世界自然保護基金
World Wide Fund for Nature
創立者オランダ王配ベルンハルト
ジュリアン・ハクスリー
マックス・ニコルソン
世界自然保護基金(せかいしぜんほごききん、英:World Wide Fund for Nature、略称:WWF)は、世界最大規模の自然環境保護団体である国際NGO。1986年まではWorld Wildlife Fundとして活動し、略称もここからとられている。現在、WWFインターナショナルのホームページ[e 1]では活動方針として、生物多様性を維持しつつエコロジカル・フットプリントを減らし、総じて地球一個分の暮らしを目標とすることを掲げている。ホームページでは基本的に科学的情報を基準(サイエンスベース)とする活動方針を示している。具体的な活動分野は気候変動、森林保全、海洋保全、水産物管理、綿花や砂糖などの農産物、水など多岐にわたり、人間の持続可能な環境づくりが活動の中心になっている。
WWFは巨大な組織と資金源を有する団体であり、その科学的信頼性や活動の有効性・主張の政治性や資金の使途等に対しては後述の通り、多くの批判がある。 WWF創設のきっかけは、ジュリアン・ハクスリーが『オブザーバー』紙にアフリカの野生動物の危機的状況を報告した記事である[1]。これを受けて、アフリカの野生生物を危機から救うために、1961年9月11日に、鳥類学者のマックス・ニコルソン
概要
当初は国際自然保護連合 (IUCN) の資金調達の目的のための補完的な機関として設立されたため、「WWFインターナショナル」の本部事務局は1970年代後半までスイスのIUCN本部と同じビルに置かれ、一般の行政サービスもしばらく共有していた[e 2]。資金調達のためのキャンペーンが成功するにつれ、WWF独自の方向に活動の幅を広げていった[e 2]。
スイスのWWFインターナショナルを中心として、各国の事務局(ナショナル・アピール)は「WWFネットワーク」の一員となっている[3]。ネットワークでも突出した存在なのがEUの政策や活動に影響力を持つ「WWFブリュッセル事務局」と、世界銀行などの国際機構に影響力を持つ「WWFワシントン事務局」である。
WWFは各国の環境保護団体等とも連携しながら、後述するさまざまな活動を行っている。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}WWFの2004年度総支出は約470億円で58%が自然保護活動に充てられており、総収入は約526億円で個人による寄付が43%を占めている[要出典]。 日本では1968年に東京動物園協会の古賀忠道理事長らを中心として「野生生物保護基金日本委員会」(WFJC) が設立、1971年9月22日に世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)が発足した。WWFジャパン発足当初の所管官庁は環境省[4]、2015年6月の職員数は67.6名(フルタイム換算)[5]である。名誉職・理事等のうち著名なところでは、名誉総裁に秋篠宮文仁親王、会長に徳川恒孝・徳川記念財団理事長、評議員に末吉竹二郎・国連環境計画・金融イニシアチブ (UNEP FI) 特別顧問、養老孟司・東京大学名誉教授、顧問に豊田章一郎・トヨタ自動車株式会社名誉会長、木村康・石油連盟会長、榊原定征・日本経済団体連合会会長、三村明夫・日本商工会議所会頭、佐々木則夫・情報通信ネットワーク産業協会会長(元東芝副会長)、佐々木元・日本電気株式会社名誉顧問、日枝久・株式会社フジテレビジョン代表取締役会長、加藤登紀子、黒柳徹子、柳生博、さかなクン、滝川クリステルなど[6]。 博報堂は、WWFに広報の専門家を送り、WWFの広報能力の向上に貢献したとして、WWFから「WWF ゴールドパンダ賞」を受賞している[7]。WWFジャパンのウェブサイトは博報堂アイ・スタジオが手がけ、その広告作品は2002年度のカンヌ国際広告祭・サイバーライオン部門に出品され金賞を受賞するなど高い評価を得ている[8]。 WWFジャパンは日本のエコロジカル・フットプリントを2.3と見積り、政府に対して環境基本計画の中でエコロジカル・フットプリントを環境指標として積極的に採用するよう要望書を提出している[9]。 2011年2月1日、公益法人制度改革に伴い、公益財団法人となる。 WWFジャパンは活動費の内訳について、複数の異なった説明を行っている。例えば、2017年6月期(2016年7月?2017年6月)の支出内訳は、WWFジャパンによれば以下の通りであった。 これらの異なる支出内訳説明の間の整合や、より詳細な説明は、WWFのウェブサイト上には見られない。 日本に対しては、べっ甲、捕鯨、マグロなどの海洋生物や、割り箸、象牙などの文化的に馴染みの深い動植物による加工品が、WWFのキャンペーンの対象と重なることもあるため、対象動植物の取引全面禁止などが行われた場合、日本の産業や文化へ与える影響は少なくない。
日本の支部組織
寄付金・会費の使途内訳
HP上の説明では、この1年間の「活動支出」計9.6億円のうち、自然保護活動が58%(5.5億円)、資金調達が27%(2.6億円)、収益事業収入が15%(1.4億円)であった[10]。これらの支出の中には、WWF自身のスタッフへの給与が含まれている(#大企業との癒着問題とスタッフへの高額報酬参照)が、その比率は明確でない。自然保護活動の内訳は森林、海洋、日本の生物多様性、海外ネットワークの活動、広報・普及活動、気候エネルギー、野生生物・トラフィックなどであるという。
一方で、「事業報告概要」によれば[11]、同じ1年間の「事業活動支出」計10.6億円のうち、自然保護が41%(4.3億円)、資金調達広報が30%(3.2億円)、管理費が14%(1.4億円)、収益事業が9%(1.0億円)、その他が7%(0.7億円)であったという。
さらに「資金収支計算書内訳表」をみると[12]、この同じ事業活動支出10.6億円のうち、活動費が44%(4.7億円)、人件費[注 1]が41%(4.4億円)、諸経費[注 2]が7%(0.7億円)、事業原価(物販)が5%(0.5億円)、管理費[注 3]が3%(0.3億円)であった。
日本への影響
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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