中国語における外国固有名詞の表記
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中国語における外国固有名詞の表記(ちゅうごくごにおけるがいこくこゆうめいしのひょうき)では中国語外国地名人名企業などの固有名詞を表記する方法について述べる。またこれと関連して漢字文化圏の言語間での固有名詞表記にも言及する。

なお本項目では表示の技術的な理由から簡体字繁体字は用いず、日本語新字体を優先的に用いて説明する。
音訳

日本語の場合は外国固有名詞の表記は原則としてカタカナによる音訳であるが、中国語では漢字による音訳つまり表音表記が原則である。「?威」(ノルウェー)、「蘇格蘭」(スコットランド)、「斯大林」、「史達林」(スターリン)など。これらの文字はその場その場で適当に表記するのではなく、用いる漢字がほぼ決まっている。中華人民共和国大陸地域においては、人名など、新語の場合、新華社通信の表記に従う例が多い。「麦当労」(マクドナルド)、「肯コ基」(KFC)、「可口可楽」(コカ・コーラ)などの商標は、各企業が字義の好ましいものや商品イメージに近い漢字を定めて使用することが多い。

「美国」(アメリカ合衆国)、「法国」(フランス)、「徳国」(ドイツ)のように音訳の短縮形を用いることがある。「美国」は「美利堅」、「法国」は「法蘭西」、「徳国」は「徳意志」の最初の字を取ったものである。同じことは日本語でも行われるが、表記文字が異なるので注意が必要である。日本ではそれぞれ米国(亜米利加)、仏国(仏蘭西)、独国(独逸)となり、中国語と異なるものが多いが、これらは、かつて中国で使用されていた形が現在の中国語での形に変えられて使用されなくなり、日本語に残存したものが多い。

また、アルファベットで表記される外国人の人名は、そのまま漢字に置き換えるのは難しい事もある。このため、愛称が使われることも多い。スポーツ選手の場合、どんな愛称をつけられるかが、人気を計る指標となる[1]
意訳

日本語には表音文字仮名があるため、外国固有名詞を意訳することはあまり多くないが(後述の「真珠湾」のほか、「金門橋」、「象牙海岸」など少数例のみ)、表音表記が面倒な中国語では、意訳をする例が意外に多い。たとえばドイツフォルクスワーゲン社は「大衆汽車公司」、米国のゼネラルモーターズ社は「通用汽車公司」と訳される。なお、日本語ではパールハーバーを「真珠湾」と意訳するが、中国語では「珍珠港」と意訳する。ただし真珠については日中間での用字の違いにすぎない。
併用

少数ながら音訳と意訳の併用による表記も存在する。「新西蘭」(ニュージーランド)の「新」は意訳、「西蘭」は音訳である(ただし、台湾では音訳の「紐西蘭」が使われている)。また、作家パール・バックは中国では「賽珍珠」として知られるが、これは本人が中国でそう名乗っていたもので、「珍珠」は「パール」の意訳であり、「賽」はパール・バックの旧姓であった(のちにミドル・ネームに使用)「サイデンストリッカー」を略して漢字表記したものである。米国のコーヒーチェーンのスターバックスは「星巴克」となる。
中国語独自の表記

さらに歴史的事情で外国固有名詞の音訳でも意訳でもなく、全く独自の中国語表記がなされることも多い。サンフランシスコは「旧金山」でホノルルは「檀香山」であるし、インドネシアスラバヤは「泗水」、パレンバンは「巨港」となる。これらはいずれも現地華僑の命名が中国本土でも通用するようになったものである。ウラジオストクが「海参?」と表記されることもあるが、これはウラジオストクがかつて中国領だった頃にそう呼ばれていた名残りである。

外国企業名が中国で意訳される例は上に示したが、意訳ではなく全く別の中国語が用いられることもある。シティバンクは「花旗銀行」、香港上海銀行は「匯豊銀行」である。これはこれらの銀行が中国で営業する際に、中国人に親しみやすい名称にしたものである。

欧米の人名は、中国語表記されるときは音訳が基本だが、中国学の研究者などは中国風の名前を持つことが多い。例えば、マテオ・リッチは「利瑪竇」であり、ジョゼフ・ニーダムは「李約瑟」である。
原語

学術用語や漢字の定まっていない人名など、漢字で表記しづらい場合、ローマ字キリル文字など、原語のまま、またはローマ字に転写した表記で、中国語の文章に取り入れる場合もある。

また、台湾ではひらがなの名など、漢字表記の難しい日本語の固有名詞では、日本語のかなが用いられる場合がある。多くの場合漢字やローマ字で発音の補足が付くが、アニメ漫画などから日本文化に触れた若い世代、もしくは日本統治時代に教育を受けた世代をターゲットにした文章の場合、それらによる補足がないこともある。台湾や中国では、日本的なイメージを借用するために製品名やキャッチコピーにひらがなの「」を付けることが流行している。また、台湾サブカルチャーでは、日本では一般にカタカナで使われるショタを、語源に遡って正太と記載している例も見られる。

中国では、新聞出版総局が「出版物における文字使用の規範化」に関する通達を2010年11月に発布している。これは「英語の短縮表記や英単語、中国語でも外国語でもない造語を出版物に使用してはならない」と規定され、多くの国民に知られている単語以外は、中国語に置き換えた単語を使うように通達している。「WTO」や「GDP」なども規制の対象となると指摘されている。違反した出版社は処罰の対象となる[2][3]
中国語使用地域による表記の違い

中国と台湾では、表記にそれぞれ簡体字繁体字を使うという字体上の違いだけでなく、使用する漢字の違いも見られる。例えば、国名のイタリアは、中国では「意大利」、台湾では「義大利」が正式な表記である。香港マカオシンガポールでは、中国と台湾の両方の影響を受けて、両方が使われている。
漢字文化圏内相互の固有名詞表記

漢字文化圏内の固有名詞(地名や人名など)に関して漢字で表記された場合は、読む側の国・地域の読み方に沿って呼称されるのが原則である。しかし近代以降では朝鮮半島韓国北朝鮮)、ベトナムにおける漢字の頽廃が進行してしまったため、この原則は大きく崩れている。
中国語側からの呼称

日韓間ではそれぞれの固有名詞を漢字表記するか、表音表記するかがしばしば問題となるが、中国語の場合は漢字以外の文字がないため、漢字文化圏(日本、韓国、北朝鮮、ベトナム)の固有名詞は漢字が判明する限り、漢字でそのまま表記される。東京はそのまま「東京」と表記し、中国音でトンチン(ピン音:D?ngj?ng)と発音する。「名古屋」はミンクーウー( ピン音:Mingg?w?)、「金大中」はチン ターチョン(ピン音:J?n Dazh?ng)と読む。


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