世界から猫が消えたなら
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世界から猫が消えたなら
著者
川村元気
発行日2012年10月25日
発行元マガジンハウス
日本
言語日本語
ページ数224
公式サイト ⇒http://magazineworld.jp/
コードISBN 978-4-838-72502-1
ISBN 978-4-094-06086-7文庫本

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『世界から猫が消えたなら』(せかいからねこがきえたなら)は、川村元気小説[1]
概要

1匹のと共に暮らす男性郵便配達員(英語版)が主人公。著者の川村が、幼い頃に飼っていた猫が突然姿を消した体験と大人になってから携帯電話をなくした体験、それぞれの時に感じたことから着想を得て、構想に約1年、執筆に約半年が費やされた末に完成した[2]。基本的にはファンタジーであるが、家族のかたちを描いたドキュメンタリーの要素もあり、読者の誰もが自分に置き換えて入りこめるようにと[2]あえて登場人物は“僕”や“彼女”にして個人名を付けず[3]、川村は自分を主人公に置き換えてひたすらシミュレーションしながら執筆したという[2]

LINE公式アカウントで初の連載小説として発表され[3]、2012年10月25日にマガジンハウスから単行本が刊行された。2013年本屋大賞にノミネートされ[4]、8位(145.5点)となった[5]

2013年7月20日にはラジオドラマとして放送された。2014年9月18日に小学館から文庫版が刊行され、同時に実写映画化されることが発表される[6]。映画は2016年5月14日に全国東宝系で公開[7]

花とゆめ』(白泉社)では2015年2号から、雪野下ろせによるコミカライズ版の新連載が始まった。それ以前に『花とゆめ 文系少女』で発表、単行本も刊行された[8]

2016年3月時点で単行本・文庫本の累計部数が101万5000部を記録[9]。また、中国台湾韓国でも翻訳されて販売されている[9]
あらすじ

月曜日。体調不良に悩まされていたが、ただの風邪だと思っていた「僕」は医者の診察を受けた。そして進行した脳腫瘍であると告知された。家に戻ると、自分そっくりの容姿の「悪魔」を名乗る者が現れる。悪魔は、「世界からひとつなにかを消すと、1日寿命が伸びる」と告げ、僕の周囲にある「物」を消し去ることを提案してくる。そして、最初にその時たまたま使っていた「電話」をこの世界から消すことにする。悪魔は電話を消す前に最後に1度だけ電話を使ってもいいということになり、3年前まで付き合っていた元「彼女」に電話をかけた。

火曜日。僕は彼女との待ち合わせの場所に向かう。彼女と再会し、かつての思い出話や僕の両親たちのことを語りあって、彼女からいくつかの質問をされる。その質問の答えのひとつ「好きな場所」が映画館にあることを思い出し、それを彼女に伝えようとするも電話は消してしまったことに気づく。そして、付き合い始めの頃に携帯電話を持っていなかった彼女とうまく連絡できなかったことを思い出し、当時の彼女の心境を感じることとなる。そして家に帰ると悪魔は、次は「映画」を世界から消してしまおうと提案してきた。

水曜日。最後に見る映画を選ぶため僕は友人(タツヤ)の勤めるレンタルビデオ屋に向かう。友人とのやり取りから『ライムライト』のDVDをレンタルしてきたはずだったがディスクは入れ忘れられていて、作品を見ることができなくなった。そして僕は映画館に勤める彼女の元を訪れ、2時間空白のスクリーンを鑑賞する。真っ白なスクリーンを見つめる僕の心の中には、かつて家族で鑑賞した『E.T』のストーリーと、当時の仲の良かった家族のことが思い浮かんでいて、癌で死んだ母、疎遠になっている父について思いをめぐらせる。

木曜日。悪魔の次の提案は、世界から「時計(時間)」を消すことになった。そのことにより時計屋を営む父のことが気になっていたが、その日から僕の飼い猫の「キャベツ」が人間の言葉でしゃべるようになっていたことに気を取られる。キャベツにせがまれ散歩に出かけると、時間という物に捕らわれず日々の日課をこなして行くキャベツの姿から人間がいかに時間に追われ縛られる生活を送っているかに気づかされつつも、キャベツが自分(猫)を拾って来た死んだ母のことをまったく覚えていないことに驚く。そして僕はキャベツに母のことを語るため、僕と父と母とキャベツの3人と1匹で行った最後の家族旅行の写真を見つめ、母の最後の時の出来事を振り返る。

金曜日。悪魔は、世界から「」を消すことを提案する。僕はキャベツの前に飼っていたが癌で死んだ猫「レタス」のことを回想し、レタスと同じように母も癌によって死を迎えたことを振り返る。そして世界から猫を消すことは自分の家族とその記憶を消し去ってしまうことだと思い、僕は世界から猫を消すことに迷いを覚える。決断の前にキャベツの姿を見ようとするも家にキャベツはおらず、街中を駆け回り彼女の勤める映画館にその姿を見つける。映画館で再会した彼女は、僕の母親より生前に預かったという手紙を取り出し僕に渡す。そしてその手紙を読んだ僕は母の思いを知る。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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