世界ラリー選手権
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世界ラリー選手権
カテゴリワールドラリーカー
国・地域インターナショナル
開始年1973年
ドライバー9[注 1]
チーム3[注 1]
タイヤ
サプライヤーピレリ
マニュファクチャラーズ
チャンピオン トヨタ
公式サイトhttps://www.wrc.com
現在のシーズン
2017年ラリー・ポルトガル

世界ラリー選手権(せかいラリーせんしゅけん、英語: FIA World Rally Championship、ワールドラリーチャンピオンシップ、通称:WRC〔ダブリュアールシー〕)は、国際自動車連盟(FIA)が主催するラリー競技の世界選手権である。ヨーロッパを中心としてアフリカ中南米アジアオセアニアなどの地域でも開催されている。併催のWRC2、WRC3などについてもここで述べる。
概要シトロエンチームと9年連続WRC王者のセバスチャン・ローブ/ダニエル・エレナ組(2010年ラリーGB

1970年にそれまで世界各地で単独に開催されていたラリー競技のイベントをFIAの下に一本化して誕生した、「国際マニュファクチャラーズ選手権(英語版)」(: International Championship for Manufacturers、通称:IMC)[注 2]が前身である。1973年に世界選手権へと格上げされて、WRCとしてスタートした[1]。FIAが主催する自動車競技の世界選手権の中ではF1世界選手権1950年創設)の次に長い歴史を持つ[注 3]。また開幕戦のラリー・モンテカルロは、F1のモナコグランプリより長い歴史を持つイベントである[2]:6。選手権は元々はマニュファクチャラー部門(自動車メーカー)のみが争われたが、後にドライバー部門とコ・ドライバー部門の選手権も争われるようになった。また下位のサポート選手権であるWRC2、WRC3、JWRCが併催されている。

ラリーの種類は、公道競技場などに設けられたコース=スペシャルステージ(SS)でタイムアタックを行い、各SSタイムの合計で順位を決める「スペシャルステージラリー」である。SSとSSの間の移動は「リエゾン」または「ロードセクション」と呼ばれ、一般車に混じり現地の交通法規に従って走行する[1]。現行の標準的なスケジュール(アイテナリー)では、木曜日から日曜日にかけての3 - 4日間に20本前後のSSを走行する[1]。SSの合計距離は300 - 400 km、リエゾンを加えた総走行距離は1,000 - 1,500 km程度である[1]。SSの時間は基本的に日中で、時々早朝や夜間にも行われる。

競技車両は一定数生産された市販車をベースとして、公認範囲内で改造を加えたラリーカーである。性能別に数段階にグループ分けされているが、選手権タイトルを賭けた最高峰クラスは、マニュファクチャラーの直営組織(ワークスチーム)が開発した現在ではワールドラリーカー(WRカー)で競われる。

競技車両にはドライバーコ・ドライバーの2名が乗車し、コ・ドライバーがコース上のコーナーや路面状況などをあらかじめ記載したペースノートを読み上げ、ドライバーはそれに従い運転操作を行う[1]。また、基本的にはドライバーが運転操作を行い、ナビゲートするのがコ・ドライバーという形ではあるが、非常に稀なケースではあるものの両者の役割が逆転する場合もある。2011年スウェーデンラリーでは、ペター・ソルベルグ選手が一般道のリエゾン区間でスピード違反で免許停止措置(世界中で開催される世界選手権に参加するためのライセンス以外に開催国での自動車運転を認めてもらうための国際免許を停止される処分)を受け、処分の執行には48時間の猶予があったものの、最終ステージ前で執行猶予時間が経過したため最終ステージだけをコ・ドライバーのグリス・パターソンにステアリングを託し、ソルベルグ本人は助手席で運転操作を解説しながら最終ステージを完走するという場面もあった[3]。このように、タイムアタック区間(スペシャルステージ)以外の走行区間では開催当該国の道交法に従わなければならないため苦肉の策が実行されるケースもある。また、スペシャルステージでアクシデントを起こして破損した車で走り続けるしかない場合(多くの場合はリエゾン区間前にチームの整備を受けられる)もあり、そのままリエゾン区間に入ると整備不良や危険な破損車での走行ということで警官に止められ、その場合は、その場で即刻リタイアを余儀なくされるケースもある。このようにFIA(世界選手権主管団体)が定めた規則だけではなく、開催当該国の道交法も遵守しなければならない。
主な特徴


市販車両WRCの競技車両
4連補助灯

競技車両は市販車両をベースに製作することと規定されているため外観はベースモデルと大差無いが、特に最上位のWRCクラスの車両であるラリー1は、フレームやエンジンはじめとする各パーツ、駆動やサスペンションの形式の変更などが行われ、内部はほぼ完全に別物となっている[注 4]ECUにはSS用の“ステージモード”[注 5]、リエゾン用で低燃費となる“リエゾンモード”の2種類が設定されており、走行状況に合わせて切り替える仕様となっている(ラリー1の車両では、ハイブリッドシステムの複数の走行モードを切り替えて運用する[6])。

競技ライセンス“国際C級レース除外”を取得し、規定に合致した車両を用意して抽選に通れば、一般人もプライベーターとして出場することが可能である[注 6]WRカーの後から同じコースを走りタイムを争い、時にはプライベーターがランキングの上位に食い込むということもある。なおコ・ドライバーもドライバーと同等の競技ライセンスが必要である。興奮する観客
(2011年 アクロポリス・ラリー)

サーキットで行われる周回競技と異なり、一般道路や林道などを一時的に閉鎖して行われるため、設営された観客席は少ない。観客はコースを間近で見られることもあり、熱心なファンは足繁く観戦ポイントに出向く。しかし、車両がコースオフし客席に飛び込む恐れもあるために観戦には危険も伴い、過去には死亡・負傷事故も起こっている[7]。(特に1980年代のグループB規定時代は、ドライバー、観客の死亡事故が多発した)

観客達が大きくコースオフした車両をコースに戻したりすることも多々あるが、本来ドライバー、コ・ドライバー以外の人間が競技車両に触れることはルール違反なため、ドライバーはペナルティを受けてしまうことが多い[注 7]。逆に観客が競技の妨害を行うこともあり、開催中にコース上の冊が閉められたこともある[8][出典無効]。現地の運営側が観客をコントロール出来ないと判断された場合はSSそのものがキャンセルとなり、実際にラリー・ポルトガルラリー・ポーランドがこの理由で一時WRCから外された。

広大なエリアでは、時に観客がプロに代わるカメラマンとして活躍することがある。2005年のキプロス・ラリーでは、フランソワ・デュバルのコースオフと車両炎上のシーンにおいて、観客が撮影した映像が国際映像として放映された。また近年はドローンが撮影に投入されており、ダイナミックな映像の撮影に大きな貢献をしている。
イベント

WRCの統一プロモーターは2014年から現在まで、「WRCプロモーター有限会社(WRC Promoter GmbH)」が担っている。以前は1982年にバーニー・エクレストンにより設立された「ISO(International Sportsworld Communicators)」が2010年まで、これをノースワン・テレビジョンが買収した「ノースワン・スポーツ」がプロモーターを務めていた[9]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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