが主制御器の役割である。
方式分類
抵抗制御用

電気車の速度制御#抵抗制御で詳しく述べられているように、抵抗制御では抵抗回路の切り替えを順次行なうことで抵抗値を変化させるが、その切り替えの機構にはいくつかの方式がある。なお単位スイッチについては、単位接触器と呼ぶこともある。
電磁単位スイッチ式

ゼネラル・エレクトリック (GE) 社によって開発抵抗制御において、抵抗を徐々に短絡するなどの操作にあたって、電磁コイルで単位スイッチを動作させる方式。
電空単位スイッチ式

GE社のライバルであったウェスティングハウス・エレクトリック (WH) 社の開発した方式。電磁弁で制御した空気圧で単位スイッチを動作させる方式。
電空カム軸接触器式

電空カム軸式などともいう。カム軸の回転で接触器を動作させるが、そのカムの制御に、電気制御した空気シリンダーを用いる方式。カムで開閉する接触器は単位スイッチほどの遮断容量は普通持たないので、断流器などによる保護を必要とする。かわりに制御段数が増えた場合に、単位接触器を用いる方式よりも小型化できるメリットがある。
電空油圧カム軸接触器式

電空油圧カム軸式ともいう。カム軸を回転させて接触器を動作させる点は電空カム軸接触器式と同様であるが、電気制御された空気シリンダーによる空気圧をアクチュエータで油圧に変換し、油圧駆動によってカム軸を動作させる点が異なる。

同方式を採用する制御装置はGE社によって開発されたPCMコントロールが著名で、日本国内においては東京芝浦製作所(現・東芝)がGEよりライセンスを取得して国産化、名古屋鉄道南海電気鉄道西日本鉄道の各社へ納入した[2]。その他、イングリッシュ・エレクトリック (EE) 社も同方式を採用する制御装置を開発、後に日本国内において東洋電機製造が国産化し、小田急電鉄静岡鉄道の両社にて採用された[2]
電動カム軸接触器式


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:15 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef