中国山地
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中国山地
氷ノ山
所在地兵庫県鳥取県島根県岡山県広島県山口県
位置.mw-parser-output .locmap .od{position:absolute}.mw-parser-output .locmap .id{position:absolute;line-height:0}.mw-parser-output .locmap .l0{font-size:0;position:absolute}.mw-parser-output .locmap .pv{line-height:110%;position:absolute;text-align:center}.mw-parser-output .locmap .pl{line-height:110%;position:absolute;top:-0.75em;text-align:right}.mw-parser-output .locmap .pr{line-height:110%;position:absolute;top:-0.75em;text-align:left}.mw-parser-output .locmap .pv>div{display:inline;padding:1px}.mw-parser-output .locmap .pl>div{display:inline;padding:1px;float:right}.mw-parser-output .locmap .pr>div{display:inline;padding:1px;float:left}.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯35度21分14秒 東経134度30分49秒 / 北緯35.35389度 東経134.51361度 / 35.35389; 134.51361座標: 北緯35度21分14秒 東経134度30分49秒 / 北緯35.35389度 東経134.51361度 / 35.35389; 134.51361
最高峰氷ノ山(1510 m
延長約500 km
プロジェクト 山
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中国山地(ちゅうごくさんち)は、本州の西端部に当たる、中国地方の脊梁を為す山地である。なお、中国地方最高峰の大山や、その外輪山の蒜山、および三瓶山は、中国山地より北に外れて出来た独立峰の火山であり、これらは他の中国山地の山々とは生成過程が大きく異なる山だが、国土地理院では中国山地中部と分類している[1]

山々は東西に長く連なっており、東はおよそ市川円山川(いずれも兵庫県)付近から、西は響灘海岸(山口県西岸)までの約500 kmに及ぶ。氷ノ山(標高1510 m)を除くと、高い山でも標高約1300 mから1000 m程度に過ぎず、その他は、おおむね標高約500 mから200 m程度の比較的低い山で構成されている。なお、山地の中に存在する平地部は、津山盆地三次盆地など狭い範囲に限られている。このような低い山地でありながらも、中国山地を境に気候が変わり、山地の北側は日本海側気候に分類されるのに対し、南側は瀬戸内海式気候に分類される。

地質は全般的に風化し易い花崗岩が多く、侵食を受けて小起伏の多い準平原地形を呈している。このような地質であるために、土砂崩れで大きな被害が起きたケースも出た。例えば、2010年に庄原市で発生した集中豪雨の影響で起きた土砂災害などである。

中国山脈と呼ぶ事例も見られるが[2]、地質学的な山脈の定義には当てはまらない。
地勢

おおむね鳥取・岡山県境および島根・広島県境に沿って、中国山地の脊梁部が並んでいる。脊梁部を境として、北を山陰地方、南を山陽地方と区分する。脊梁部に高い山が集中しており、主要な山としては、扇ノ山 (1310 m)、氷ノ山 (1510 m)、那岐山 (1240 m)、道後山 (1268 m)、比婆山 (1264 m)、大佐山 (1069 m)、恐羅漢山 (1346 m)、安蔵寺山 (1263 m)、冠山 (1339 m)、寂地山 (1337 m)、青野山 (907 m) などが挙げられる。

脊梁部の北側は、冬季の降雪が多い日本海岸気候である。中国山地は季節風の影響を受ける地域であり、冬季は日本海を越えて来る季節風が、日本海で湿気を帯びて、中国山地に衝突して強制的に上昇気流が発生して、降雪する事が大きな要因である。これに対して、脊梁部南側は、年間通して温暖で、降水の少ない瀬戸内海式気候である。これは、瀬戸内海側は中国山地と四国山地などに挟まれた場所である事が大きな要因である。

脊梁部を挟んで南北に標高400 m前後の高原地形が広がっている。特に島根県西部の石見高原と、岡山県から広島県東部に至る吉備高原が、その代表である。この高原地帯は、大小河川による侵食が進行中の状態にあり、V字谷などが目立ち、平地部に乏しい。顕著な平地部は、津山盆地三次盆地程度であり、それ以外は微少な盆地が見られるに過ぎない。

中国山地に発する最大の河川は江の川で、脊梁部を超えるほぼ唯一の河川であり、脊梁南部にも広い流域を持つ。江の川源流域は、平坦な準平原地形となっており、瀬戸内海側河川との河川争奪の痕跡が多数見られる。その他、中国山地に源流を持つ主な河川には、千代川日野川斐伊川高津川阿武川吉井川旭川高梁川沼田川太田川錦川千種川揖保川矢田川円山川市川などが挙げられる。拡大
Clip中国山地周辺の地形図
生態系

植生は、おおむね暖帯林(カシシイクス)だが、標高1000 mを超える山々は温帯林(ナラブナカエデ)である。

中国山地に棲息する主な哺乳類は、キツネタヌキイノシシニホンザルツキノワグマなどが挙げられる。特にツキノワグマは、主な餌である木の実の不足、生息地の分断化と縮小、狩猟圧・駆除圧などにより保護が必要とされている。

特徴的な両生類には、オオサンショウウオ(鳥取県、兵庫県、広島県、岡山県)がある。
地質

中生代以前に、中国山地は存在しておらず、日本列島付近は海であった。中国山地の形成は、新生代中新世に起こった日本海拡大による日本列島の原型誕生後、後期中新世から鮮新世にかけての広域的な隆起による。

海洋プレート大陸プレートの下へ潜ってゆく際に、海洋プレート上に溜まった海底堆積物が大陸プレートに付加してゆく。これを付加体と呼ぶ。前にできた付加体は、後からできた付加体に押されて、大陸プレートの下部へと追いやられる。そして、地中深くに沈み込むと、高い圧力と地熱により変成作用を受け、変成岩となる。

中国山地で最も古い歴史を持つ場所は、古生代石炭紀(約3億6千万?約2億8千万年前)に、アジア大陸東縁に形成された秋吉帯と呼ばれる付加体だったと考えられている。秋吉帯は、地中深くで低温高圧の変成作用を受けた後、古生代末期?中生代初期の秋吉造山運動によって隆起し、陸地となった。秋吉帯を起源とし低温高圧の変成を受けた変成帯を、三郡周防変成帯(さんぐんすおうへんせいたい)と言い、現在では主に、北九州地方から山陰地方にかけて分布している。

秋吉造山運動によって一旦隆起した陸地は次第に沈降していき、再び海底となったが、中生代後期の白亜紀に入ると、アジア大陸東縁でマグマが上昇して造山運動が活発となり、再び陸地が形成された。これを佐川造山運動と呼び、約1億年前に起きた。

約8千万年前前後には火山活動が激化し、カルデラが複数形成された他、この時期に形成された火砕流堆積物が現在の中国山地を広く覆っている。また、白亜紀の1つ前のジュラ紀に形成された付加体が、地中深く潜るよりも前に、上昇したマグマの熱による高温低圧の変成作用を受けた。これによる変成帯を領家変成帯(りょうけへんせいたい)と言い、現在では主に瀬戸内海沿岸に分布している。

佐川造山運動の発生時に、上昇してきたマグマは冷えると花崗岩になった。中国山地に多く見られる花崗岩は、この際に形成された物と考えられている。中国山地の花崗岩は大きく山陰花崗岩、山陽花崗岩、領家花崗岩に区分される。花崗岩は、風化・侵食の作用を受け易い。そのため、白亜紀以降の大陸東縁部は、侵食作用により新生代の第三紀にかけて準平原化が進んでいった。そもそも、中国山地の花崗岩は、風化してマサ(真砂)と呼ばれる砂粒に、自然に変化してゆく。マサの地盤は非常に不安定で、土砂崩れを引き起こし易い。そのため、中国山地は砂防区域が多い。河川に大量に流れたマサは、海へ出ると砂浜砂丘を形成する。鳥取砂丘や瀬戸内海の白砂青松は、花崗岩を起源とするマサが堆積した結果である。なお、中国山地で見られる花崗岩の中で山陰花崗岩は、磁鉄鉱を多く含んでおり、これが風化して堆積した砂鉄は、中国山地におけるたたら製鉄の製鉄原料として使用された。なお、たたら製鉄のための中国山地における砂鉄の採取は、中国山地を流れる河川への土砂の流入を促進し、さらに、たたら製鉄の燃料として樹木が伐採されはげ山が出現し、これも河川への土砂流入を促進した。これらの結果として、例えば、天橋立の長さの延長や、元々は海底で湧出していた皆生温泉が地上で利用可能になったなど、海岸地形にまで影響を与えた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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