中腎傍管(英: paramesonephric ducts)またはミュラー管(英: Mullerian ducts)とは発生途中、両側にできる管で女性の卵管や子宮や膣の上半分のもとになる。尿生殖堤(尿生殖隆起)の側面を走っており、ミュラー丘で終わる。中腎傍管は中胚葉(中間中胚葉)由来である。
発達中腎傍管(青色)は女性では発達し(中図)、男性では退縮する(下図)。
中腎傍管(ミュラー管)は尿生殖堤の上皮の前側面が縦方向に陥入することでできる。頭部方向では管は腹腔にむけて煙突状に開いている。中腎傍管は男女両方の胚に生じるが女性だけが第一次性徴で生殖器として発達する。一方男性では、第一次性徴で中腎管(ウォルフ管)が生殖器として発達する。
女性では、中腎管の前で左右の管が接近しあい癒合してY字状になる。この癒合したところが子宮と膣の一部になり、上部の2叉に分かれたところが卵管となる。一方男性では退縮し、精巣垂などで痕跡的に見られる程度である。 中腎傍管の発達はセルトリ細胞が分泌する抗ミュラー管ホルモン
発達の調節
概要関連疾患成体における器官 ミュラー管の奇形にはさまざまな程度のものが存在するが、奇形に関する合併症では月経モリミナ 中腎傍管はミュラー管とも呼ばれるが、これはドイツの生理学者であったヨハネス・ペーター・ミュラーが1830年に自身の著作である"Bildungsgeschichte der Genitalien"で記述したことによる。
男性精巣のセルトリ細胞が産生するAMHにより中腎傍管の発達が抑制される。ミュラー管遺残症前立腺小室と精巣垂を残して中腎傍管は退縮する
女性AMHがないために子宮などの女性生殖器が発達する子宮無形成や異常な子宮(重複子宮や双角子宮・単角子宮など)中腎傍管は卵管と子宮と上半分の膣になる
ミュラー管の奇形
名前の由来
画像
性分化が確立する前の左中腎の拡大図
ヒトの8周半の胚の横断面
参考文献
T.W.sadler, Langman's Medical Embryology 11e ISBN 978-0-7817-9069-7
関連項目
性別
前立腺小室
性分化
中腎管(ウォルフ管)
外性器
陰核
陰裂
陰核亀頭
陰核包皮
陰核小帯
外陰部
処女膜
陰唇
大陰唇
小陰唇
膣口
スキーン腺(分泌: スキーン腺液)
バルトリン腺(分泌: バルトリン腺液)
会陰
内性器
陰核脚
陰核海綿体
膣(分泌: 膣分泌液)
膣円蓋
Gスポット
尿道
子宮頸部(分泌: 子宮頚管粘液)
子宮
子宮内膜
輸卵管
卵管膨大部
卵管漏斗
卵巣
中腎傍管(ミュラー管)
男性器