この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
中型自動車の例(UD・コンドル)
中型自動車(ちゅうがたじどうしゃ)とは、日本の道路交通法令における自動車の区分のひとつである。大型自動車に該当しない自動車のうち、車両総重量7,500 kg以上11,000 kg未満、最大積載量4,500 kg以上6,500 kg未満または乗車定員11人以上29人以下であるもの[注 1]を指す[1]。
中型自動車免許は、2007年(平成19年)施行の改正道路交通法で新設された運転免許区分である。同年改正法により、中型自動車を公道で運転する場合には、中型自動車免許、中型自動車第二種免許、もしくは大型自動車免許、大型自動車第二種免許(以下それぞれ「大型免許」「大型第二種免許」と略記)の運転免許証が必要となる。 道路交通法が制定されたのは、1960年(昭和35年)である。以後、道路事情の整備、車両性能(車台強度、エンジン出力、制動力)、タイヤ性能の向上で、貨物自動車は時代が下るほど法規の枠内で大型化していった。車両総重量11トン以上の大型自動車が貨物自動車の主流となり、また普通自動車免許で運転できるトラックの車両寸法には独自の規定がないため、全長が大型自動車(全長12m×全幅2.5m×全高3.8m以内)と同じ「超々ロング車」も現れた。そのため運転者の技量が実情に追いつかず、普通自動車区分のトラックによる事故が増え始めた。 交通死亡事故において、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}貨物自動車の運転手が第一当事者[注 2]となっており[要説明]、普通自動車免許・大型自動車免許ともに許可されている上限の車両での事故率が高く、また他の種類の自動車と比べて死亡事故が減っていない。車両総重量別では、車両総重量5トンから8トンという普通免許の上限、および車両総重量11トン以上という大型免許の中でも大型の部類が高い事故率で、この9割以上が貨物自動車だった。 また、日本以外では普通免許で運転できる車両の大きさの上限は、総重量3 - 5トン程度である国家が多く、総重量8トンまで運転できる日本の旧普通免許の上限は、世界的にも突出して大きかったため、世界的な免許区分の趨勢との乖離も問題視されていた。そのため、貨物自動車の大型化に対応し、運転手のスキル不足、知識不足による貨物自動車の事故を抑制し、また世界的な免許区分の趨勢との差違を縮小するために、免許制度を改正し、実情に対応する車両区分を設けることが検討された[2]。 21世紀に入り、道路交通法(及び下位命令)の一部が改定され、2004年(平成16年)6月9日の公布、2006年(平成18年)11月7日の閣議決定を経て、2007年(平成19年)6月2日より改正道路交通法(及び下位命令)で規定される新しい免許区分が施行され、これにより中型自動車免許が新設された。 以下、中型自動車区分を新設した2007年施行の改正道路交通法を、単に2007年法改正または2007年改正法、と記す。 2007年法改正以前の「普通自動車」としていた者の運転免許証は、道交法改正で中型自動車の8トン限定免許(免許証の条件欄に「中型車は中型車 (8 t) に限る」と表記される)となった。なおこれらの「8トン」は最大積載量にかかわらず車両総重量を指す。「日本の運転免許#中型自動車」も参照 具体例としては、一般的な4トン(積)トラックおよび6トン(積)トラック、マイクロバスが該当する。ただし、これらの車両であっても特殊な車体架装などをしている場合などで、中型自動車の定義から外れ大型自動車となる場合もあるため、自動車検査証(車検証)の確認が必要である。 日本における法令上の自動車の区分で、大型自動車と準中型自動車の中間に位置づけられる。道路交通法と同法に基づく命令で規定されている。 2007年(平成19年)法改正前までは、普通自動車の要件は、車両総重量8トン未満、最大積載量5トン未満、かつ乗車定員10人以下であり、いずれか一つ超過すると大型自動車扱いとなった[注 1]。 2007年(平成19年)法改正後から2017年(平成29年)改正前までの期間、中型自動車は、車両総重量が5トン以上11トン未満、最大積載量は3トン以上6.5トン未満、乗車定員は、改正前大型車のうちマイクロバスの定員範囲に当たる11人以上29人以下、の範囲となった[注 3]。 さらに、2017年(平成29年)施行の改正道路交通法により準中型自動車区分が新設され、これに伴い中型自動車は、車両総重量が7.5トン以上11トン未満、最大積載量は4.5トン以上6.5トン未満、乗車定員は変わらず11人以上29人以下、の範囲に変更となった[注 3]。 以下、準中型自動車区分を新設した2017年(平成29年)施行の改正道路交通法を、単に2017年法改正または2017年改正法、と記す。 普通・準中型・中型・大型の各自動車は、車両寸法には制約がない。2017年法改正後の(新)普通免許では最大積載量2トン未満、車両総重量3.5トン未満となる。最大積載量が2トンのトラックでも、ほとんど全ての車種で車両総重量は4トンを超えるため、一般的な1.5トン - 2トン積みトラックは(新)普通免許では運転できなくなった[3]。 なお、2007年法改正以降、2017年法改正前までに普通免許を受けている者は、2017年法改正後は「5トン限定準中型免許」扱いとなり、運転免許証には「準中型で運転できる準中型車は準中型車 (5t) に限る」[注 4]と免許の条件等が表記される。よって法改正により運転できる車両に変化はない。 また、2007年法改正以前に普通免許を受けている者は、「8トン限定中型免許」扱いとなり[注 5]、免許証には「中型車は中型車 (8t) に限る」[注 6]と免許の条件等表記される。そのため、2007年法改正、2017年法改正のいずれによっても運転できる車両に変化はない。 以上のように免許条件と車種が多岐に渡るため、交付されている免許の種類(限定含む)と、運転する自動車の自動車検査証の記載とを照らし合わせて、運転が可能かどうかを事前に十分に確認する必要がある。運転免許の範囲を超える車両を運転した場合、無免許運転(罪)により刑事罰に処されるとともに、即時免許取消(19点)となる(従来の制度における「普通自動車」運転免許しかないのに、大型車や大型特殊車を運転したのと同じ罪になる[注 7])。 「5トン限定準中型免許」、「8トン限定中型免許」とも、各限定条件付きの各免許扱いとなる。そのため、限定のない準中型免許、中型免許を取得しようとする場合には新規取得ではなく、運転免許試験場の限定解除審査、または指定自動車教習所で「審査科教習」の講習を受けることになる。
新区分制定の背景
中型自動車の特徴
車種と改正の経緯
注意点
特定中型自動車特定中型自動車の一例(車種 : 日野レンジャー)5.5 t積みの教習車
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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