世界の車窓から
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世界の車窓から
番組のロゴ。
ジャンル紀行番組
鉄道番組
ミニ番組
企画富士通
ナレーター石丸謙二郎
オープニング溝口肇「世界の車窓から」
エンディング同上
製作
制作テレビ朝日

放送
映像形式文字多重放送
音声形式ステレオ放送
放送国・地域 日本
放送期間1987年6月1日[1] - 放送中
放送時間月曜・火曜 23:10 - 23:15
放送分5分
回数10919[注釈 1]
公式サイト
特記事項:
2013年3月までは毎日放送。
2017年3月までは月曜日 - 金曜日放送。
字幕放送も実施[注釈 2]
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『世界の車窓から』(せかいのしゃそうから、英語: See The World By Train)は、テレビ朝日1987年(昭和62年)6月1日から放送[1] されている環境映像番組[1] あるいは紀行番組である。
概要

世界各地の鉄道の車窓から見える美しい景色や、その沿線の名所観光地列車内の乗客乗務員、あるいは構内の様子を音楽に乗せて紹介する。1回あたりの放送時間が5分程度のいわゆるミニ番組で、ひとつの国や地域を1か月 - 3か月ほどかけて紹介する。
2016年5月2日に定期番組の放送回数が通算10000回に達し[2][3]、テレビ番組では「徹子の部屋」に次ぐ日本で二番目の放送回数を誇る長寿番組[4] である。また、定期番組のほかに特別番組全国ネットで数回放送されている(詳細後述)。

番組のテーマ曲溝口肇作曲による「世界の車窓から」[5]スポンサー富士通[6][注釈 3][注釈 4]ナレーター俳優石丸謙二郎[7]であり、これらスタッフ等は本番組開始以来変更されていない[注釈 1]

制作プロダクションテレコムスタッフ[8]。放送開始当初はテレコム・ジャパンが担当していたが、1992年に倒産の危機に陥った[注釈 5] ことから、同社テレビ部門が急遽別資本を立ち上げ、同年9月4日に独立して新会社「テレコムスタッフ」を設立し[9]、スタッフや番組制作を移管して放送を継続している。タイトルロゴは写研の「ナミン」のイタリック斜字体[10]

機材は番組がスタートしたアナログ放送時代は、ソニーCCD[注釈 6] カメラBVP-5[11] とBVV-1のVTRとの一体型を使用していた[12]。2000年8月からハイビジョン収録となり、カメラはソニーHDW-700A、レンズはキヤノンHJ18×7.8B4IRS、キヤノンJ8×6Bを使用[12] している。
製作の経緯

元テレコム・ジャパンのプロデューサーで現テレコムスタッフ代表取締役の岡部憲治は、広告会社電通から本番組が持ち込まれた際、連続性があって毎日楽しめるものをと考えた。調べると世界の鉄道網は120万キロある。ネタは尽きないはずと、列車に乗りながら撮影し旅を続ける番組を考案し、その後もプロデューサーを続けている[13]。番組はイギリスの作家ポール・セルーの旅行記『鉄道大バザール(英語版)』からヒントを得た[12] という。

岡部憲治は、番組制作のための取材、撮影にあたって、ディレクターに対し次のようなことを肝に銘じるよう注文をした。「映像と音楽で見せる番組」「ロケハンはしない」「列車に乗って旅をする」「車窓からの風景を撮影する」そして「何よりも旅を楽しむ」。これが本番組を形作ることになった[12]
番組内容
レギュラー放送

一か所あるいは隣接する数か所の国、地域の鉄道を、ディレクター、カメラマン、ビデオエンジニアからなる3人一組を基本とした日本からの取材陣に現地のコーディネーターやドライバーを加えて[14]、およそ1か月から1か月半かけて取材、撮影し[15]、これを概ね1か月から3か月程度の放送期間に編集して一つのシリーズ[16]として紹介する。各シリーズは、複数の巻(VOL.)で構成され、初回放送からの通し番号で管理されている。
一巻あたりの放送時間は、CMを除くと正味135秒で、その内訳は、導入部が15.2秒、本編が109.8秒、結尾部が10.0秒である。本編と結尾部との間に番組提供者のCMが30秒間挿入される。また、導入部の前の45秒間、結尾部の後の1分30秒間にそれぞれCMが流れる[注釈 7]

定期番組の構成(23時10分開始の5分番組の場合)時刻内容時間備考
23時10分スポットCM45.0秒15秒CM3回あるいは15秒CM1回+30秒CM1回。
23時10分45秒導入部番組紹介9.8秒番組名、巻番号(VOL.)および番組内容を映像とナレーションで紹介する。
23時10分54秒8提供クレジット5.4秒提供者「富士通」をロゴと音声で紹介する。
23時11分00秒2本編109.8秒映像と音楽を中心に番組は進行し、適宜ナレーションが加わる。
序盤から中盤に音楽の曲名、作曲者を、終盤にナレーター、テーマ曲作者、協力者、制作者をテロップで紹介する。
23時12分50秒タイムCM30.0秒富士通の30秒CM。
23時13分20秒結尾部提供クレジット5.0秒提供者「富士通」をロゴと音声で紹介する。
23時13分25秒次回予告5.0秒次回の番組内容を映像とナレーションで紹介。
23時13分30秒スポットCM90.0秒15秒CM6回あるいは15秒CM4回+30秒CM1回もしくは15秒CM2回+30秒CM2回。ステーションブレークを含む。
23時15分次番組?

本番組の内容は、列車の外から撮る「客観的」ショットと列車内から撮る「主観的」ショットに大別され、特に列車内のショットに特徴がある。視聴者が体験できる「主観的」視点が大切にされ、取材陣が旅で体験、体感した「発見」「驚き」「心地よさ」などを映像化し、視聴者が旅人になれるよう乗客の目線で伝えている[12]。それゆえに番組中のナレーションは極力少なくなっている[1]。また、ロケハンをしないことやシナリオを書かないことにより、番組の構成要素の一つである旅の中で心に残る「人々との出会い」「風景との出会い」といった偶然の「出会い」が、より多く引き起こされている[12] 点も独特である。

各シリーズは、月曜日に始まり数週間後の日曜日[注釈 8] に終わる構成であったが、放送日が月曜日と火曜日の週2回となった2017年4月以降は、火曜日に始まる[17](月曜日に終わる[18])シリーズも登場している。放送開始最初の週(VOL.1?VOL.7)は、ロンドンからエディンバラへと向かう旅の紹介であった[19]

訪問した国と地域の数および走行距離は、放送開始から3年後の1990年9月時点で50か所、約10万km[20]、11年後の1998年9月時点で78か所、40万km以上[21]、2007年12月までに96か所、65万kmを超え[19]2018年10月現在で106か所、75万kmを超えた[14]。最も多く取り上げられた国、地域は、フランスの18回[22] で、イタリア[23]スイス[24] がこれに続く16回となっている[14][注釈 1][注釈 9]
なお、シリーズの対象として「日本の鉄道も例外ではない」とADの泰松洋美氏は発言をしている[21] が、放送開始以来、日本の鉄道がシリーズ化されたことはない[注釈 1]。その理由について、泰松氏は、色々と条件が厳しいからだ、と語っている[21]

石丸謙二郎によるナレーションは、各巻ともに冒頭が「世界の車窓から、今日は○○○○地方を走ります。」、結びが「明日は◇◇◇◇駅に到着します。」といったように太文字部分の表現が定着している。翌日が放送休止日の場合は「明日」が「次回」に変更される。例外として、シリーズ初回の冒頭は「世界の車窓から、今日から□□□□(シリーズ名)の旅が始まります。」と表現し、また、シリーズ最終回の結びは「明日[次回]から△△△△(新たに始まるシリーズ名)の旅が始まります。」を用いて次のシリーズを予告する。

映像とともに流れるBGMは、導入部と結尾部においては溝口肇が作曲、演奏する本番組のテーマ曲『世界の車窓から』が用いられている。本編においてはジャズロッククラシックJポップから民族音楽に至るまで変化に富んだ様々なジャンルの音楽が採用され、番組の序盤から中盤で曲名と演奏者[注釈 10] がテレビ画面右下にテロップで紹介される。まれにBGMに替えて撮影現場の生の音声が流れる場合がある[25]。シリーズ一覧表[注釈 1]

シリーズ初巻番号/シリーズ開始日回数シリーズ名称紹介されている国、地域[注釈 11]備考(放送休止日ほか)
VOL.1 1987年6月1日(月)21英国グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国(イギリス)
VOL.22 1987年6月22日(月)27ノルマンディーブルターニュボルドーピレネー山脈フランス共和国7月19日は休止。
VOL.49 1987年7月20日(月)35ユングフラウ登山鉄道
サンモリッツからツェルマットまでのグレイシャーエクスプレススイス連邦
VOL.84 1987年8月24日(月)28イタリア・南フランスイタリア共和国、モナコ公国、フランス共和国
VOL.112 1987年9月21日(月)42北ヨーロッパ デンマーク、スウェーデン、ノルウェー白夜の旅オランダ王国ドイツ連邦共和国(西ドイツ)、デンマーク王国スウェーデン王国ノルウェー王国9月29日は特別番組「世界の車窓スペシャル」も放送。
VOL.154 1987年11月2日(月)35オーストリアオーストリア共和国
VOL.189 1987年12月7日(月)21イタリアイタリア共和国
VOL.210 1987年12月28日(月)14ギリシャギリシャ共和国
VOL.224 1988年1月11日(月)14ポルトガルポルトガル共和国
VOL.238 1988年1月25日(月)21モロッコモロッコ王国初のアフリカ州シリーズ。
VOL.259 1988年2月15日(月)35タイ・マレーシア・シンガポールタイ王国マレーシアシンガポール初のアジア州シリーズ。
VOL.294 1988年3月21日(月)21ニュージーランドニュージーランド初のオセアニア州シリーズ。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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