中期国債
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第二次世界大戦中に発行された日本の戦時国債(戦争国債)。戦後のインフレによりほぼ無価値となった。

日本国債(にほんこくさい、: Japanese Government Bond, JGB)は、日本国政府が発行する公債であり、「国債ニ関スル法律」(明治39年法律第34号)に基づいて起債される。法令上は単に「国債」であり、英名「Japanese Government Bond」(JGB)も用いられる。日本国の運営に必要な資金を集めるために発行される。

国債とは、日本国政府の金銭債務を意味するが、これに対応する権利を標章する証書(国債証券)を意味する場合もある[注釈 1]。後者は、「国庫債券」とも称されるが、この「国庫債券」という語句は、特定の種類の国債証券の「名称」(例:「利付国庫債券(五年)」)[注釈 2]として用いられることが多い[1]

国債の各銘柄の金利は、1998年までは東京証券取引所の統計値から算出されていたが、2010年以降は日本証券業協会が公表する統計値から算出されている[2]

量的金融緩和政策は2013年初頭に株価の高騰を招き、10年フォワード金利(英:10-years forward)は少々上昇したが、日本国債への影響は限定的だった。[3]異次元緩和後は約70%の日本国債は日本銀行によって保有され、残りは日本の銀行と信託金(英:trust fund)が主な保有者である。その結果、日本国債は他国の債券市場から独立した動きをするようになる、一例として信用格付けの変化に対する感受性が他国のそれと違うことである[4]。日本国債をショートすることは上記のファンダメンタルに反するが価格の下方抵抗性(英: price resilience)により「未亡人造りの取引(英:widowmaker trade)」としてバイサイドに知られるようになった[3]

税収の半分以上は債券利子に費やされていたが、2011年の福島第一原子力発電所事故による輸入エネルギーの費用の増加は、日本の経常収支を赤字に導き、政府に外国資金に頼ることを強いるのではないかという不安を与えた[5]
種類

日本の国債には多くの種類がある。それらは発行の目的や償還期間の長短などにより分類される。国債の額面は、15年変動利付国債とインフレ連動債が10万円、個人向け国債が1万円、そのほかは5万円である。物価連動国債と国庫短期証券(短期国債)は法人のみ購入が可能で、個人向け国債は個人のみ購入が可能である。

2003年1月27日以降に発行された物価連動・個人向けを除く固定利付国債は、元本部分と利札部分を分離して別々に流通させることができるようになった(ストリップス債)。これらの分離された元本部分、利札部分はそれぞれ割引債であり、分離元本振替国債、分離利息振替国債と呼ばれる。名前に「振替」の文字が入っているのは、これらの分離国債が振替決済制度によってのみ流通することができるからである。従って個人は購入できない。
利払いや償還額による分類

固定利付債

半年ごとに一定の利子が支払われ、償還時に額面金額が支払われる。


変動利付債

半年ごとに支払われる利子の額が市場金利によって毎回見直される。償還時に額面金額が支払われる。


インフレ連動債

金利は固定であるが、元本と利息が全国消費者物価指数に連動して増減する。


割引債

途中での利払いはないが、額面を下回る額で発行され、償還時に額面金額が支払われる。かつては3年や5年のものが発行されたことがあるが、2002年11月以降は短期のものしか発行されていない。

第二次世界大戦中に発行された日本の戦時国債(戦争国債)
目的による分類

普通国債

建設国債(4条国債) 道路、住宅、港湾等の社会資本の建設のため、財政法第4条に基づき発行される。

赤字国債(特例国債) 歳入の不足を補うために、1年限りの特例公債法を制定して発行される国債である。


交付国債

財政投融資特別会計国債(財投債)

借換国債(特別会計に関する法律第46条及び第47条)

個人向け国債 10年変動金利のもの(2003年3月 - )、5年固定金利のもの(2006年1月 - )と3年固定金利のもの(2010年6月 - )がある。いずれも、中途解約の際の買い取り額保証を定めているのが特色である。一定期間売却できない代わりに、その期間を過ぎれば国が額面で買い取る条件がついている[6]。なお、2011年12月以降に募集するものについては東北地方太平洋沖地震東日本大震災)の復興財源として活用するために、名称を「個人向け復興国債」としている[7]

償還期間による分類

超長期国債

15年(変動利付国債)・20年(利付債)・30年(利付債)・40年(利付債)


長期国債

10年(利付債)・10年(個人向け国債)・10年(物価連動国債)


中期国債

2年(利付債)・3年(利付債)・3年(割引債)・4年(利付債)・5年(利付債)・5年(割引債)・5年(個人向け国債)・6年(利付債)

4年債は2001年2月以降、6年債は2001年3月以降は5年利付債に統合されたため発行を停止した。割引債は、3年債は2002年11月に、5年債については2000年9月をもって発行を打ち切っている。



国庫短期証券(短期国債)

2か月程度(割引債)・3か月(割引債)・6か月(割引債)・1年(割引債)


発行方式による分類

有価証券が発行されるもの(国債証券)と発行されないもの(登録国債及び振替国債)がある。振替国債については、日本銀行が振替機関である。
取引方法

日本国債利回り日本国債利回り
日本10年国債0.66%
[8]
日本10年国債
物価連動国債-0.708%[9]
2023年11月末現在。円建て。

個人向け国債は日本国内の金融機関などで購入できる。購入日から一年たてば償還日前でも解約が可能であるが、他の人に転売することは出来ない(市場が無い)。通常の利付国債は新規の場合は財務省への入札で購入する(通常は「プライマリーディーラー」と呼ばれる金融機関などを経由して入札)。また、取引市場がありすでに市中に出回っている国債を買う事も出来る。財務省は償還日にならないと返金はしないが、償還日前に市場の希望する誰か(投資家や金融機関など)に売却することも出来る。金融機関では個人向け国債と通常の利付国債は取り扱いが無い場合や、片方しか取り扱いがない場合もある。

個人向け国債 - 個人のみ取引可能。以下の3種類ある。最低金利保証がある代わりに、金利が若干悪くなっている。[10]

固定金利型3年満期

固定金利型5年満期

変動金利型10年満期


通常の利付国債 - 個人・法人問わず取引可能

通常の10年国債と物価連動10年国債の利回りの差が10年間の予想インフレ率である[11]。物価連動国債の利回りが0%以下の場合は、インフレを加味すると、株式とは異なり資産を増やすような金融商品ではないことを意味している。

日本銀行のマイナス金利政策により、日本国債の利回りがマイナス金利となっていることが多々あるが[8]、マイナス金利であるということは元本割れするということを意味している。決済用預金は利回り0%だが、国が全額保護するため[12]、マイナス金利の国債よりも得である。

現在は、国債の株式等振替制度により、紙での受け渡しはされなくなっている。
国債保護預かり口座

個人向けには、証券を販売金融機関に保護預かりする制度があり、銀行・協同組織系金融機関・ゆうちょ銀行の場合、総合口座に「国債(公債)保護預かり口座」をセット(担保に組み込む)すると、総合口座普通預金の残高が不足した場合に、国債預かり残高の一定額(ゆうちょ銀行の場合は額面の80%まで)を限度に、「総合口座担保定期預貯金」と同様に、自動融資(口座貸越)・担保自動貸付けが受けられる場合がある。ただし、足利銀行など、取扱いを取りやめた、または取り扱わない金融機関もある。ゆうちょ銀行(旧郵便貯金)の場合は、「国債保護預かり口座帳」で直接貸付を受けることも可能である。

ゆうちょ銀行は保護預かり口座に旧郵便貯金のように通帳状にした「国債保護預かり口座帳」を発行しているが、それ以外の金融機関ではそのようなものは発行せずに利払日や手続きごとに取引内容を報告書形式で郵送する方法が主流となっている。(ゆうちょ銀行・郵便局でも都度報告書は発送している。)

一部の銀行・証券会社は「国債保護預かり口座管理料」の名目で保管料を徴収する。また、ゆうちょ銀行では国債購入と同時に口座を開設した場合は無料だが、そうでない場合は213円の口座開設手数料が必要である[13]
関連する金融商品

東京証券取引所には下記 上場投資信託 (ETF)が上場している[14]


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