中等教育
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この項目では、教育段階について説明しています。日本の中高一貫教育を行う6年制の学校については「中等教育学校」をご覧ください。

中等教育(ちゅうとうきょういく、: secondary education)とは、学校教育を、主に人の発達段階(年齢)に応じて分類し、「初等教育」「中等教育」、「高等教育」(第3期の教育)の3段階に分ける考え方をした場合の、第2段階に当たる教育のことである[1]。別の表現をすれば、「初等教育」と「高等教育」の間に位置する教育と言える。これは、現代日本における中学校高等学校の合わせて6年間の教育に該当するが、国によって、また時代によって、この教育のあり方は同じではないため、この項目で詳しく比較する。
概要

国際連合教育科学文化機関 (UNESCO) が策定する国際標準教育分類 (ISCED) は、前期中等教育(ぜんきちゅうとうきょういく、lower secondary education)を「レベル2」、後期中等教育(こうきちゅうとうきょういくupper secondary education)を「レベル3」として分類している[1]。つまり、ISCEDの表の「level 2」および「level 3」が中等教育に当たる。

レベル2 : 基礎教育ステージを修了するための教育であり、たいていは客観的パターン志向となる。初等教育(ISCED レベル1)の学習結果を基に構築され、それは生涯にわたっての学習・人間開発の基礎となることを目的とする。

レベル3 : 15-16歳もしくは中等教育を修了した者を対象とする、より専門的な教育であり、第3期の教育の準備や、雇用に関連するスキル、もしくはその両方に関連する。

3A:大学(レベル5A)への進学準備課程

3B:職業志向教育(レベル5B)への進学準備課程

3C:就職準備、またはレベル4への進学準備

国際標準教育分類の記事も確認のこと。

1989年児童の権利に関する条約では、全ての児童に対して中等教育が提供され 利用可能な状態でなければならない、と定められている。つまり本当は、全ての国家は全ての子供に対して(親の経済状態がどのようなものであるかにかかわらず)中等教育を提供し、利用可能な状態にしておく義務がある。

ほとんど全ての国が、全ての国民に中等教育は提供しようとしている。

フランスドイツイギリスなどでは、実際、(初等教育はもちろん)中等教育も無償で提供されている。さらに、フランスでは国立大学の授業料も完全無償である。
日本

日本では6-3-3制を採用しており(「-3-3」の部分が中等教育に当たる)、中等教育を前期中等教育と後期中等教育に分け、それぞれ前期は中学校、後期は高等学校で行われている。国会や議員の研究会などで中等教育の無償化が検討されているが、未だ中等教育の無償化は行われていない。→#日本
歴史

ヨーロッパ中世では、中等教育はカトリック教会の各教会組織によって提供され、たとえば貴族の子供や、聖職者になろうとしている子供などが中等教育を受けた。宗教改革後、コメニウスジョン・ロックなどが中等教育の改良を行った。
世界各国での中等教育
アメリカ合衆国詳細は「アメリカ合衆国の中等教育」を参照
イギリス詳細は「イギリスの教育」を参照

イギリスでも公立の中等教育(パブリックスクール)は無償で提供されている。

イングランドは、前期中等教育(キーステージ4,、16歳修了)までが義務教育で、卒業時の試験に「GCSE」が課される。

後期中等教育は、シックスフォーム・カレッジや継続教育カレッジがあり、前者は大学進学資格であるAレベルを、後者は全国職業資格 (NVQ) の取得などを目指す。

パブリックスクールは、前期・後期を一貫して教育する中等教育学校である。
イタリア詳細は「イタリアの教育」を参照

イタリアの中等教育は以下の2段階に分かれ、どちらも義務教育である。

前期中等教育 - Scuola secondaria di primio grado。11 - 13歳の3年課程

後期中等教育 - Scuola secondaria di secondo grado。14 - 19歳の5年課程

オランダオランダの教育制度。研究系と職業系でキャリアが分かれる詳細は「オランダの教育」を参照

オランダの中等教育は12歳から開始され、以下3つの進路に分かれる。18歳に達するかディプロマを取得した時点で義務教育は終了となる。

職業的中等教育 (VMBO) -

高等一般教育 (HAVO) - 高等職業教育機関 (HBO) への進学準備

大学準備中等教育 (VWO) - 研究大学 (WO) への進学準備

スペイン詳細は「スペインの教育」を参照

スペインの中等教育は前期中等教育までが義務教育である[2]

前期義務中等教育 - 2年間

一般後期中等教育 - General upper secondary education、2年間

台湾詳細は「台湾の教育」を参照

台湾の中等教育は前期と後期に分かれ、前期までは義務教育である。

前期中等教育 - 国民中学。12 - 14歳の3年間。

後期中等教育 - 高級中学高級職業学校、五年制専科学校など

中華人民共和国詳細は「中華人民共和国の教育」を参照

中華人民共和国の中等教育は前期と後期に区分され、前者は義務教育である

前期中等教育の中学校は、基本的には3年制であるが、農村部では4年制も少なくない。

後期中等教育では、普通教育を行う学校と職業教育を行う学校に分かれる。

普通教育は、高級中学(3年制・日本の普通科高等学校に当たる)で行われる。

職業教育は、中等専門学校(4~5年制・日本の高等専門学校に当たる)、技術労働者学校(3年制・技工学校・日本の工業高等学校に当たる)、職業中学(2~3年制・日本の実業高等学校や専門高等学校に当たる)等で行われる。


デンマーク詳細は「デンマークの教育」を参照

デンマークの中等教育は前期K7 - 10までが義務教育である[3]

前期中等教育 - Grundskole (K7 - 10)

後期中等教育 - 高等教育準備課程と職業教育に分かれる。

ドイツ詳細は「ドイツの教育」を参照

ドイツの中等教育は無償で提供されている。

ドイツの中等教育は初等教育終了後の10歳から開始され、以下から進路を選択する。

ギムナジウム - 高等教育への進学準備課程

基幹学校 - 職業学校への進学準備課程

実科学校 - 就業準備課程

義務教育は15 - 16歳で終了するが、就職を選択した者は、18歳に至るまで就業と職業学校へパートタイムの通学を両立する義務を負う、デュアルシステムがある。
日本

日本の中等教育は、基本的には、前期中等教育(中学校におけるもの)と、後期中等教育(高等学校におけるもの)に分けられている。2007年以降、学校教育法では、中等教育学校で「義務教育として行われる普通教育」(このうち基礎的なものを除く)並びに「高度な普通教育」及び「専門教育」を提供することになっており[注 1]、中学校で「義務教育として行われる普通教育」(このうち基礎的なものを除く)が、高等学校で「高度な普通教育」と「専門教育」がそれぞれ提供される、ということになっている。[注 2][注 3]

学制改革後の日本では、ほぼ全ての成人は中等教育を修了している[4]
前期中等教育を行う学校


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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