中山 市朗(なかやま いちろう、1959年 - )は、兵庫県朝来市竹田出身の日本の小説家、放送作家、怪異蒐集家、オカルト研究家。映像作家や小説家などを育成する私塾「中山市朗作劇塾」の塾頭。
経歴
1982年、大阪芸術大学映像計画学科卒業。当初は映画監督に憧れ、和泉聖治監督の『魔女卵』などの助監督を務める。1984年、黒澤明監督の日仏合作『乱』の制作が本格的に動き出したと同時に、その現場の様子をメイキング映像として記録し、かつビデオソフトとして販売することを目的とした企画をヘラルド・エース、黒澤プロダクションに売り込み、黒澤組に初のビデオ班を設けさせ、自ら演出として現場に入った。これは日本映画初の本格的なメイキング制作のプロジェクトであった。ヘラルドポニー『メイキング・オブ・乱』、公開日に放送されたフジテレビ『男たちの乱、女たちの乱』に使われた映像は、このとき記録された膨大な映像の一部である。
1990年、木原浩勝との共著で、『新・耳・袋?あなたの隣の怖い話』(扶桑社)を出版し、作家デビュー。この頃から放送作家として『爆笑BOOING』『恐怖の百物語』『百綺夜想』(いずれも関西テレビ)や『歴史バラエティ』(NHK)などを手掛ける。1998年、『新・耳・袋』が『新耳袋・現代百物語』としてメディアファクトリーより復刊。これを第一夜とし、二夜以後は書き下ろしとなり、2005年まで全十夜のシリーズとして刊行される。『新耳袋』は現代の怪異談を百物語形式で収録され、その後の実話系怪談の草分け的存在となり、江戸時代の百物語を現代に蘇らせ、Jホラーブームの原点ともなった。また、本シリーズはTBSよりドラマ化、映画化がなされ、キングレコードから『怪談新耳袋』として、DVDが発売されている。
1999年、小説家の京極夏彦、文芸評論家の東雅夫、そして木原、中山により怪談文化復興を旗印に『怪談之怪』を結成。ゲストを招いての座談会、怪談会、投稿怪談の添削などの活動が『ダ・ヴィンチ』誌上で掲載された。2007年、長編実話系怪談『怪異実聞録・なまなりさん』(メディアファクトリー)を出版。『新耳袋』では封印していた呪い祟りがテーマの実録ものであった。怪談とは語りが本来の形、であるという思いから、ライブや動画配信などを積極的にこなしている。その語りを元にした『怪談狩り 市朗百物語』(KADOKAWA/メディアファクトリー)も2014年に出版された。
2016年7月30日より9月11日の間、大阪道頓堀の目抜き通り、中座食いだおれビルの地下にお化け屋敷「中山市朗監督・人形塚の家」を開催。同時に、お化け屋敷内に十畳間を作り、36夜連続怪談会「怪談の魔」を自らのホストで公演。作家の牧野修、田辺青蛙、竹内義和、西浦和也、評論家の唐沢俊一、怪談家のありがとうぁみ、芸人のガリガリガリクソン、松原タニシ、映画監督の大木ミノルなどのべ31人のゲストを招致し、のべ約70時間に及ぶ怪談会を行った。
オカルト研究家でもあり、『京都魔界巡礼団』(CS京都+KTV)などの演出、構成、ナビゲーターを担当。京都三大奇祭のひとつ『牛祭り
木原浩勝と共著
『新・耳・袋?あなたの隣の怖い話』1990年 扶桑社
現代百物語『新耳袋』第一夜 1998年 メディアファクトリー文庫版『新耳袋』第一夜 現代百物語 2002年 角川文庫
現代百物語『新耳袋』第二夜 1998年 メディアファクトリー文庫版『新耳袋』第二夜 現代百物語 2003年 角川文庫
現代百物語『新耳袋』第三夜 1998年 メディアファクトリー文庫版『新耳袋』第三夜 現代百物語 2003年 角川文庫
現代百物語『新耳袋』第四夜 1999年 メディアファクトリー文庫版『新耳袋』第四夜 現代百物語 2003年 角川文庫
現代百物語『新耳袋』第五夜 1999年 メディアファクトリー文庫版『新耳袋』第五夜 現代百物語 2004年 角川文庫
現代百物語『新耳袋』第六夜 2000年 メディアファクトリー文庫版『新耳袋』第六夜 現代百物語 2004年 角川文庫
現代百物語『新耳袋』第七夜 2001年 メディアファクトリー文庫版『新耳袋』第七夜 現代百物語 2005年 角川文庫
現代百物語『新耳袋』第八夜 2002年 メディアファクトリー文庫版『新耳袋』第八夜 現代百物語 2005年 角川文庫
現代百物語『新耳袋』第九夜 2003年 メディアファクトリー文庫版『新耳袋』第九夜 現代百物語 2006年 角川文庫
現代百物語『新耳袋』第十夜 2004年 メディアファクトリー文庫版『新耳袋』第十夜 現代百物語 2006年 角川文庫
『怖い日曜日』 1999年 メディアファクトリー
『怖い日曜日・赤い使者編』 2000年 メディアファクトリー
『捜聖記』 2001年 角川書店
共著